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読書感想文【ソードアート・オンライン1 アインクラッド】川原礫、電撃文庫

この記事では【ソードアート・オンライン】(川原礫、アスキー・メディアワークス電撃文庫、2009年)の読書感想文を述べています。

読書感想文の定型である「起承転結」を意識して書きました。

結1=この小説から得たこと

約4000人にのぼる死者を出したオンラインゲーム「ソードアート・オンライン」をめぐる物語は、人間が共生するために守るべきもの、守らなければならないものがあることを教えてくれました。

起=「ソードアート・オンライン」とは

【ソードアート・オンライン1 アインクラッド】は2009年にアスキー・メディアワークスから発行された電撃文庫レーベルの小説・ライトノベルです。

この小説は、2002年の電撃ゲーム小説大賞に応募するために、著者の川原礫(かわはら・れき)氏が執筆したものです。

タイトル名でもある「ソードアート・オンライン」は、作品内では2022年に発売された仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム。略式名称は「SAO」です。

「SAO」の舞台は、100にも及ぶ階層を持つ巨大な浮遊城「アインクラッド」です。プレイヤーたちは武器一本を頼りに駆け抜け、上層への通路を見出し、強力なモンスターを倒してひたすらに城の頂上をめざします。

承=物語のあらすじ

2022年11月6日。「ソードアート・オンライン」の正式サービスが開始され、約1万人のプレイヤーがログインした時点から、物語は急展開します。

ログアウトボタンが消えてしまっていたのです。

SAO開発者の茅場晶彦は、プレイヤーをゲームの中に閉じ込めて、彼らがアインクラッドの頂点を極めるまでゲームから自発的にログアウトできないようにしました。

生命の残量を可視化したものである「HP(ヒットポイント)」がゼロになると同時に、プレイヤーはゲームの世界だけでなく、現実世界での本物の命まで奪われてしまいます。

プレイヤーは、現実世界に帰還するために、ゲームのクリアに向けて旅立ちます。

転=ネットゲームとは、仮想世界とは

著者の川原礫は「あとがき」で、この作品について「ネットゲームって、仮想世界ってなんだろう」というテーマでひたすら創作を続けてきた原点であると述べています。

私は、ネットゲームにチャレンジしたことはありますが、どのソフトも難しくてすぐに放棄してしまいます。

ネットの向こうにいる知らない人と協力したり対戦したりすることにためらいがあります。

ネットゲームの楽しさを実感できません。

しかし、ネットゲームと仮想世界を描いた本書は、最初から最後まで、次はどうなるのだろうとスリルを感じながら読むことができました。

この物語は主人公の「俺」ことキリト視点で描かれています。

キリトは、ゲーム攻略をめざし出会いや別れを繰り返す過程で、自分の内面と向き合います。

クラディールという、自己の欲望だけで悪意の花を咲かせた人物との戦いを終えた後には、自分は真剣にゲームクリアという目標を志向しているのだろうか、俺も本心ではこの世界の終わりを望んではいないのではないかと、自分に問いかけます。

キリトは、女流剣士のアスナとコンビを組んで戦いに挑むうちに互いに恋にめざめ、結婚します。

現実世界に戻りたい。しかし、ゲームの中の世界でアスナと一緒にいたい。相反する気持ちに揺れるキリトは、やがてアスナとの強いきずなを確信し、現実世界でも再びめぐり会うことを誓って、ゲーム攻略を選択します。

キリトを追体験するうちに、私は「自分はなぜ生きているのだろう?」と自問しました。

キリトは大切な人を守るために戦い、生きる意味を見出しました。では、自分は?

結2=この小説から得たこと

人はなぜ、ネットゲームをするのでしょうか。ヒマだから、楽しいから、他人とつながりたいから。さまざまな動機がありそうです。

しかし、楽しむために始めたはずのゲームが、死なないために、あるいは大切な人を守るために、どうしても攻略しなければならない崖っぷちに立たされたら。

ネットゲームの中にリアルが閉じ込められた時に、仮想世界は現実世界となります。

理解しようのない動機でゲームを開発し、最終的に約4000人のプレイヤーのリアルの命を奪った茅場の身勝手な理想。

自分が生きるために、そして他人の命を守るために戦う主人公。

登場人物を極限状況に追い込む救いようのない物語は、人の善悪をわかりやすく表現しています。

ネットゲームは、他人とつながり戦うことで、自分や自分ではない人の命の大切さに気づかせてくれる装置なのかもしれません。

ならば、ネットゲームの中に広がる仮想世界は、そこが現実世界よりも気持ちのよい居場所であったとしても、人は必ず現実と向き合って生きていかなければならないよ、と教えてくれる反面教師にもなり得ます。

「ソードアート・オンライン」というゲームは、リアルとフィクションの世界を超えて、リアルの世界で4000人の死者を出す凄惨な事件となりました。

【ソードアート・オンライン】という小説は、フィクションの世界でこの事件を展開させることで、リアルに生きる人々が守るべきものは何であるのかを、教えてくれました。

私は、自分が守りたいと強く願うほど大切な人の存在を、今まで感じたことがありません。

しかし、社会は人と人が支え合って成立していることを知っています。

人間が共存するためには、守るべきルールや倫理があります。

人の命は平等です。私は、大切な誰かのために、人間としてのルールを守ると改めて誓いました。

とはいえ、やっぱり、キリトにとってのアスナのような、たった一人の大切な人とのめぐり会いが、自分にもあったらいいな、とキリトをうらやましくも思いました。

ソードアート・オンライン1 アインクラッド (電撃文庫)

ソードアート・オンライン1 アインクラッド (電撃文庫)

 

おわりに

現実世界に戻ったキリトは、再びアスナと出会えるのか。

約4000人もの命を奪った茅場は、どこへ行ってしまったのか。

「その先」が気になり、想像力がかきたてられました。

2巻には、どんなワクワクが待っているのでしょうか。

 

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