雑記とかドラマ【相棒】の魅力とか!

2022年はドラマ「相棒」関連の記事が中心です。

【相棒2022年】テレビ再放送7月18日~23日の全国地上波は?亀山薫が復活の【相棒21】に向けて【ドラマ】

《最新更新日=2022/7/17》

2000年からテレビ朝日系全国各局で放送されているレジェンド刑事ドラマ【相棒】。水谷豊さんが演じる警視庁特命係の杉下右京警部とその相棒が活躍して事件を解決に導きます。

 

2022年10月から放送予定の新シーズン【相棒21】では、右京さんの相棒として寺脇康文さん扮する亀山薫が14年ぶりに帰ってきます!

 


【相棒】の再放送は、平日の午後を中心に放送されています。

 

どこの局でどのストーリーが放送されているのでしょうか。

 

まだ視聴していない回、もう1度見たい回、何度でも楽しみたい回…日本のドラマ界を代表するレジェンド番組をこのチャンスに楽しみましょう!

 

その他、この記事ではドラマ【相棒】の新しい話題やおすすめ回なども紹介します。

ドラマ【相棒】地上波再放送はいつ? テレビ朝日系各局放送時間と内容(2022年7月18日〜2022年7月23日)

北海道(札幌)・HTB

22日(金)

14:48~15:45

相棒18-5「さらば愛しき人よ」

青森県・青森朝日放送

放送なし

岩手県・岩手朝日テレビ 

18日(月)

15:48~16:45

相棒8-5「背信の徒花」

19日(火)

15:48~16:45

相棒7-16「髪を切られた女」

20日(水)

15:48~16:45

相棒8-5?

22日(金)

15:48~16:45

相棒8-6?

宮城県・東日本放送

18日(月)

14:40~16:35

相棒14-20 スペシャル「ラストケース」

19日(火)

15:38~16:35

相棒4-13「最後の着信」

秋田県・秋田朝日放送

20日(水)

15:45~16:40

相棒9-8「ボーダーライン」

22日(金)

15:45~16:40

相棒9-11「死に過ぎた男」

山形県・山形テレビ

19日(火)

13:45~14:40

相棒10-16「宣誓」

福島県・KFB福島放送

放送なし

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県・テレビ朝日

18日(月)

15:48~16:45

相棒16-16「さっちゃん」

19日(火)

15:48~16:45

相棒12-8「最後の淑女」

20日(水)

15:48~16:45

相棒9-5「運命の女性」

21日(木)

15:48~16:45

相棒6-3「蟷螂たちの幸福」

22日(金)

15:48~16:45

相棒18-6「右京の目」

新潟県・新潟テレビ21

18日(月)

15:45~16:45

相棒5-4「せんみつ」

19日(火)

15:45~16:45

相棒8-18「右京、風邪をひく」

20日(水)

15:45~16:45

相棒11-14「バレンタイン計画」

21日(木)

15:45~16:45

相棒19-14「忘れもの」

22日(金)

15:45~16:45

相棒19-15「薔薇と髭の不運」

長野県・長野朝日放送

放送なし

富山県・KNBテレビ

23日(土)

12:55~13:55

相棒20-18「詩集を売る女」

石川県・北陸朝日放送

18日(月)

14:45~15:45

相棒13-4「第三の女」

19日(火)

14:45~15:45

相棒13-5「最期の告白」

20日(水)

14:45~15:45

相棒13-6「ママ友」

22日(金)

14:45~15:42

相棒13-7「死命」

愛知県、岐阜県、三重県・名古屋テレビ(メ〜テレ)

放送なし

静岡県・静岡朝日テレビ

18日(月)

14:38~16:40

相棒14-1 スペシャル「フランケンシュタインの告白」

19日(火)

15:43~16:40

相棒17-16「容疑者 内村完爾」

20日(水)

15:43~16:40

相棒19-19「暗殺者への招待」

21日(木)

15:43~16:40

相棒19-20「暗殺者への招待(後篇)」

22日(金)

15:43~16:40

相棒4-7「波紋」

大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県・ABCテレビ

18日(月)

14:48~15:45

相棒8-17「怪しい隣人」

19日(火)

14:48~15:45

相棒8-18「右京、風邪をひく」

20日(水)

14:48~15:45

相棒6-2「陣川警部補の災難」

219日(木)

14:48~15:45

相棒6-3「蟷螂たちの幸福」

22日(金)

14:48~15:45

相棒6-4「TAXI」

岡山県、香川県・瀬戸内海放送

18日(月)

15:45~16:40

相棒3-4「女優〜前篇」

19日(火)

15:45~16:40

相棒3-5「女優〜後篇」

20日(水)

15:45~16:40

相棒3-6「第三の男」

21日(木)

15:45~16:40

相棒3-8「誘拐協奏曲」

22日(金)

15:45~16:40

相棒3-10「ゴースト〜殺意のワイン」

広島県・広島ホームテレビ

22日(金)

15:42~16:39

相棒3-13「警官殺し〜銃に残された赤い指紋」

山口県・yab山口朝日放送

放送なし

愛媛県・愛媛朝日テレビ

放送なし

福岡県・KBC九州朝日テレビ

放送なし

長崎県・NCC長崎文化放送

19日(火)

15:48~16:45

相棒16-5「手巾(ハンケチ)」

20(水)

15:48~16:45

相棒16-6「ジョーカー」

熊本県・KAB熊本朝日放送

放送なし

大分県・OAB大分朝日放送

放送なし

鹿児島県・KKB鹿児島放送

放送なし

沖縄県・琉球朝日放送

19日(火)

14:20~16:15

相棒19-11 スペシャル「オマエニツミハ」

20日(水)

14:20~15:20

相棒19-12「欺し合い」

21日(木)

14:20~15:20

相棒19-13「死神はまだか」

 

山梨県、富山県、福井県、鳥取県、島根県、徳島県、高知県、佐賀県、宮崎県はテレビ朝日系列局無し。

放送予定の変更や記載ミス、漏れ等がありますので番組表で必ず確認してください。


視聴したいエピソードが決まっていて、いつやるかわからない再放送を待っていられない、という場合はテレビ朝日が運営する「TELASA」など、初回無料キャンペーンがある動画配信サービスの利用がおすすめです。

【相棒】トピックス

「相棒20」が2021年10月13日(水)にスタート!

【相棒】の最新シーズン【相棒20】が2021年10月13日(水)21時から放送されます。

 

初回は15分拡大スペシャル「復活」。

 

【相棒19第1話・第2話「プレゼンス」】【相棒19第19話・最終話「暗殺者への招待」】の4話にわたって描かれた仮想国家「ネオ・ジパング」の建国の父・加西周明(かさいしゅうめい=石丸幹二さん)をめぐる事件。

 

今回は、その続編となるようです。

 

一連の事件の黒幕である内閣官房長官の鶴田翁助(つるたおうすけ=相島一之さん)が今回も暗躍する模様。

 

元内閣情報調査室職員で鶴田の愛人である柾庸子(まさきようこ=遠山景織子さん)や元弁護士の中郷都々子(なかざとつづこ=織田梨沙さん)らも引き続き登場します。

 

そして、鶴田が師と仰ぐ元内閣官房長官・朱雀武比古(すざくたけひこ=本田博太郎さん)が2004年10月に放送された【相棒3第1話・第2話・第3話「双頭の悪魔」】以来17年ぶりに復活!

 

かつて杉下右京(すぎしたうきょう=水谷豊さん)によって殺人事件への関与を暴かれた朱雀が、今回は右京さんとどんな絡みを見せるのでしょうか?

 

8シーズン目を迎える4代目相棒・冠城亘(かぶらぎわたる=反町隆史さん)やおなじみのレギュラー陣の動向からも目が離せません!

ノベライズ本【相棒 season19 上】が2021年10月7日に発売!【相棒 season19 中】は11月5日発売!

【相棒】のノベライズ本【相棒 season19 上】が2021年10月7日に、【相棒 season19 中】が2021年11月5日に朝日文庫より発売されます。各1012円(税込)です。

 

【相棒 season19 上】には、特命係の2人がVR(仮想現実)上に作られた仮想国家「ネオ・ジパング」の建国の父・加西周明と対峙する「プレゼンス」や、平成の毒婦と呼ばれる未決囚・遠峰小夜子が3度目の登場となる「同日同刻」、ほかに「目利き」「藪の外」「天上の棲家」「三文芝居」のエピソードが収録されています。

【相棒 season19 中】には、内村刑事部長が反社組織の抗争に巻き込まれ思いがけない事態を招く「超・新生」や、角田課長が被害に遭った給付金詐欺の組織に亘が潜入する「欺し合い」、ほかに「一夜の夢」「匿名」「オマエニツミハ」「死神はまだか」のエピソードが収録されています。

あの衝撃を小説でもう一度!

【相棒19】DVD-BOX&BD-BOXが2021年10月13日(水)に発売

杉下右京&冠城亘の6シーズン目となった、2020年10月~2021年3月放送の【相棒19】がDVD-BOX&BD-BOXとなって発売されます。

■相棒 season19 DVD-BOX Ⅰ(6枚組) ※19.250円(税込)


■相棒 season19 DVD-BOX Ⅱ(6枚組) ※19.250円(税込)

■相棒 season18 BD-BOX(6枚組) ※41.800円(税込)

 

当サイトがおすすめする【相棒】名作神回はこちら 

相棒6-10元日スペシャル「寝台特急カシオペア殺人事件!上野~札幌1200kmを走る豪華密室!犯人はこの中にいる!!」」
(2008年1月1日放送)
《作品紹介》
左翼過激派・新井田が爆弾マニアの塚原とのアミューズメントパークでの取引に失敗。爆弾が爆発する事件が発生した。その取引で塚原に渡るはずの金を奪った根元(柏原収史)を、右京と薫は札幌まで護送することになる。3人は寝台特急「カシオペア」に乗る。根元は札幌で公判中の事件の重要参考人だった。
《ゲスト》長山藍子、永島敏行、柏原収史、山本みどり、黒部進、浅利陽介ほか
《脚本》戸田山雅司《監督》和泉聖治
《みどころ》
2008年のお正月スペシャル。本編が120分を超える超大作です。
右京さんと亀山くんは、事件の重要証人を札幌まで護送するため、上野駅から札幌行きの寝台特急「カシオペア」に乗り込みます。その車内で殺人事件が発生。容疑者は1号車と2号車に乗り合わせた9人!果たして犯人は?
右京さんの推理がキレッキレです。
カシオペアが札幌駅に到着してからも一悶着あり、さらに洞爺湖に舞台を移してクライマックスへ。壮大なスケールの元日スペシャルとなりました。

 

《関連記事》当サイトのおすすめ回10選!

【相棒】神回・名作・衝撃回おすすめ10選!初心者なら「カシオペア」から?【ドラマ】

【相棒20第15話「食わせもの」ネタバレ&感想】詐欺師・平井貞夫が罪を償ったのに再び犯罪者に?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から2022年にかけて放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2022年2月9日放送の【相棒20第15話「食わせもの」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第15話「食わせもの」】はどんな話?

【相棒20第15話「食わせもの」】

2022年2月9日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

繁華街のゴミ置き場で男性の刺殺死体が発見された。被害者の風体から、カタギでないと踏んだ警察は、暴力団絡みの事件を視野に捜査を始める。

いっぽう、都内マンションの植え込みで、男性の転落死体が発見された。その映像を動画サイトで見つけた青木(浅利陽介)は、映像の中に、5年ほど前、特命係が詐欺で逮捕した平井(風間杜夫)という男が映り込んでいることに気付く。どうやら、刑期を終えた平井は現在、マンションの管理人に収まっているらしい。

興味を持った右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、独自の捜査を開始。そんな中、平井が管理人を務めるマンションに、不審な2人組の男が姿を見せていた。

男たちは麻薬の密売人で、1人は平井と面識のある詐欺師。空き部屋を密輸に利用したらしいが、問題の麻薬がマンション内で消えてしまったという。

密売人が平井を脅して、ブツを探させようとする中、右京と亘がマンションにやってくる。無関係を装い、必死に取り繕う平井だったが、右京は早くも何かを見抜いている様子で…!?

相次いで起きた刺殺と転落死に繋がりが?
キーマンは右京と渡り合う食えない元詐欺師

知恵者同士の騙し合いが、再び事件を呼ぶ!

テレ朝POSTより引用

特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、サイバーセキュリティ対策本部の青木年男(浅利陽介)から、ある動画を見せられる。

マンションの敷地内で転落事故が起きたときの模様を住民が撮影し、動画投稿サイトにアップしたものだったが、撮影を制止しようとして映りこんだ管理人の顔を見て、右京たちは驚く。数年前、特命係や青木とだまし合いを演じた詐欺師・平井貞夫(風間杜夫)だったのだ。

すでに罪を償った平井は1カ月ほど前から管理人として働き出したらしく、すっかり更生しているように見えた。だが、彼を訪ねた右京は平井が規約を破ってこっそり防犯カメラを確認していたのを目撃、このマンションで何かよからぬことが起きていると直感する。

右京のにらんだとおり、実は平井はトラブルに巻き込まれていた。

数時間前、平井は偶然、かつての詐欺師仲間・工藤丈治(玉置孝匡)と再会。なんと工藤は、宅配便の“置き配サービス”を利用して、このマンションの空き室あてに違法薬物を送らせ、不動産業者を装って荷物を回収するウラ稼業に精を出していたのだ。

だが、届いているはずの荷物がこつ然と消失。平井は、焦った工藤から前科があることを住民にバラさないかわりに、荷物探しを手伝うよう脅されていたのだ。

工藤が荷物をくすねたとにらんだのが、空き部屋の隣室の住人・桜田美月(関谷奈津美)。平井は彼女が父・成一(樋浦勉)を献身的に介護する姿に感心していたが、工藤に強要されて仕方なく、下階で水漏れがあったと嘘をついて桜田家に侵入するが…!?

その頃、伊丹憲一(川原和久)ら捜査一課は、繁華街で起きた男性刺殺事件を追っていた。まもなく、被害者は薬物の“売人”だったとわかり…!?

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

青木年男(あおきとしお)=浅利陽介

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

平井貞夫=風間杜夫

梅田真知=関谷奈津美

桜田成一=樋浦勉

工藤丈治=玉置孝匡

村山佳枝=大高洋子

ほか

スタッフ

脚本=山本むつみ

監督=橋本一

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

右京と亘は平井が管理人を務める城谷レジデンスを訪れる。入り口で平井と話していると、父の成一を車椅子に乗せた桜田美月が来る。

 

成一は美月に対して「どちらさんでしたっけ?」と聞くなど、ボケが始まっているようだ。美月はそんな成一の車椅子の座布団の位置を直してやる。

事件に巻き込まれていく平井

その頃、殺された男の身元が判明。目黒昭夫、46歳で、翁門会(おうもんかい)でヤクの中卸をやっていたらしい。

 

殺される直前に目黒と一緒にいた男の目撃情報は、工藤丈治と一緒にいる運び屋・相川達彦とよく似ていた。

 

相原は「今夜じゅうにブツを渡さないと命が危ない」と工藤を脅し、工藤は平井に「定時をすぎたら防犯カメラのスイッチを切っておけ」と指示を出す。

 

定時の17時を迎え、防犯カメラのスイッチを押そうかどうか平井が迷っていると「いけませんよ。また犯罪に手を染めては」と声がして、右京と亘に止められる。

 

平井が懸命に水道修理詐欺行為を隠そうとすると、右京は「どうして504号室の桜田さんの部屋だけ特定して修理に入ったのか」と問いただす。右京と亘には、平井が犯罪に関わっていることはお見通しだった。

平井が提案した落とし物詐欺の真意は

平井は工藤に「あの親子はブツをくすねたものの、さばくルートはないはずだ。はした金をくれてやりゃ、ブツを返すだろう。100万円を渡して、その金もすぐに巻き上げる」と策を話す。

 

翌朝10時、いつもどおり公園に現れた桜田親子。平井は工藤に「女が紙包みを落とすから、金を入れた袋とすり替えろ」と指示。

 

しかし工藤が桜田親子に近づくと、マンション住民の村山佳枝が桜田親子に近づいて話しかける。公園の清掃業者が佳枝を桜田親子から引き離す。

 

美月が紙包みを落とし、工藤が「はい、どうぞ」と別の紙包みを渡し、すり替える。右京と亘が工藤を窃盗罪で捕まえる。

 

その様子を遠くから見ていた平井は「無事に済んだか」と安心するが、スケボーに乗ったマンション住民らしき男が平井親子に近づいていくのを見かける。それはスケボー少年に扮した相川達彦で、手にはナイフを握っていた。

 

あわてて相川を止め、手にケガをしながら美月たちを守る平井。そこに捜査一課の3人が現れ、傷害罪と銃刀法違反で逮捕。さらに目黒殺害の件でも話を聞かせてもらうと息巻く伊丹。

 

平井は詐欺師たちを裏切り、警察に協力していたのだ。平井が協力したのは自分を守るためではなく、桜田親子を守るためだった。平井に落し物すり替え詐欺を提案したのは右京たちだった。

桜田美月の正体は

右京は桜田美月に迫り「例の荷物はあなたがご存知ですよね、梅田真知さん」と訊く。

 

梅田真知は3か月前に警察官になりすまして闇カジノの売上を巻き上げる、なりすまし詐欺をしていた。その真知が、娘と何年も音信不通である桜田成一の娘になりすましていたのだ。

 

美月が梅田真知であることが顔認証システムで特定できた。本物の美月とも連絡がとれた。

 

梅田真知は荷物を横取りして、成一の車椅子の座布団の下に隠していた。

 

真知は平井に「おっちゃん、詐欺師のくせに人がいいから、騙すのに気が咎めちゃった」と本心を吐露した。

もう一人、お芝居をしていた人物が

真知が車椅子の座布団の下から白い粉が入った紙包みを取り出そうとすると、成一が「美月は俺の娘だ。娘に手を出すな。娘は渡さん」と叫ぶ。

 

「もうお芝居はしなくていいよ」と話す真知に、成一は「ニセモノで何が悪いんだ。おまえたちが余計なことしなければ、この先もうまくやれたんだ」と、自分がボケていたのは演技であったことを示した。

平井は「参ったなあ。この俺としたことが、シロウトさんにまで騙されてたわけだ」と嘆く。

結局みんな、何かになりすましていた。成一の芝居は、右京も見抜けなかったようだ。

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感想など

人は悪人から善人に戻ったとしても、ちょっとしたきっかけで悪人に逆戻りしてしまうかもしれない危うさを持つことを実感させられました。

 

この世から「詐欺」という犯罪行為は無くならないのでしょうか。

 

警察庁によると、2020年の1年間で、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺などの「特殊詐欺」だけでも認知件数が13550件あり、合計被害額は約285億円にのぼります。

 

【相棒】では、過去にさまざまな詐欺や詐欺師が描かれてきました。

 

2002年11月13日放送の【相棒1第6話「死んだ詐欺師と女美術館長の指紋」】では、タイトルに「詐欺師」が出てきます。殺された男はなぜ詐欺行為に加担してしまったのか、モロ師岡さんが演じる男の哀しい物語が描かれています。

 

最近では2019年放送の【相棒18第7話「ご縁」】で特殊詐欺に騙された男の世間へのささやかな復讐の話、2021年放送の【相棒19第12話「欺し合い」】で給付金詐欺グループに冠城亘が潜入する話が印象的です。「欺し合い」では「伝説の詐欺師X」と「伝説の詐欺師Y」なんていう人も出てきました。

 

【相棒20】でも第10話「紅茶のおいしい喫茶店」で、原野商法特殊詐欺が絡んできました。

 

2016年11月2日放送の【相棒15第4話「出来心」】に初登場した、風間杜夫さんが演じる平井貞夫は【相棒】ワールドの中でも最も記憶に残る詐欺師ではないでしょうか。

 

平井は、詐欺師ではありますが、根っからの悪党というわけではありません。

 

「悩みを打ち明け、心の重荷を下ろしてください。私たちがご相談に乗ります」と記した看板を掲げて「NPO法人 青空らくだの会」を営む平井は、気の弱そうな相談者たちに美人局を仕掛けて、恐喝してお金を寄付させていました。

 

そんな平井が右京さんに逮捕されたのは、柄にもない人助けをしたことがきっかけでした。右京さんに「柄にもないことをなぜしたのですか?」と訊かれて、平井は「出来心だよ。つい魔が差したってやつだ」と答えます。

 

「あの(被害にあった)ばあさんの声、ちょっと似てたんだよ。俺がムショに入ってる間に死んじまったおふくろに」と語り「最上川舟歌」を口ずさむ平井。

 

右京さんは平井に「ほんの出来心でしたことが、結果的にあなたの命を救ったのだとしたら、それは魔が差したのではなく、神が手を差し伸べたと言うべきかもしれませんね」と声をかけました。

 

詐欺師だけど根はやさしい平井を、神様が見捨てなかったのかもしれません。

 

「出来心」で右京さんにたっぷりお灸を据えられた平井が【相棒20第15話「食わせもの」】で再登場しました。

 

いつのまにか出所して、真面目にマンションの管理人として働いているようですが、再び事件に巻き込まれてしまいます。

 

昔なじみの詐欺師に過去のことで脅迫され、再び詐欺行為に加担してしまう平井。マンションの防犯ビデオのスイッチを消そうとしたところを右京さんに止められて、大やけどはせずに済みました。

 

人間は悪いことをしても、その罪を償うことでやり直すことができますが、それでもまた悪いことをしてしまいそうになる時があります。

 

そこで悪いことはもうしないと、踏みとどまれるかどうかは、なかなか難しい選択なのかもしれないと思いました。

 

平井は右京さんがいなかったら、再犯してしまったかもしれません。

 

【相棒】には「犯罪加害者のその後」を丹念に描く回があります。

 

殺人未遂罪で逮捕された月本幸子が更生し「花の里」の女将を任されるようになったのは、犯罪加害者でも罪を償えばやり直すことができる好例でした。

 

そして、平井のように、再犯をしてしまいそうになった時、止めてくれる右京さんのような人が周囲にいるということも、犯罪の抑止には大切なようです。

 

右京さんがいてくれてよかったね。

 

平井貞夫の物語を脚本で紡ぐのは「人情もの」のスペシャリストである山本むつみさんです。今回は、コメディというよりも、ほろ苦系のラストとなりました。

 

風間杜夫さんの哀愁漂う演技も素敵でした。また出てきてほしいな。

 

先週の「ディアボロス」は、岩下悠子さんの脚本らしい情報つめこみ系の名作でしたが、山本さんの、人物をたっぷりみせる脚本も見どころたっぷりですね。

 

回によって味が全然違うのも【相棒】の面白いところ。次回が楽しみです。

【相棒20第14話「ディアボロス」ネタバレ&感想】フラワーアーティストを地獄に落とす悪魔の正体とは?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2022年2月2日放送の【相棒20第14話「ディアボロス」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第14話「ディアボロス」】はどんな話?

【相棒20第14話「ディアボロス」】

2022年2月2日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

右京(水谷豊)は、小手鞠(森口瑤子)の誘いで、氷室聖矢(渡部豪太)というフラワーアーティストの展覧会を見学する。

氷室は、婚約者の女性と仲睦まじい姿を見せていたが、その後、女性が氷室のオフィスで殺されているのが発見される。

捜査一課が氷室を疑ういっぽう、右京と亘(反町隆史)は、氷室と十年来の仕事仲間だという生花の卸売業者・一之瀬(冨田佳輔)から話を聞く。ところが、取り憑かれたように仕事をする氷室に、聴取を遮られてしまう。

小手鞠によると、氷室の前のパートナーは3年前に謎の失踪を遂げていて、氷室が婚約者を失うのは、これで二度目だという。

そんな中、氷室が高名な美術評論家の家に押し入る事件を起こす。評論家には、かつて氷室の個展を酷評し、活動に水を差した因縁があったが、「恨まれる筋合いはない」と憤っていた。

その頃、逮捕された氷室は、取り乱した様子で、婚約者の失踪と殺害は、「悪魔の仕業だ」とつぶやいていた。

天才アーティストに掛かる連続殺人の疑惑
フィアンセ失踪と殺害は悪魔の仕業!?
美しい花々と過去の事件が特命係を惑わせる!

テレ朝POST版

新進フラワーアーティスト・氷室聖矢(渡部豪太)のアトリエで、彼の婚約者・内田絵里奈(小池唯)の絞殺体が見つかった。

数日前、小出茉梨(森口瑤子)に誘われて氷室の個展を訪れていた特命係の杉下右京(水谷豊)は冠城亘(反町隆史)とともに臨場するが、遺体の首には美しい花が巻きついていた。驚いたことに犯人が凶器として用いたのは、針金のように強靭なツルを持つ植物“テッセン”だった。

氷室は大きなショックを受けていたが、すぐに生花の仲卸業者・一之瀬春臣(冨田佳輔)に大量の花材を仕入れるよう指示。悲しみに突き動かされるように精力的に創作をはじめ、右京らもそのエネルギーに圧倒される。

実は、氷室が婚約者を失うのは2度目で、3年前にも婚約相手の栗原玲子(新実芹菜)がこつ然と失踪した過去を持っていた。愛する玲子を失った氷室は絶望を創作にぶつけたのか、その後にフランス・パリで開いた個展が高く評価され、数々の賞に輝いたという経緯があった。

そんななか、氷室が華道家元・尾崎孝月(栗田芳宏)宅に侵入し、「絵里奈を返せ」と騒ぎ立てる事態が発生した。

高名な美術評論家でもある尾崎は度々、氷室のフラワーアートを酷評しており、氷室は自分を目の敵にする尾崎が絵里奈を殺したと考えているようだった。しかし、尾崎には確固たるアリバイがあり、むしろ氷室にこそアリバイがないのが現状だった。

2度も婚約者を失ったのは偶然なのか、亘がそう指摘すると、氷室は「すべては自分の大切なものを奪っていく悪魔の仕業」だとつぶやく…。

いったいその言葉の真意とは…!? 右京と亘は”悪魔”の正体を探るため、3年前の失踪事件を調べはじめるが…!?

 

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主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

青木年男(あおきとしお)=浅利陽介

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

氷室聖矢=渡部豪太

一之瀬春臣=冨田佳輔

尾崎孝月=栗田芳宏

内田絵里奈=小池唯

深川日菜子=新実芹菜

ほか

スタッフ

脚本=岩下悠子

監督=守下敏行

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

その後どうなった?(ネタバレ)

氷室聖矢と栗原玲子が笑顔で話している画像が気になる右京。鑑識で拡大鮮明化してもらった物を見ると、帰国子女の栗原玲子は背中の後ろでフィンガーズクロスを作っていた。アメリカ映画などでよく見る十字架を表すジェスチャーだ。

 

フィンガーズクロスは幸運の祈りのほかに、心にもないことを口にした時にバチが当たらないためのおまじないとして背中で作ることもあるという。

 

画像では氷室と玲子が愛を語り合っているように見えるが、その愛がニセモノだったとしたら。

亘「悪魔の正体、必ず暴いてみせます」

内田絵里奈の口座に、氷室と出会った頃の昨年12月に300万円、2人が婚約した時期に300万円が何者かから振り込まれていた。報酬が支払われていたのか。

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栗原玲子の愛情がニセモノだとしたら、内田絵里奈の愛情もニセモノだったのではないか。2人を動かしていた人物こそ、悪魔だ。

 

亘は尾崎の家へ。

 

6年前、尾崎に作品を酷評された氷室はしばらく活躍の場に恵まれず不遇の時期を過ごした。しかし独自の芸術世界を深め、徐々に業界での評価を確立。1年後、ニューヨークでおこなわれる企画展のメンバーに選出された。しかし、突然メンバーから外されていた。当時、誰かが裏で手を回していたらしい。

 

その人物こそ、悪魔だ。「悪魔の正体、必ず暴いてみせます」と尾崎に言う亘。

フラワーアートの世界は花にとって残酷?

右京は一之瀬を訪ねる。悪魔について心当たりがないかと訊くと「彼を憎んでいる人は大勢いますよ。才能がある人間は嫉妬される。世の常でしょ」と言う。「どれほど地位の高い人間にも妬みの感情はありますから」と尾崎が悪魔である可能性も否定しない。

 

「では、あなたはどうでしょう」と訊く右京。「僕は彼のパートナー。いえ、共犯者ですから」と否定し「花を用いた芸術は、ある意味、罪なんです。植物にとっていちばん自然なのは、誰にも摘まれることなく野山で命をまっとうする生き方です。なのに僕たちは、花の命を絶ちきり、すでに完成された美を破壊して、新しい世界を再構築している」と話す。

 

「残酷でしょ」と問い返す一之瀬に右京は「しかしその残酷さがなければ、花に新しい命を吹き込むことができない」と答える。

 

一之瀬は右京にブルースターをプレゼントする。そこに氷室が来て、机に突っ伏す。介抱する一之瀬。

 

その頃、青木から特命係の情報を仕入れた伊丹、芹沢、麗音の3人は、青木に栗原玲子を捜し出すよう命令する。

氷室聖矢の壮絶な生い立ち

「こてまり」で料理をつつく右京と亘。小手鞠によると、氷室にとってユリの花は愛と悲しみの象徴なのだという。3年前のパリでの個展もユリを使った作品が多かった。

 

氷室の生い立ちは壮絶だった。両親に捨てられて、親戚中をたらい回し。学校でもいじめに遭って、通学路に咲く花だけが心のなぐさめだった。子供の頃から花だけが友達だったとインタビューで話したこともあるようだ。

 

また、赤坂の花屋で働いていた氷室は、最初は配達をしていたが、料亭の主人が床の間を任せたら客に大好評となり、他のお店でも氷室に飾り花を任せるようになったという。

 

赤坂あたりの飾り花を氷室が任されるようになったということは、それまで任されていた人たちは、お役御免ということだ。

有明流家元の人に言えない秘密とは?

右京が赤坂の料亭の主人に話を聞く。赤坂ではもともと有明流の人々が花の仕事をしていたという。主人は「弟子のお株を奪われて家元は面白くなかったでしょうね」と振り返る。家元は尾崎だ。

 

その尾崎には、若さの秘密があるという。

 

亘は尾崎家へ。有明流の特徴は精神性を大事にする点である。小手先のテクニックに溺れるのを良しとしない。大切なのは紋切り型の技術ではなく、心。花と共鳴する瑞々しい感性だ。

 

亘は、その瑞々しい感性を尾崎が保つために、少年少女を利用していると指摘する。尾崎のインスピレーションの源はヌードモデルだった。

 

「何の話だかわからんね」と去ろうとする尾崎に、尾崎の妻が「あなた、もう話しておしまいなさいな」と諭す。

 

6年前、電話で尾崎に「少年少女をヌードモデルにしていることが公になったら大問題ではありませんか」と脅迫してきた男がいた。男は尾崎に、氷室の個展を酷評し、業界に働きかけて彼から活躍の場を奪い去ってほしいと頼んだ。

 

その頃、捜査一課の3人は栗原玲子の身柄を確保する。玲子の本名は深川日菜子。日菜子は仮想通貨に手を出して借金を作ってしまった。SNSで愚痴ったら連絡してきた男がいて、氷室に近づき恋人関係になれと持ちかけてきた。結婚の約束をして、彼の前から姿を消して、しばらく東京から離れていろと。報酬は何度かにわけて振り込まれた。

 

依頼人は「氷室が潰れる姿を見たい。精神的ダメージを与えて創作活動なんか手につかなくなるようにしてやりたい」と語っていたという。

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悪魔の正体は…

依頼人は…10年前の有明流会員名簿に載っている、一之瀬だった。

 

かつて一之瀬は有明流の若手ホープだった。赤坂あたりの老舗料亭から飾り花を任されていた。しかし、氷室が現れた。

 

才能の差を見せつけられた一之瀬はクリエイターとしての自分に見切りをつけた。

 

一之瀬は3人の人物に指示を出していた。日菜子、尾崎、絵里奈だ。

 

10年近く、一之瀬は氷室のそばで氷室を潰すチャンスを伺っていた。まず尾崎を利用。

 

しかし氷室はしぶとく創作活動を続けた。ならば気力を奪ってやろうと、日菜子に声をかけた。だが、愛する女性を失ったショックも氷室から創作意欲を奪うきっかけにはならなかった。愛と喪失をテーマにした個展は海外で高い評価を受けた。

 

一之瀬はもう一度打ちのめしてやろうと思った。しかし差し向けた内田絵里奈は氷室を本気で愛してしまった。計画に狂いが生じ、一之瀬と絵里奈の間にトラブルが発生した。

 

絵里奈を殺したのは一之瀬だ。「なぜそうだと?」と問う一之瀬に右京は「花粉ですよ」と答える。

 

絵里奈が殺害された翌朝、右京が初めて一之瀬と会った時、一之瀬のシャツには花粉がついていた。一之瀬は花粉を払い落とそうとしたが容易には落ちなかった。粘着性があったからだ。褐色で粘着性がある花粉といえばユリの花。

 

あの日の朝、一之瀬は市場でユリを仕入れた。そして同じ日、氷室は一之瀬に「カサブランカだ。それにコンカドール、イザベラも大量に仕入れてくれ」と頼んだ。いずれもユリの品種だ。

 

一之瀬は氷室がユリを使った作品を作り始めることを見越していた。それはなぜか。氷室が再び愛する女性の喪失を体験すると知っていたから。事件がの連絡を受ける前から、一之瀬は絵里奈が死んだ事実を認識していた。

 

亘は「他人の才能ってそんなに憎いですか。たかが嫉妬で人生、棒に振るなんて」と嘆いた。

悪魔のとる行動が矛盾している?

一之瀬を連行していく伊丹たち。

 

右京は一之瀬の行動に矛盾を感じていた。一之瀬は氷室を潰そうとする一方で、氷室が早々に創作活動に入れるように花を手配していた。悪魔のとる行動として矛盾してはいないか。

 

伊丹から亘に、一之瀬が死んだと連絡が入る。毒を飲んだようだ。一之瀬は被疑者死亡のまま書類送検となった。

 

一之瀬は氷室に手紙を書いていた。そこには一之瀬が絵里奈を殺した理由は「別れ話のもつれ」と書かれていたようだ。氷室の知らないところで絵里奈と…?

 

そんな氷室の次回の個展タイトルは「ディアボロス」。ギリシャ語で「悪魔」という意味だ。

 

氷室は「悪魔と刺し違えるような、そんな作品を作ってやる」と意気込む。

ひょっとして犯人の真意は…

「一之瀬はなぜあんな作り話を書き残したんですかね」と疑問を口にする亘に、右京は「氷室さんの苦しみを、より深めるためでしょう」と返す。「我々もまた、作り話を聞かされたのかもしれません。一之瀬さんは最後まで本当の動機を隠していたのではないか」

 

一之瀬がもたらした苦しみは、結果的にすべて氷室の才能を刺激し昇華させた。彼は生涯かけて、氷室聖矢という1輪の花を咲かせようとしていたのではないか。

 

悪魔の役を自ら買ってでた…。一之瀬がしたことは、すべて氷室の才能への献身だったのか。

 

一之瀬が死んだ今、もはや確かめる術はない。

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感想など

殺人の動機は嫉妬によるものなのか、それとも愛ゆえなのか。犯人が死んでしまった以上、真実は闇の中に葬られてしまいます。犯人が自殺して死んでも、その心に棲んでいた悪魔は生き続けることになるのかもしれないな、と思いました。

 


岩下悠子さんの脚本が【相棒】に帰ってきました。岩下さんは【相棒3】から【相棒7】までの間に12本(うち1本は脚本協力)を担当した、亀山薫時代のメイン脚本家さんの1人です。

最近は「科捜研の女」などでの脚本執筆が目立っていましたが、じつに13シーズンぶり、2008年放送の【相棒7第4話「隣室の女」】以来の【相棒】復帰です。

【相棒20第14話「ディアボロス」】は、今シーズンの【相棒】の中でも屈指の「複雑な人間関係」と「どんでん返し」と「重いテーマ性」を併せ持つ、屈指の傑作となりました。

 


今回の作品の後味を(いい意味で)悪くしたのは、犯人が自殺してしまった点です。

犯人は嫉妬と憎しみから犯行に及んだのか、それとも献身のためか。

一之瀬春臣は、有明流の会員として、赤坂の料亭などで飾り花の仕事をしていました。

そこに現れたのが氷室聖矢でした。氷室は飾り花で才能を見出され、一之瀬の仕事は奪われていきました。

この時、一之瀬はクリエイターとしての自分に見切りをつけています。

以後、一之瀬は氷室のパートナーとして仕事を続けるわけですが。

クリエイターとしての自分に見切りをつけた時に、一之瀬が氷室に嫉妬や憎しみを抱いたのか、それとも、氷室の才能を伸ばすために献身しようと思ったのか、どちらに振れたのかが大きな分かれ目になります。

 


人間の素直な感情として、自分の活躍の場を奪われたら相手を恨むこともあるでしょう。しかし、相手がすごすぎる人だったら、恨む気持ちも起きないかもしれません。

たとえば、野球界にいる人で、自分を追い越していった相手がイチローや大谷翔平だったら、恨みを抱く間もなく「仕方ないな」と納得してしまうのではないでしょうか。

恨むよりも、凄すぎる人物を応援する気持ちから献身する場合もあるでしょう。

氷室のフラワーアーチストとしての才能も世界的に認められるほどのものだったので、一之瀬が「こりゃすごいや」とたまげて献身を選ぶことも充分にありえます。

 

 

だとしても、献身のやり方が狂っています。

有明流の家元を脅して氷室の作品を酷評させる。わざと女を氷室に近づけて失踪させる。氷室に強大な試練を与えているのです。

氷室が絶望に折れてしまうことも考えられます。しかし一之瀬が「献身」の気持ちからこれらの行動を起こしていたのなら、氷室は一之瀬が作った障壁を越えられると信じていたのでしょう。

それくらいで折れてしまったのでは、最強のフラワーアーチストになれないぞと、叱咤激励の意味もあったかも。

しかし、献身するなら、もっと他に方法があったはずです。

やはり嫉妬と恨みから、氷室を地獄の底に叩き落としてやろうという悪意が膨れ上がっていたのではないでしょうか。

 


表面上は相手のいちばんのパートナーとして接し、裏では相手を地獄に落とす手引きをしている…。

最悪です。しかし、嫉妬や恨みは人を悪魔にします。嫉妬や恨みを通り越して、相手を貶めることで快楽を求めてしまう人もいます。

一之瀬という悪魔は、もし内田絵里奈との間でトラブルが起きなければ、延々と氷室への裏切り行為を続けていたかもしれません。

そんな人物に改心を促すのが、自らの犯罪を償うという行為です。人を殺したらそれに見合う刑期を贖罪にあて、人生をやり直すことができます。殺された人は人生をやり直せないけれど、殺した人は人生をやり直せるチャンスが与えられます。

しかし、一之瀬は死を選んでしまいました。「死んで詫びる」という行為で、被害者が詫びを受け入れられずはずがありません。

一之瀬は死んでしまったけれど、その心に棲みついていた悪魔は、消えていないかもしれません。

氷室の記憶には自分を裏切り続けた男のことが残ります。そして、彼の次の個展のタイトルは「ディアボロス=悪魔」です。

3年前の個展の際には喪失と悲しみをテーマにひていました。氷室の創作活動には負の感情がつきまとっています。

しかし、一之瀬が消え、時間が経てば悪魔の存在も見えなくなり、負の感情とは正反対の気持ちをフラワーアートで表現する時間が訪れるかもしれません。

氷室が悪魔を払拭できるよう願うばかりです。

 

 

「悪魔」の反対語は「天使」または「神」です。悪魔にはなりたくないとして、神になるのは大それているかな。だとしたら、人間は天使になるように努力するのが望ましいのでしょうか。

「天使…キリスト教で、天の使いとして人間界に遣わされ、神の心を人間に、人間の願いを神に伝えるもの。」

うーん、よくわかりませんが。「比喩的に、やさしくいたわりぶかい人。きよらかな人。」

あ、これ、右京さんだ。

これからは天使をめざしてみようと思います。

声に出して読みたい右京さんのセリフ

「カサブランカ。コンカドール。イザベラ。いずれもユリの品種名です。不思議ですねえ。まるであなたは氷室さんがユリを注文することをあらかじめ知っていたかのようです。そう、あの日あなたは氷室さんがユリを使った作品を作り始めることを見越していた。それはなぜか。彼が再び愛する女性の喪失を体験すると知っていたからですよ。つまり事件の連絡を受ける前から絵里奈さんが亡くなった事実を認識していたとしか思えないんですよ!」

「一之瀬さんは最後まで本当の動機を隠していたのではないか。一之瀬さんがもたらした苦しみは結果的にすべて氷室さんの才能を刺激し昇華させた。彼は生涯かけて、氷室聖矢という一輪の花を咲かせようとしていたのではないか。僕にはそう思えるんですよ。もはや確かめるすべはありませんが」

【相棒20第13話「死者の結婚」ネタバレ&感想】多岐川未来ちゃん行方不明事件の哀しい結果とやさしい嘘

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2022年1月26日放送の【相棒20第13話「死者の結婚」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第13話「死者の結婚」】はどんな話?

【相棒20第13話「死者の結婚」】

2022年1月26日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

ある日、伊丹(川原和久)のもとに、所轄時代に世話になった黒瀬という先輩刑事が訪ねてくる。現役時代、似顔絵捜査官だった黒瀬は、現在ボランティアで『冥婚絵』を描いているという。

冥婚とは、未婚のまま亡くなった人の遺族が、弔いのため仮想の結婚式をあげる風習のこと。

黒瀬は数か月前、多岐川という夫婦からの依頼で、13年前に行方不明になったままの、未来という名の娘の冥婚絵を描いたのだが、最近になって、その絵とそっくりの若い女性が、多岐川家にいるのを見たという。

しかし、行方不明だった少女が保護されたという報告はなく、伊丹は取り合わなかったが、興味を持った右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は独自の捜査を開始する。

そんな中、引きこもりの男性が刺殺される事件が発生。その現場から、なぜか問題の冥婚絵が見つかる。

さらに、右京と亘が多岐川家を訪ねると、確かに絵と似た若い女性が、そこにいた。ただ、それは遥香(山本舞香)という親戚の娘で、未来の従姉妹だという。しかし、調べを進めると、思いも寄らない事実が判明して…!?

結びつく13年前の少女失踪と現代の殺人
解明の鍵は、元刑事が描いた冥婚絵!?
家族への思いが意外な真相をあぶり出す!

テレ朝POST版

捜査一課刑事・伊丹憲一(川原和久)のもとを、元似顔絵捜査官・黒瀬和成(勝部演之)が訪ねて来た。黒瀬は1枚の絵のコピーを手に、13年前の失踪事件について確認に来たと話す。

興味を抱いた特命係の杉下右京(水谷豊)、冠城亘(反町隆史)が話を聞くと、その絵は13年前、学校帰りにこつ然と姿を消した当時10歳の少女・多岐川未来(加川心菜)の“冥婚絵”だという。

冥婚とは、未婚のまま若くして亡くなった故人の死後の世界での幸せを願い、仮想の結婚式を挙げる風習のこと。

黒瀬は定年退職後、ボランティアで“冥婚絵”を描く絵師として活動をしており、2カ月ほど前、未来の父・直樹(筒井巧)、母・愛子(宮田早苗)に依頼され、23歳になった彼女を想像してウエディングドレス姿の絵を描き上げたらしい。

ところが、3日前、多岐川家の庭先で自分が描いた肖像とそっくりな若い女性を目撃。未来が無事戻ってきたのか気になって、かつての後輩・伊丹のもとに確かめに来たと打ち明ける。

だが、未来が保護されたという報告は入っていなかった。気になった右京たちが多岐川家を訪問すると――現れたのはホクロの位置まで冥婚絵と同じ女性・菅原遥香(山本舞香)。

愛子によると遥香は未来の従姉妹だというが、右京は愛子が「未来を助けられなかったのは私にも責任がある」ともらしたひと言に引っかかりを感じる。

調べたところ、愛子が事件直後、未来のランドセルを持った男を目撃していたことがわかるが…!?

そんな中、フリーター・西條雅弘(横井翔二郎)が自宅で刺殺されていたのが発見された。

彼は人づきあいを極端に避けて暮らしていたようだったが、部屋の中からなぜかプリントアウトされた未来の冥婚絵が見つかった。

新たに起きた殺人事件、多岐川家にいた謎の女、そして13年前の失踪事件――冥婚絵によって結びついた事件の真実とは…!?

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主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

青木年男(あおきとしお)=浅利陽介

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

益子桑栄(ましこそうえい)=田中隆三

菅原遥香=山本舞香

黒瀬和成=勝部演之

多岐川未来=加川心菜

多岐川愛子=宮田早苗

多岐川直樹=筒井巧

西條雅弘=横井翔二郎

松尾紗月=街田しおん

ほか

スタッフ

脚本=川﨑龍太

監督=権野元

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

右京は未来と西条が通っていたピアノ教室で講師の松尾紗月に話を聞く。教室には紗月と生徒が写った何枚ものスナップショットが飾ってあった。

 

亘は西条家の仏壇の裏から未来の手袋を発見する。

帰ってきた娘は本物なのか?

右京と亘は多岐川家に行き、似顔絵の男を本当に見たのかと問い詰める。愛子は「顔は一瞬しか見ていなかった」と答える。

 

突然、愛子が倒れる。遥香が駆け寄り「お母さん!」と叫ぶ。直樹は「愛子は末期ガンで余命3か月」と話す。遥香が走り去り、特命係の2人が追う。

 

遥香は黒瀬の家に来て「お母さんは犯人の顔が見えなかった。なのになんであんな似顔絵が書けたの?」と問い詰める。場をおさめる右京と亘。遥香は出ていってしまう。

 

似顔絵は、少女拉致監禁の前科がある工藤雄一郎の仕業に違いないと思い、工藤の写真を見て描いた、黒瀬がねつ造した物だった。

 

犯人は工藤ではなく西条で間違いないだろう。

 

黒瀬が受けた「冥婚絵を見て目が覚めました。僕が未来ちゃんを殺して遺体を山に埋めました」と話す電話の主も西条だ。

 

しかし、当時、高校生だった西条が1人で未来を殺し山に埋めたとは考えられない。右京は「1人、心当たりのある人物がいます」と言う。

真相は?

ピアノ教室のスナップショットに写る紗月は西条とペアのブレスレットをしていた。西条の遺体についていた長い髪は松尾紗月の物だ。西条の共犯者で、西条を殺したのは紗月。

 

未来は13年前に失踪した日、ピアノのレッスンは無かったが、前日に忘れていった手袋を取りにピアノ教室に来た。

 

そこで、松尾紗月と西条が男と女の関係になっている秘密を見てしまった。

 

秘密を知られた西条が未来を追いかけると、未来が階段から転落死してしまった。

 

紗月は夫もいて、教室や生徒のこともあるため隠すことを決意。未来をトランクに入れた。

 

西条がランドセルを捨てに行く時に、愛子に目撃された。西条はランドセルと一緒に手袋も捨てろと命じられていたが、捨てられなかった。

 

未来の遺体は、山の中で発見された。

やさしい嘘の連鎖

運河沿いの公園で、右京と亘は遥香の正体をガールズバーで働いていた梶本彩奈であると暴く。

 

過去に青木年男が彩奈のカモに遭ったことで正体がわかった。彩奈の目の下のホクロはつけボクロだった。

 

彩奈が店の前で客引きをしていた時、未来に似ている彩奈を見て勘違いした直樹が「未来、お父さんだよ」と近づいてきた。

 

直樹は余命短い妻のために、未来が無事で見つかったと安心させてあげたい気持ちから、彩奈に未来のフリをしてくれるよう頼み、彩奈は未来として多岐川家に行った。

 

彩奈の話では、愛子は彩奈が未来ではないことに気づいているという。愛子は直樹のやさしさをくんで気づかないふりをしているのだ。

 

愛子は彩奈が来てから加減がよくなったという。13年もの間、止まっていた時計の針が動き出したからだろうか。

 

右京たちは彩奈を捕まえることなどせず、未来になりきって多岐川家に戻る彩奈を送り出した。

伊丹刑事の感謝

「こてまり」に右京と亘が来ると、伊丹が待っていた。

 

伊丹によると、黒瀬は自分がしたこととようやく向き合うことができたようで、多岐川家に謝罪に行くという。

 

冥婚絵と特命係によって解決できた事件。伊丹は自分の分だけではなく、右京と亘の分のお代も払い、静かに店を出た。

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感想など

夫も妻もその「娘」も嘘をついて暮らす家族ですが、13年前に亡くなった本当の娘の気持ちを考えると、それは「ついてもいい嘘」だったのかな、と思いました。

 

13年前。多岐川未来は、ピアノ教室に手袋の忘れ物をしてしまいました。

 

翌日、未来にレッスンの予定はありませんでしたが、手袋をとりにピアノ教室に行きました。未来が扉を開けると、そこでは講師の松尾紗月が生徒の西条雅弘に「性」のほうのレッスンをしていました。

 

秘密を知られた西条が未来を追いかけると、未来は階段から転落死してしまいます。紗月は「隠さなきゃ」と言いました。

 

こうして「多岐川未来ちゃん行方不明事件」は作り上げられました。

 

もし死んだ未来に心があるのなら、犯人を憎み、大切に育ててくれた両親に真実を告げたいと思うでしょう。

 

しかし、捜査を担当した刑事の思い込みが似顔絵となり、まったく別の犯人像を浮かび上がらせます。

 

未来の事件は「限りなくクロに近い容疑者がいるが、証拠がない事件」扱いになってしまいました。

 

なんとか両親の気持ちを安心させてあげたいという気持ちが、父の直樹とガールズバー店員の梶本彩奈を引き合わせたのかもしれません。

 

直樹は彩奈のことを未来だと間違えてしまいます。彩奈が未来ではないとわかると、今度はお金をたくさんあげるから、協力してほしいと持ちかけます。

 

直樹の妻を思う気持ちが嘘を作り上げました。

 

しかし、それはやさしい嘘。彩奈は未来として「13年ぶりの生還」を果たしました。男に監禁されていた、警察には言わないでほしい、と嘘をついて。

 

愛子は、どうやら未来が本物ではないと気づいている様子。


余命3か月の妻を安心させたい夫。
夫の気持ちに共感し協力する彩奈。
夫の気持ちをくんだ妻。

 

「家族3人」が3人とも「やさしい嘘」をついて送る生活です。

 

未来は空の上から微笑みつつ見つめていたのではないでしょうか。

 

そして、山の中から未来の遺体が発見されました。

 

ドラマの中では触れられませんでしたが、当然、遺体の身元確認のために多岐川夫妻に連絡がいき、本物の娘は無惨に殺害されていたことを知る時が来ます。

 

嘘は明らかにされますが、3人ともに温かい気持ちで心からの笑顔を見せることができるでしょう。

 

そんな、やさしい嘘。

テレ朝POSTの記事によると、梶本彩奈役を演じた山本舞香さんは「とても緊張しました」とのことですが「監督とはご一緒するのが2回目だったので、お話をいただいたときに連絡をして、たくさん役についてお話をしました。理解が難しいところは細かく話し合いをさせていただきました」との語る通り、彩奈の繊細な心情が伝わってきました。

 

そして。

 

今回は、なんといっても「伊丹刑事が所轄時代にお世話になった」元刑事役の勝部演之(かつべ・のぶゆき)さん。

 

勝部さんといえば【相棒】記念すべき第1作で捜査一課の金子警部を演じた人です。伊丹刑事は金子警部のもとで、亀山薫が容疑者となった事件の捜査をしていました。それから21年半ぶりの「上司と部下」。

 

勝部さんは他にも脇役で【相棒】に出演されていますが、これからもいろんな役で何度でも出てきてほしい役者さんです。

 

【相棒20】。楽しみつつ考えさせられる名作回が続いていて、嬉しい限りです。

声に出して読みたい右京さんのセリフ

「あなたが失いたくなかったもの。それよりはるかに多くのものを未来ちゃんとその家族が失い、今も取り戻せずにいます。その喪失感と絶望をあなたは一度でも考えたことがありましたか…ありましたか!」

【相棒20第12話「お宝探し」ネタバレ&感想】徳川埋蔵金よりも大切な宝物を求めて発掘を続けた男とは?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2022年1月19日放送の【相棒20第12話「お宝探し」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第12話「お宝探し」】はどんな話?

【相棒20第12話「お宝探し」】

2022年1月19日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

元刑事の安岡(小宮孝泰)が、自宅で撲殺されているのが発見された。捜査一課は、刑事時代に逆恨みされた可能性も視野に捜査を始める。

しかし、右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、安岡が埋蔵金探しの動画をサイトに投稿していたことに注目。事件との繋がりを疑う。

手掛かりを求めて発掘現場の赤城山を訪れた右京は、安岡の宝探し仲間である新井(山本龍二)と接触。作業を手伝うという名目で周辺を探り始める。

いっぽう、東京に残って背後関係を調べていた亘は、気になる情報を掴む。安岡と新井が発掘していた現場は、すでに不動産会社を営む東堂(目黒祐樹)という男が、大金をつぎ込んで探し回った場所だという。

さらに、安岡が警備員として働いていたのは、東堂の会社だったことが判明。しかし、東堂に確かめると、「面識はなかった」と語る。

不可解な繋がりに疑念を抱いた亘が、さらに調べると、東堂の長男の妻が3年前に行方不明になっていて、その直後に突然、東堂が発掘中止の指示を出していたことが分かる。

埋蔵金ハンターに加わった右京の狙いは?
単独行動の亘が掴んだ情報に謎を解く鍵が
興味本位のお宝探しが意外な事件をあぶり出す!

テレ朝POST版

元生活安全課の警察官・安岡宏(小宮孝泰)の他殺体が自宅で発見された。

安岡は3年前に定年退職した後、警備会社に勤務。最近では仕事のかたわら、埋蔵金ハンターチームの一員として群馬・赤城山で徳川埋蔵金の発掘調査に挑み、その様子を動画配信サイトに投稿していた。

元警察官がなぜ、埋蔵金ハンターに加わったのか…。興味を抱いた特命係の杉下右京(水谷豊)は、安岡の仲間、新井正二(山本龍二)と竹内秀雄(ぎたろー)に接触。なんと自ら新メンバーに立候補し、発掘作業を手伝いながら捜査を進めることに…。

一方、冠城亘(反町隆史)は、安岡たちが掘っていた地点は、すでに大手不動産会社会長・東堂元信(目黒祐樹)率いる大規模プロジェクトチームが発掘を行い、何ひとつ見つからなかった場所だという情報を入手する。

しかも、安岡が警備員として東堂の不動産会社に派遣されていたことも判明。

2人の接点に不審を覚えた亘が東堂の周辺を探ったところ、3年前、東堂の息子の妻・沙耶香が失踪し、その直後、東堂が発掘プロジェクトを中止していた事実をつかむが…!?

隠された真実を掘り起こすため、特命係は最後、驚がくの作戦に出る――!

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

青木年男(あおきとしお)=浅利陽介

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

中園照生(なかぞのてるお)=小野了

安岡宏=小宮孝泰

東堂元信=目黒祐樹

新井正二=山本龍二

竹内秀雄=ぎたろー

東堂沙耶香=朝見心

ほか

スタッフ

脚本=斉藤陽子

監督=権野元

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

東堂元信の息子・憲一と沙耶香の夫婦には祐希という息子がいる。

 

憲一が沙耶香の捜索願を出した1週間後に元信が安岡たちの元を訪れ「沙耶香から連絡があり、事情があるから探さないでほしいと頼まれた」と言っていた。元信の話では沙耶香は男と駆け落ちしたらしい。

沙耶香の駆け落ち相手も行方不明に?

しかし不信を抱いた安岡は1人で調べを続け、調べきれないうちに定年を迎えてしまった。

 

沙耶香の駆け落ち相手とされる熊沢和也も沙耶香と同時期に行方不明になっていた。

 

妻の浮気に逆上した憲一が殺害し、父の協力を得て発掘現場に遺棄したのか?

 

安岡の妻はすでに亡くなっており、安岡は新井に「家族がいるってことがどれほど幸せなことか。会いたくても二度と会えないっていうのはつらいもんでな」と話していたという。

ここ掘れワンワン3号代理・杉下右京

右京は「ここ掘れワンワン」の3号代理として発掘に加わる。

 

発掘現場の目印となるお地蔵さんが、以前の写真と様子が違う…お地蔵さんは動かされていたのだ。

 

右京は3号代理として4号に扮した亘と「ここ掘れワンワン」の緊急ライブ動画を配信。

 

「お地蔵さんは動かされていた。お宝が隠されている本当の洞窟を発見した」と発表し「続きは明日、発掘ライブで」と視聴者をあおる。

 

夜、ライトとスコップを持って洞窟に入ろうとする人物がいる。

 

右京が「おや、こんな時間にお宝探しですか?」と訊ねたその人物は宝山楼の従業員である高橋明子こと東堂沙耶香だった。沙耶香は自分が殺害した熊沢の遺体を掘りに来たのだ。

真相は…

沙耶香は熊沢に体の関係を迫られて、揉み合った際に熊沢を殺してしまった。警察に行くという沙耶香を元信が引き止め、埋蔵金発掘現場に熊沢の遺体を隠させ、一生見張っておくように命じていた。

 

安岡はお宝探しで宝山楼に宿泊した時に沙耶香を見かけてすべてを悟った。安岡に真相を明らかにするよう迫られた元信が安岡を殺害した。

 

安岡が殺害された日の20時ごろ、タクシーに乗った元信が安岡家のそばで降りたとの証言があった。

 

元信は「家族に殺人犯がいることがどういうことか、あんたらならわかるだろう。祐希のためにしたことだ」と右京たちに同意を求めた。

 

右京は「あなたのような身勝手な人間に家族を語る資格などありませんよ!」と断罪した。

安岡は本当の「お宝」に気づいていた

一方で、安岡が沙耶香のことに気づいていながら捕まえなかったのは、祐希のために罪を抱えて生きると決めた沙耶香に無理に詰めよれば沙耶香が命を絶つ恐れまであると考えたからだった。

 

安岡は、沙耶香から罪を償う機会を奪い、人生も奪った元信の口から真実を語らせようとしたのだ。

 

「会いたくても二度と会えないってのはつらいもんでな」と話していた安岡には沙耶香のつらさがわかっていた。

 

罪を償えばまたいつか家族に会える日も来る。安岡は沙耶香を家族のもとに帰したかったのだ。

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感想など

徳川埋蔵金を求めて「お宝探し」をするのは男のロマンのひとつであるようですが、人にはもっと身近に「宝物」があるんじゃないかと気づかされる内容でした。

「ユアライブ」の「ユアチューバー」

新井正二、竹内秀雄、安岡宏の3人は徳川埋蔵金を探して洞窟を探検していました。また、その様子を「ここ掘れワンワン」という動画に登場する1号、2号、3号として、動画配信サイト「ユアライブ」に投稿していました。

 

新井や竹内にとっては、埋蔵金を探し当てることが本来の目的なのですが、その様子を動画配信サイトに投稿していたのは、なぜなのでしょうか。

 

「ユアライブ」は「YouTube(ユーチューブ)」の【相棒】版といったところでしょうか。

 

右京さんによると、定年後の第2の人生として「ユアライバー」になるシニアが増えているとか。「ユアライバー」は「ユーチューバー」を指しているのでしょう。

 

誰でも気軽に発信できて、動画の再生回数によってはお金稼ぎもできてしまうユーチューバーは、10代の「なりたい職業」で上位にくるほどの人気です。

 

お笑いタレントなど芸能人がユーチューバーに転身する例も増えています。その波及効果がシニア層にも及んでいるようです。

 

ただし、新井や竹内にとってはユアライバー活動はお金のためというよりも、視聴者とのロマンの共有のために続けているものなのかもしれません。また、本当に埋蔵金を見つけた時の証拠のために動画を残しておきたいという目的もあるでしょう。

 

「ここ掘れワンワン」のチャンネル登録者数や動画再生回数がどれくらいかはわかりませんが、チャンネルをバズらせたい思惑の一方で、そういった数字にとらわれることなく、好きなことをやって動画にしているという好奇心満載の企画が、右京さんの琴線に触れていたのかもしれません。

埋蔵金ハンターに加入した意図

ただし「ここ掘れワンワン」の埋蔵金ハンター3号である安岡宏は、新井や竹内とは違った理由で発掘に参加していました。

 

安岡は世田谷西署の警部補だった時に、東堂沙耶香が行方不明になった事件を担当していました。しかしこの事件の捜査は、沙耶香の義理の父親である元信による「沙耶香を探さないでほしい」との申し出によって打ち切られます。

 

納得がいかない安岡は、1人で調査を続行しますが、調べきれないうちに定年を迎えてしまいました。

 

沙耶香の夫である憲一を疑う安岡は、沙耶香とその駆け落ち相手の死体が遺棄されているかもしれない場所を突き止めます。

 

そして、自分が埋蔵金発掘しているふりをして死体を発見しようとしていることを、元信とその息子に知らせようとしました。

会いたくても二度と会えないつらさ

安岡宏は温泉旅館で沙耶香が身分を隠して働いている姿を見かけ、すべてを悟りました。沙耶香は男を殺した罪をかぶって家族の元から消え、死体の隠し場所を見張って生きていると。

 

妻を亡くしてから1人で暮らしてきた安岡は、独り身になってから、家族がいることがどれほど幸せなことかを自覚するようになっていました。

 

妻と会いたくても二度と会えないというつらさ。

 

そのつらさは、自分の子供と二度と会えないと思っている沙耶香も同じなのではないか。

 

しかし、沙耶香の子供は生きています。沙耶香が罪を償えば、家族に再会することは許されるはず。

 

そう考えた安岡は、自分の身を賭して真実を明らかにしようとして、殺されてしまいました。

本当に大切な「お宝」は身近にある

安岡が土を掘っていた場所には死体は埋まっていません。

 

そんなことは知らない安岡は、せっせ発掘作業に専念していました。

 

真実を明らかにして、埋められた人物を供養してやりたいという安岡のまごころがシャベルを動かしていたのではないでしょうか。

 

安岡が掘り当てようとしていたのは、埋蔵金よりも大切なものだったのです。

 

ドラマの中で、埋蔵金さがしに夢中になる新井に対して妻が邪険な態度で接する場面が出てきます。これは「もっと近くにある大切なものを大事にするべきなんじゃないの?」という視聴者への問いかけだったような気がします。

 

事件の解決後も新井と竹内はハンター1号・2号として埋蔵金発掘をめざし続けているようです。それはそれで、とても幸せなことなのかもしれません。

 

当たり前のようにあるものに対して鈍感で、無いものねだりをしてしまう。

 

自分にとって本当の「お宝」とは何なのか。胸に手を当てて考えて、思い当たったものを大切にしようと思いました。

声に出して読みたい右京さんのセリフ

「おや、こんな時間にお宝探しですか?」

 

「あなたのような身勝手な人間に家族を語る資格などありませんよ!」

【相棒20第11話「二人」ネタバレ&感想】悪徳政治家が絡む事件に遭遇した小学生は大切な人を救えるか?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2022年1月1日放送の元日スペシャル【相棒20第11話「二人」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第11話「二人」】はどんな話?

【相棒20第11話元日スペシャル「二人」】

2022年1月1日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

年末、峯秋の誘いで高級レストランを訪れた右京(水谷豊)は、与党政調会長の袴田(片岡孝太郎)と経済界の重鎮が、会合を開いているところを見掛ける。個室のテーブルには、3人の席が用意されていたので、もう1人、参加者がいると思われた。

同じ夜、落としたスマホを探していた少年が、大人同士が言い争う姿を目撃。それに気づいた男に、落としたスマホを持ち去られてしまう。

 

翌日、年末年始の当番勤務にあたっていた亘(反町隆史)は、ある女性から呼び出しを受ける。同じく当番だった右京に、「紹介したい人がいる」と言い、連れ出した先は教会。そこにいたのは、亘の姉・由梨(飯島直子)だった。

ピアノ教師をしながら教会でボランティアをしているという由梨は、保護した記憶喪失の男性(イッセー尾形)の身元を調べてほしいと依頼する。しかし、本人が“湊健雄”と名乗っている以外、手掛かりはなし。唯一、大手鉄道会社の駅売店の名前が記憶に残っているらしいが…!?

 

そんな中、右京と亘は、湊を最初に見つけた2人の少年から話を聞く。利発な2人は、当時の状況を分かりやすく説明してくれたが、何かを隠している様子。どうやら、片方の少年が、雑木林でスマホをなくしたようで…!? 

身元調査の糸口を求めて、駅売店の本社を訪れた右京と亘は、同社が非正規雇用の賃金問題で紛争を抱えていることを知るが、湊に関する情報は得られなかった。同じ頃、少年のスマホを手にした男が、身分を偽り、2人のすぐそばまで迫っていた。

 

2人の少年は何を目撃してしまったのか!?
亘の姉が保護した記憶喪失の男とも関係が?
人々の思いが交錯するとき、驚きの真実が明らかになる!

テレ朝POST版

年の瀬――年末年始の当番勤務のため登庁していた特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)。その間、何度も亘の携帯電話が鳴るものの、なぜか本人は出ようとしない。

やがて観念した表情を浮かべた亘が「折り入って紹介したい人がいる」と切り出したため、右京は驚く。

てっきり婚約者に引き合わされるものと思って緊張していた右京だが、亘に連れて行かれた先は教会で、待っていた美しい女性は亘の姉・由梨(飯島直子)だった。

 

ピアノ教師として働きながら教会でボランティア活動を行っているという由梨は昨晩、保護した高齢男性について相談があって亘に連絡したと話す。

由梨によると前夜、公園を通りかかった小学6年生の男の子・早瀬新(西山蓮都)と峰岸聡(川口和空)が、泥だらけで座り込んでいる男性を発見し教会に連れてきたという。

 

男性は頭部にケガをしており、“湊健雄(イッセー尾形)”と名乗ったもののそれ以外は覚えていない様子で、脳震盪の衝撃による記憶喪失と診断されたらしい。

右京と亘は発見時、湊が上質なスラックスにくたびれたスニーカーを履いていたことを聞き、そのアンバランスな服装に疑念を抱く。

また、湊と遭遇した夜、新はスマートフォンを紛失し聡とともに公園で捜していたこともわかるが、2人がそれを大人たちにひた隠していることを不審に思う。

右京たちはさっそく湊の素性を調べはじめるが、その矢先、新が“ある頼みごと”を持ちかけた由梨のボランティア仲間が遺体となって発見され、事態は思いがけない方向に…。

その後も、複雑に絡み合う謎をひとつひとつ紐解いていく特命係。やがて、事件を結ぶ細く黒い糸は与党政調会長・袴田茂昭(片岡孝太郎)へとつながっていき…!?

はたして黒幕は誰なのか、そして湊は何者なのか、すべてを暴くため右京は危険な賭けに出る…!

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

青木年男(あおきとしお)=浅利陽介

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

益子桑栄(ましこそうえい)=田中隆三

土師太(はじふとし)=松嶋亮太

社美彌子(やしろみやこ)=仲間由紀恵

甲斐峯秋(かいみねあき)=石坂浩二

湊健雄=イッセー尾形

袴田茂昭=片岡孝太郎

冠城由梨=飯島直子

早瀬新=西山蓮都

峰岸聡=川口和空

ほか

スタッフ

脚本=太田愛

監督=権野元

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

甲斐嶺秋が右京たちを高級レストランに誘ったのは「こてまり」が繁盛してしまって予約が取れなかったからだった。

 

内閣情報調査室。社美彌子が「最初から人数は5人と決まっている。だから3人を押さえてしまえば決まり。そう考えてるんでしょうね」とひとりごちる。

 

秘書の石川が「官邸のほうはこの件に関してもう触れるなと」と進言すると、美彌子は「起こっている出来事を知らないでいる人間と、知っていて黙っている人間と、どちらが価値があると思う?」と言う。

結城宏が初老の男性を殴り倒してしまう

公園で結城宏という男が初老の男性を殴り倒してしまう。初老の男性が死んでしまったと思った結城は男性をベンチに寝かせて、電話をかけ別の男を呼び出す。

 

電話で呼び出された男がベンチの前で結城を叱責しているところを、早瀬新のスマホを探して公園に来た峰岸聡が目撃し、スマホで動画を撮影する。

 

動画を撮られていることに気がついた結城が聡と新のほうに寄ってくる。新は聡を引っ張って滑り台の裏に隠れる。

 

新のスマホが鳴り、結城が拾う。新の祖母の早瀬君枝からの着信だった。結城は新のスマホを持ち去る。

 

新はスマホを取り返すため「マメさん」と呼んで慕う遠藤佑人に、聡が撮った動画の解析を頼む。動画では結城が「確かにここにあったんです」などと話す声も収録されていた。

角田課長が「湊健雄」を覚えている?

結城に殴られた初老の男性は新と聡に発見され、福田という男の助けを借りて冠城由梨がボランティアを務める聖マティス教会に引き取られていた。男性は「湊健雄」という名前以外に「デイリーハピネス」という言葉を思い出す。

 

右京と亘は、新と聡に話を聴く。新と聡は公園に行った理由をごまかす。聡の母の瑛子が来ると、新は逃げるように場を去る。

 

角田課長が「湊健雄」という名前について、どこかで聞いた覚えがあると言う。しかしよく思い出せない。

 

右京と亘は公園で巡回警備員の高田という男に出会う。高田は「ボンバー高田」という名前でSNSに動画を投稿しているという。高田は前夜、公園で新と聡が何かを探している様子を目撃していた。

デイリーハピネス本社前での騒動

入院している君枝の病室に見舞いに行く新。足の骨にヒビが入っているだけという君枝が何かの検査を受けたことを気にする。

 

新は湊健雄に「ちょっとした仕事」を頼まれてくれたら、家に泊めてあげてもいいと話す。小学6年生の新は君枝と2人暮らしだが、君枝が入院しているため1人で生活していた。

 

「デイリーハピネス」はキャピタル鉄道の駅売店の名称。右京と亘が駅売店に勤める浦野芳子に話を聴くと芳子は労働条件が厳しいとグチをもらす。

右京たちはデイリーハピネス本社の種村栄一らに話を聴こうとするが、何も教えてもらえない。

 

その帰り、デイリーハピネス本社を出たところで、プラカードを持った集団と出会う。彼らは「非正規差別NG」と書かれたビラを渡し「格差を無くせー!」「退職金を払えー!」などと本社に向かって声をあげる。

高田がやらかしたこととは?

結城が君枝の携帯電話に、学年主任を騙って電話をかけて新が聖マティス教会に出入りしていることを突き止める。結城は教会で福田に遠藤のことを教えてもらう。

 

新の部屋に由梨が来ると、新は湊がいることを由梨に隠す。

 

右京は湊健雄の財布や時計、眼鏡、ジャケットなどを高田がリサイクルショップ「泥棒市場」に売り払っていたことを突き止める。

 

高田は、それらの物が公園のベンチとベンチの間に置いてあったので拝借してしまったと白状する。

 

右京たちが鑑識課の益子に頼んでベンチを見てもらうと、ベンチから血痕と毛髪が検出される。右京は湊健雄の革靴と新のスマホが誰に持ち去られたのかが気になる。

実家の部屋で思い出に浸る冠城亘

由梨によると、峰岸瑛子は貧しい暮らしをする新が気に入らないようで、聡と新が一緒に遊ばないように言いつけているらしい。

 

亘は久しぶりに冠城家の自分の部屋に泊まることにする。そこで宛名のところに「冠城亘」と書かれたハガキを取り出す。

 

新が湊に頼んだ「仕事」とは、湊が君枝の親戚になりすまして、医師に君枝の検査内容について問いただすことだった。

 

医師は君枝には深刻な病気などないと答える。新はたった1人の肉親のことが心配で心細かったのだ。湊は病室で君枝と談笑する。

遠藤の遺体が発見される

運河沿いの倉庫で男の遺体が発見され、伊丹刑事や芹沢刑事、出雲麗音らが駆けつける。遺体の手首には「♾(無限大)」の記号が刻印されていた。遠藤だ。

 

遠藤を殺したのは結城だった。遠藤は聡が撮影した動画から、公園のベンチの前で話しているのが袴田と秘書の結城であることに気がつき、結城に「公園で死体を始末したのは自分だ」と話し、結城に金銭を要求していた。

 

遠藤の死を悟った新は聡に「公園で撮った動画は俺のスマホで撮ったことにする。いいな」と話し「あと、俺ん家にもう遊びに来るな」と言って聡の襟首をつかむ。そこを瑛子に発見され「一緒に遊ばないって約束したじゃない」と叱責される。

 

新は後を追ってきた亘に「世の中みんな自己責任なんだよ。俺たちみたいなのはどこまで行っても努力がたりないんだ」と話し、心を閉ざす。その様子を右京も聞いていた。

角田課長が「湊健雄」を思い出す

角田が「湊健雄」は売れない演歌歌手だったことを思い出した。その売れない演歌歌手「湊健雄」の正体は福田だった。

 

福田は右京に白状する…福田は公園で初老の男性を発見した時、男性の革靴を盗んでしまった。その時、上着や腕時計、財布なども男性の体から外したが、出てきた名刺入れを見てびっくりするうちに男性が起き出してしまった。

 

男性がふらふらしているところを新と聡が発見し、福田がもう一度、男性と2人きりになったところで、湊にいろいろ忘れていてほしいと思い男性に「自分は湊健雄という名前だ」と思い込ませた。

 

男性の本名は若槻正隆。最高裁判所判事だった。

事件の真相は…

若槻は袴田代議士が絡む事件を担当していた。袴田は結城に、若槻を懐柔するように命令していた。若槻は結城の申し出を突っぱね、公園でもみ合ううちに、結城が若槻を突き飛ばしてしまったのだ。

 

右京は、年の瀬にレストランで袴田を見た時の個室テーブルに3人分の席が用意されていたことから、あの場に袴田が若槻を呼んでいたことを突き止める。

 

社美彌子から、レストランで袴田と同席していた経済界の重鎮がキャピタル鉄道の会長に就任することを知らされる右京。

 

2020年4月、同一労働同一賃金を掲げたパートタイム有期雇用労働法が施行された。今後は多くの訴訟がなされ、その判例の積み重ねがこれからの社会の規範を作っていく。袴田は5人の判事のうち3人を懐柔すれば経営者側に有利な判決を確約できると考えた。

 

あの日、袴田は経済界の重鎮を若槻に引き合わせるつもりで結城を迎えに行かせた。ところが若槻は、担当裁判の利害関係者が来ると知って会うことを拒んだ…。

右京と袴田の対決

結城が新を襲撃し、車で連れ去る。それを目撃していた聡が右京たちに「新を助けて」と頼む。右京は「君の協力が必要です」とやさしく聡に語りかける。聡は、新のスマホを持ち去ったのが結城であることを証言する。

 

結城は新だけでなく若槻も拉致し、拘束する。

 

右京は、結城が新のスマホの電源を入れた瞬間に居場所を特定し、袴田から新のスマホに電話をかけさせて、結城を説得するように交渉する。

 

袴田は捜査への協力を申し出て結城との会話の録音を許可。

 

捜査本部から結城に電話をかけた袴田は若槻のことを「死人」と表現した。

 

若槻が死んだと思っているのは、遠藤に騙された結城と袴田の2人だけだ。袴田は「私は若槻判事が死んだなどと言った覚えはない」と言い張るが会話は録音されている。袴田は自らの口で犯行を認めてしまったのだ。

 

「警察官ごときに何がわかる!」と開き直る袴田を「あなたのように自分たちの利益しか考えない愚かな権力者たちが、このような歪んだ社会を作ったんですよ!」と一喝する右京。

亘が右京に少年時代を打ち明ける

新と聡が再会し喜びをわかちあうのを見て、亘は右京に「俺にも新くんみたいな友達がいたんです」と語りかける。

 

和也というその友達に嫌われたと思った亘は、転校することになった和也の連絡先を知ろうと思い、自分宛のハガキを渡そうとしたが、渡せなかった。亘はそれを今でも後悔している。

 

「子供の頃のことは忘れられませんよね。でも、彼らはきっと」と右京は言い、温かい目で新と聡を見つめる。

 

「私が間違っていました」と新に詫びる瑛子。

 

記憶を取り戻した若槻判事が右京たちに挨拶する。新は若槻に「今度おばあちゃんとデート行ってくれる?」と頼むのであった。

 

公園でひとり演歌を口ずさむ福田に「お上手ですね」と声をかけたのは高田。高田は「動画、お好きですか?」と福田を誘う。

 

年明け。こてまりを貸し切りにできてご満悦の嶺秋。右京は「あの日、こてまりさんが断ってくれなかったら事件は解決できなかったかもしれませんねえ」と振り返った。

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感想など

2022年の元日スペシャルは、お正月にのんびり視聴するには最適な「わかりやすくて、面白くて、痛快な【相棒】」の持ち味が発揮されつつ、人が支え合って生きる大切さについて深く考えさせられる内容となりました。

犯人が最初からわかっているストーリー

今回のエピソードが分かりやすかった要因のひとつに「殺人犯が誰か最初から明かされていた」ことが挙げられるでしょう。

 

このところの【相棒】は「真犯人は誰か」を探りながら終盤に向かっていく、刑事ドラマの王道スタイルが続いていました。

 

犯人が最初からわかっているパターンだと、右京さんたちが終盤に向けて真相にたどり着いていく過程で、中だるみがあるとストーリーに飽きを感じてしまう場合があります。

 

しかし今回の「二人」はよく作り込まれていて、真犯人の追い詰められていく心理と、事件に巻き込まれた人人の心情の機微が上手い具合に噛み合って、終盤まで一気に進んでいきました。

 

「誰が犯人か」という探偵ゲーム的な要素より「小学6年生の新や記憶喪失の男がどうなってしまうのか」「右京さんはどうやって2人を助けるのか」といったドキドキに視聴者が集中しやすい展開になったため、「わかりやすさ」がパワーを発揮して、しかも「右京さんが悪をくじいてくれる」安心感を予期できることから、終盤に向けてワクワクが増幅していくのです。

新は思いやりのある傷つきやすい子供

早瀬新と峰岸聡は仲の良い友達です。しかし、聡の母は「新が貧乏人の家の子だから」という理由で、聡に新と一緒に遊ばないことを約束させています。

 

それでも仲良く遊んでいる二人。新がスマホを紛失してしまい、事件に巻き込まれていくことになります。

 

新はとても心がきれいな人間で、誰とでも仲良くなれる気質の持ち主のようです。教会でボランティアをする冠城由梨や藤田、マメさんらとも親しくしています。

 

スマホを紛失した件に絡んでマメさんの身に不幸があったと悟ると、新は聡に危険が及ばないように、聡を自分から遠ざけようとします。

 

二人の人間がいて、相手を大切に思うばかりに、突き放してしまう不器用なやり方。その正義感を屈折しているととるか、純情ゆえととるか、その両方であるのか、捉え方はさまざまですが、新の子供なりの優しさがひしひしと伝わってきます。

 

一方で新は、記憶喪失の「湊健雄」に「ちょっとした仕事」を頼みます。湊は頭部をケガしていますが容赦しません。

 

その仕事とは、たった1人の肉親である祖母の病状を医師に確認するものでした。

 

新にとっては祖母との「二人」での暮らしはとても大切なものであり、祖母のことが心配して心細かったのです。

 

そうした心情をくんであげる湊を、新は「友達」と呼びます。ここにも新と湊という「二人」の独特な世界があります。

さまざまな「二人」の関係

今回はタイトルが「二人」ということもあり、さまざまな「二人」の関係がクローズアップされました。

 

新と聡。新と君枝。新と湊。

 

もとはといえば【相棒】は右京さんとその相棒による「二人」が主人公の物語です。

 

人は支え合っていくことで無限大のパワーを発揮して生きていくことができます。「一人」より「二人」。その素晴らしさ。

 

殺人犯となった結城は「仕事」として与党政調会長の袴田と「二人」の関係にありますが、その実態は袴田が結城を利用するだけのつながりでした。

 

もし袴田に「思いやり」があって、そのうえで「二人」の関係が築けていたら、結城が泥沼にハマることは無かったかもしれません。

 

若槻正隆が身につけている物を拝借してしまった高田と福田が最後に知り合うシーンは、今回のエピソードのテーマが「二人」であること、その温かみを象徴的に語っていました。

裏切らない【相棒】も素晴らしい

ドキドキの展開の末に右京さんが悪を一喝して締める、という「わかりやすさ」は、お正月に家族みんなで見る時間帯としての【相棒】ではいちばん望まれる展開でした。

 

一時期は、元日から重い展開のスペシャルが続きました。右京さんの一喝すら通じない快楽連続殺人犯の登場に魂をえぐられる元日の夜を過ごしたこともありました。

 

でもやはりお正月くらいは楽しく過ごしたいものです。わかりやすすぎるほどの勧善懲悪となった「二人」は、家族でこたつに入ってミカンを食べながら、どこかで触れたことがあるようなストーリーに「ああ、こういう展開あるある」とニヤニヤしながら見ることができる、最適な構成でした。

 

視聴者との関係において、制作スタッフが「裏切りこそ【相棒】の真骨頂」なんて表現することがあるほど「何が起こるかわからないのが【相棒】の醍醐味」とも言われますが、じっさいは「裏切らない【相棒】」こそ安心して楽しめる、最高の娯楽だなあとも思うのです。

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声に出して読みたい右京さんのセリフ

与党政調会長・袴田と対峙して

袴田「警察官ごときに何がわかる。この国の経済を動かすには、低賃金で働く労働者が不可欠なのだ」
右京「国の経済…僕には、あなたとあなたのお友達の経済にしか思えませんがね」
袴田「国力を高め、国を豊かにするために必要な物を確保する。それが為政者の仕事だ」

右京「なるほど。あなたがたにとって、低賃金で働く労働者は国民ではなく物というわけですか。確かに彼らはあなたがたのように何かあればすぐに病院の特別室に入れるわけではない。しかし、そんな人々にも、大事な家族や生活がある。どんな人にも、守りたいと願うそれぞれの幸せがあるんですよ!」

袴田「それこそ自分でどうにかしたらいいんじゃないのか」

右京「そうでしょうか。12歳の少年が何もかも受け入れて諦めて、この世は自己責任だという。困った時に助けを求めることすら恥ずかしいことだと思い込まされている。それが豊かな国と言えるでしょうか。公正な社会と言えるでしょうか。袴田さん。あなたのように自分たちの利益しか考えない愚かな権力者たちが、このような歪んだ社会を作ったんですよ」

袴田「杉下とか言ったな。おまえとはいずれ、決着をつけなければいけないようだ」

右京「望むところです」

【相棒20第10話「紅茶のおいしい喫茶店」ネタバレ&感想】世界でひとつだけの証拠を作った杉下右京!

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2021年12月22日放送の【相棒20第10話「紅茶のおいしい喫茶店」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第10話「紅茶のおいしい喫茶店」】はどんな話?

【相棒20第10話「紅茶のおいしい喫茶店」】

2021年12月22日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、角田(山西惇)からの頼みで、張り込みを手伝うことに。

捜査対象は、仮想通貨の儲け話を持ち掛けるロマンス詐欺のグループ。だまし取った金の保管場所とみられる家具店を見張ることになった右京と亘は、怪しまれずに張り込むため、目の前の喫茶店に目をつける。

2人は、オーナーの真鍋(酒井敏也)に事情を話し、店番をする代わりに、捜査への協力を持ち掛ける。

真鍋の承諾を得て、さっそく接客を担当することになった右京は、瑞枝(麻丘めぐみ)という紅茶好きの女性と知り合い意気投合。うんちくを傾け合うが、右京は瑞枝がふと寂しげな表情を見せたこと気づく。

そんな中、問題の家具店に出入りしていた男女が、喫茶店にやってくる。亘は、店を出た2人の尾行を試みるが、タイミング悪くクレーム客に捕まり、見失ってしまう。

その後、特命係に戻った右京に、思わぬ情報がもたらされる。亘が取り逃がしてしまった男が、転落死体で見つかったという。

テレ朝POST版

特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、組織犯罪対策五課長・角田六郎(山西惇)から張り込みを手伝ってくれと頼まれる。

角田は捜査二課と組んで、マッチングアプリと仮想通貨を巧みに連動させたロマンス詐欺グループを追っていたが、彼らはだまし取った金を足がつかないよう現金に換え、8カ所あるアジトのどこかに隠しているという。

特命係には、そのうちの1カ所、輸入家具店の倉庫を張り込んでほしいというのだ。

その詐欺グループは、偽のサイトを制作する“IT担当”、ターゲットとの“交渉役”、金を運ぶ“運転手”など細かく役割が分担されており、誰ひとり”指示役”のリーダーの顔を見たことがないという謎深き集団だった。

さっそく張りこみ先の倉庫まで出向いた2人は、出入り口がよく見える場所にガラス張りのカフェがあるのを発見。

定年退職後、趣味で店をオープンしたというマスター・真鍋弘明(酒井敏也)に頼み込み、店員のふりをして24時間、張り込むことを決める。

右京も亘も、エプロンに蝶ネクタイといういで立ちで店を切り盛りし、右京は常連客・大杉瑞枝(麻丘めぐみ)と紅茶談義を楽しむまでに…。

そんななか、2人はついに倉庫に1台の車が入っていくのを目撃!

しかも、車に乗っていた詐欺グループのメンバーと思われる1組の男女が、右京たちの喫茶店にやって来たからビックリ。

亘は店を出た後の彼らを尾行しようとするが、見失ってしまい…その直後、思いもよらぬ事態が起きるが…!?

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

益子桑栄(ましこそうえい)=田中隆三

大杉瑞枝(おおすぎみずえ)=麻丘めぐみ

真鍋弘明(まなべひろあき)=酒井敏也

ほか

スタッフ

脚本=根本ノンジ

監督=蔵方政俊

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

ロマンス詐欺の犯人と思われる男の手がかりは、交渉役を担当する男のDNAがついたストロー1本のみ。

右京が紅茶への惜しみない愛を披露する

右京が、張り込み場所に決めた喫茶店「Tea Tea Tea」のマスターである真鍋に「今季のダージリンのセカンドフラッシュはどう感じましたか?」と訊ねると、真鍋は「イマイチだったね。深みが足りてないし香りもね」と残念がる。

 

翌日、右京たちは捜査協力の同意書を真鍋に書いてもらう。右京は「僕が仕入れた茶葉、ここに飾っても構いませんか?」とお願いし、真鍋が承諾すると茶葉をカウンターに並べ始める。

 

「それと、僕がブレンドした紅茶を試飲してくれませんかねえ?」と右京が頼むと、真鍋はこれも快諾し「後でいただきますんで、ここに入れておいてください」と携帯ポットを右京に渡す。

 

瑞江が喫茶店に入ってくると、右京が並べた茶葉の中から高価なゴールデンチップスを見つけ「ロンドンのホテルで飲んだら1杯2万円以上するわよー」と話す。

 

瑞江が「いつもの席」に座るのと同時に、メガネをかけた男が客として入店し「ブレンド」と注文する。

 

窓の外の様子を眺めている瑞江に右京がゴールデンチップスの紅茶をサービスすると、瑞江は夫との思い出話を始め、夫は長野の奥諏訪という場所にいると言う。

 

さらに倉庫に車を停めた男女のカップルが入店し、ブレンドと「本日の紅茶」を注文。「本日の紅茶」はアールグレイのオレンジペコだった。

 

男女が会計を済ませ店を出ていき、亘が尾行しようとするが、メガネをかけた男が「ブレンドに髪の毛が入っている」とクレームをつけ、瑞江も会計を右京に頼んだために男女を見失ってしまう。

鷲尾拓磨が死体となって発見される

顔認証と指紋から、男女のうち男は鷲尾拓磨(わしおたくま)、女は赤堀絵里(あかぼりえり)と判明する。ロマンス詐欺の犯人と思われる男が残していたストローのDNAも鷲尾のものと一致した。

 

その鷲尾が、ビルの非常階段で死体となって発見される。

 

鑑識課の益子によると頭蓋骨が陥没していて、非常階段で転落したようだ。捜査一課の出雲麗音によると、防犯カメラにレストランから鷲尾が絵里に支えられて出ていく姿が捉えられていた。

 

そして角田に部下の刑事から「倉庫の金が消えた」と連絡が入った。

発端は「原野商法特殊詐欺」?

右京は資料を探るうちに2年前の原野商法特殊詐欺事件に行きあたる。原野商法は1980年代に多発した、地方の価値のない山や原生林をレジャー施設ができるなどと嘘をついて高く売りつける手口の詐欺。

 

最近はその二次被害が増えているという。弁護士や不動産業者になりすまして、過去に買わされた土地を高く買取るなどと言って、さらに別の土地を買わせているらしい。

 

その被害者の中に「大杉隆也」という名前があった。土地の購入箇所は長野県の奥諏訪郡…。

 

亘から右京に電話が入る。防犯カメラをさらに調べたところ、大杉瑞江が鷲尾と絵里を尾行していたというのだ。

 

右京と亘は、大杉隆也が2年前に自殺した橋の上に駆けつけて、後追い自殺しようとしていた瑞江の身を確保する。

 

瑞江と隆也の夫婦は鷲尾に詐欺にあい、老後の資金をすべて騙し取られていた。瑞江はビルの非常階段の最上段に座っていた鷲尾を突き落としたと自供する。

 

しかし、鷲尾の体から出血量が少なかったことを不審に思った右京と亘が、解剖の鑑定結果を取り寄せると、鷲尾の体からフグの毒であるテトロドトキシンが検出されたことがわかる。

 

瑞江が鷲尾の背中を押した時、鷲尾はすでに死んでいたのだ。赤堀絵里が飲み物か食べ物にテトロドトキシンを混入させて鷲尾を殺したようだ。

赤堀絵里の死体が発見される

船着場で赤堀絵里の遺体と遺書が発見された。分け前をめぐってもめた鷲尾を殺害したが逃げきれないと観念して自殺…というのは「都合が良すぎる」と見る右京と亘。

 

2人が「Tea Tea Tea」を訪れると、真鍋は店を閉めるという。

 

右京は真鍋に最初から違和感をもっていたと打ち明ける。

 

今年のダージリンのセカンドフラッシュは滑らかで深みがあって非常に評判が良かったのに、真鍋が酷評していたこと。右京が並べた茶葉の中にあったゴールデンチップスが最高級のものであることに真鍋が気が付かなかったこと。

 

真鍋は「本当は紅茶好きじゃないだけだ」と言い逃れようとする。亘は、真鍋が書いた捜査協力の同意書と、32年前に大杉隆也が交わした土地の売買契約書を並べ、不動産仲介人の箇所に署名した「高橋明雄」という人物の「明」の字と「真鍋弘明」の「明」の字が筆跡鑑定で同一人物と判明したと宣告する。

詐欺のリーダーは「予想外」を利用した

詐欺グループの隠れたリーダーは真鍋…。真鍋はメンバーの前には姿を現さずメールですべて指示を出し、喫茶店から金の隠し場所である倉庫を監視していた。

 

そこに、予想外の出来事が2つ起きた。ひとつは自分が騙した被害者の家族である大杉瑞江が常連客になったこと。もうひとつは、右京たちが店を張り込みに使わせてほしいと申し出てきたこと。

 

真鍋はその2つを利用することにした。鷲尾に「店員が怪しい、探ってみろ」と指示を出し、鷲尾と絵里を喫茶店に来させて、それを、鷲尾に強い恨みを持っている瑞江に見させた。鷲尾のDNAを残させる目的もあった。

 

瑞江が鷲尾たちを尾行することも想定していた。絵里に命令して、鷲尾に毒を飲ませて非常階段に運ばせ、すでに死んでいる鷲尾を瑞江が突き飛ばすように仕向けた。

 

その混乱に乗じて、真鍋は倉庫の現金を持ち出した。そして赤堀絵里に毒を飲ませて自殺に見せかけ、すべての罪を押しつけようとした…

右京が提示した証拠とは?

「証拠はあるのか?」と強気に出る真鍋。

 

すると右京は、細かく砕いた紅茶の茶葉を証拠品として差し出す。

 

ダージリン、キーマン、ラプサンスーチョン…右京がブレンドして、真鍋の携帯ポットに入れた紅茶のものだった。

 

それが、絵里の胃の中から発見された。真鍋は、右京がブレンドした紅茶に毒を混ぜたものを絵里に飲ませてしまったのだ…。

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感想など

30年以上も詐欺師を続ける知能犯が逮捕されるに至ったストーリーを見て「証拠」の大切さを、改めて考えさせられました。

展開を読みやすい筋書きだったかな?

今回のストーリーは【相棒】のコアなファンにとっては、読みやすい筋書きだったかもしれません。

 

というのも、ゲストが麻丘めぐみさんと酒井敏也さんだったから。

 

2人はどちらも初期の【相棒】にゲスト出演したことがあります。

 

麻丘さんは2003年12月3日放送の【相棒2第8話「命の値段」】で、新宿の人生横丁にあるスナック「真理子」のママ役として出演しました。

 

真理子は、中原丈雄さんが演じるエリートの男に捨てられ、その男との間にできた子が事故で亡くなり、さらに殺人犯にまでなってしまう、悲しすぎる役どころでした。

 

酒井さんは【相棒4第8話「監禁」】で、佐藤江梨子さんが演じる「ミサエ」とともに山奥の地下室に亀山薫を監禁して金庫の鍵を開けさせようとする「ノブちゃん」役として出演しました。

 

「監禁」は【相棒】を代表するコミカル回の傑作であり、その大どんでん返しに噛んでいるノブちゃんは、1度見たら忘れられないインパクトを残してくれました。

 

ということは…マドンナの麻丘めぐみさんが事件に関わる重要人物で、そのどんでん返しに酒井敏也さんが絡んでくるのではないかと、つい予想して先入観を持ってしまいます。

 

そして、その通りになるんかい!( ̄▽ ̄;)

麻丘めぐみさん、またしても哀しい役

大杉瑞江は、1980年代に、原野商法という特殊詐欺の被害に遭いました。価値のない山や原生林を、レジャー施設ができて価値が上がるからと嘘をつかれて買わされ、大損をしました。

 

2年前には、その土地を高く買い取るという者が現れて、結局、さらに別の土地を買わされ、老後の資金をすべて吸い取られてしまいました。夫の隆也は投身自殺。

 

自分たちを騙した鷲尾拓磨を絶対に許さない。殺してやる。瑞江は鷲尾を監視してチャンスをうかがっていました。

 

そして、鷲尾がビルの非常階段の最上段に座っているのを見つけて、後ろから思いっきり押しました。

 

瑞江は「殺人犯」になりました。

 

夫の敵を討って満足した瑞江は、自分も隆也がいる場所へ行こうと、橋から身を投げ…る寸前で、右京さんと亘に止められました。

 

瑞江は、警察で「自供」を始めるのですが…

世界でたったひとつしかない証拠

事件の犯人を明らかにするためには「証拠」が必要になります。犯人に「証拠はあるんですか?」と居直られた時に「これが証拠だ!」と叩きつけて「なるほど…それなら仕方ない、私がやりました」と言わせるほどに精度の高い証拠が出せるかどうか。

 

刑事ドラマを見ていると、いろんな「証拠」が提示されます。

 

たとえば「防犯カメラ」。今回は、赤堀絵里が鷲尾を支えるようにしてレストランから出てきたり、その2人を瑞江が尾行していたりする様子が、防犯カメラによって明らかになりました。

 

たとえば「DNA」。今回は、鷲尾が以前に吸ったストローについたDNAと、喫茶店でブレンドを飲んだ時のDNAが一致しました。

 

たとえば「指紋」や「顔認証」。今回はこれらの照合の結果、鷲尾や赤堀絵里の身元が割れました。また、鷲尾の着衣の背中に瑞江の指紋が残っていたことが、瑞江が殺人犯であることを確信させていました。

 

たとえば「自白」。瑞江の自白が、瑞江が殺人犯であることの何よりの証拠になろうとしていました。

 

たとえば「筆跡鑑定」。今回は捜査協力同意書の署名と32年前の土地売買契約書の署名に書かれた「明」の字が同一人物によって書かれたものであることが判明し、真鍋が詐欺師であることの証明になりました。

 

いろいろな物が「証拠」となる中で、真鍋を殺人犯として決定づけたのは「紅茶」でした。

 

真鍋は、右京さんがブレンドした「世界でたったひとつしかない紅茶」に毒物を混ぜて、赤堀絵里を殺害してしまったのです。

 

右京さんは「まさか、僕のいれた紅茶が殺害に利用されるとは思ってもいませんでした」と語っています。オリジナル紅茶という証拠は想定外のものだったのでしょう。しかし、これ以上に強力な証拠はありません。

証拠がなければ犯人は捕まらない?

現実の世界には「ほぼ100%、犯人はあの人に間違いないのに、証拠がないから捕まえられない」というパターンの未解決事件が少なくありません。

 

1997年に、三重県に住む17歳の女子高校生Aさんがアルバイトを終えた午後8時以降に、自転車ごと行方不明になりました。

 

Aさんの友人であるBさんが心配してポケットベルに自宅の電話番号を入れ続けたところ、Aさんのポケベルを持っている男から電話がかかってきました。

 

「Aさんを駅まで送って別れた。Aさんのポケベルを持っているのは現金5万円を貸したからで、その担保としてポケベルを預かった」

 

どこからどう見てもこの男が怪しい状況で、その後の男からの電話を警察が逆探知に成功したことから、男は逮捕され、取り調べを受けます。

 

男はAさんが持っていたものによく似たハンカチを所持していましたが、男は「拾った」と言い張り、Aさんの物だとは立証できませんでした。

 

結局、男は黙秘を続け、釈放されます。Aさんは行方不明のままです。

 

もちろん、この男が絶対にAさんに何らかの犯行をしたとは言えませんが、限りなくクロに近いグレーと言われています。

 

証拠がないのです。

 

これを逆手にとって、Aさんがこの男に何もされておらず、今もどこかで幸せに暮らしている可能性を信じてみたい気もしますが、だとしたらなぜAさんは出てこないのか、という話になってきます。

 

もし「右京さんのブレンド紅茶」並みの「世界でたったひとつしかない証拠」があったら、事件には何らかの進展があったかもしれません。

証拠のおかげで人生が救われた?

今回は、なんとなくストーリーの筋が読めてしまうエピソードでしたが、大事なのは「犯人が犯人である動かぬ証拠が発明されていたこと」です。

 

右京さんのブレンド紅茶を携帯ポットに入れて持っていたのは真鍋しかいないので、真鍋が事件に関係していないわけがなく、真鍋としては言い逃れできません。

 

30年以上も詐欺行為を続けていた知能犯が捕まるのと逃げ延びるのとでは、未来が大きく違ってきます。

 

自分が殺人犯であると思い込んでいた大杉瑞江は、殺人犯ではないことがわかり、刑務所には行かない人生を歩むことができます。

 

とはいえ、70歳を過ぎて、お金もないし、今さらどうしたらよいのやら。

 

そんな時に、右京さんに「お友達になりませんか」なんて誘われたりしたら、そりゃあもう、バラ色の人生に変わってしまいそうですね。

 

ほんと、証拠があってよかったね。


あと…「右京ブレンド」を飲んで死んでいった詐欺グループの一員・赤堀絵里。

 

いいなあ。右京ブレンドを飲んでそのまま死ねるなんて…右京さんファンからしたら、幸福すぎる!

 

なんて言ったら、右京さんに一喝されてしまいますかね。

声に出して読みたい右京さんのセリフ

その1:詐欺師グループのリーダーに

右京「いい加減になさい!  人の心につけこんでお金を奪うことだけでなく、その人たちばかりか、家族のささやかな夢や命まで奪うことがどれほど罪深いことか、わかりませんか!」

亘「これまでも、自分が捕まりそうになるたびに配下の人間に責任を押しつけ、切り捨て、逃れてきたんだろ」

右京「しかし…もう逃がしません…」

 

 

ラストシーン、右京と亘が瑞江をオープンカフェに招待して

瑞江「あいつ、罪は認めたの?」

亘「ええ。まだ、すべてではないでしょうが」

瑞江「そう。なんで捕まえちゃったの。私が殺したかったのに」

右京「お気持ちはわかります。ですがもう復讐にとらわれてはいけません。あなたはこれからもご主人の分まで生きなくてはならないのですから」

瑞江「これからもって…老い先みじかいのよ…生きてても何の楽しみもないじゃない」

右京「どうでしょう。僕とお茶飲み友達になるというのは」

瑞江「お茶飲み友達?」

亘「右京さんと同じくらい紅茶の知識のある人、なかなかいませんからね」

右京「ええ、ぜひ、紅茶についていろいろお話を」

瑞江「しょうがないわね。でも、ただの友達よ?  あたしが生涯で愛したのは夫だけですから」

右京「ええ、もちろん、そのあたりはご心配なく」

 

右京さん、カッコよすぎ!!

【相棒20第9話「生まれ変わった男」ネタバレ&感想】殺人事件で刺されて死んだ記憶を持つ男の正体は?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2021年12月15日放送の【相棒20第9話「生まれ変わった男」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

【相棒20第9話「生まれ変わった男」】はどんな話?

【相棒20第9話「生まれ変わった男」】

2021年12月15日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、20年前に都内スーパーで起きた刺殺事件の押収品を返却するため、被害者の妻を訪ねる。

 

犯人はまだ捕まっておらず、被害者の妻は最近までチラシを配って情報を集めていたというが、そのさなか、「自分は被害者の生まれ変わりだ」と主張する、見知らぬ若い男が現れたという。

 

吉岡翼(今井悠貴)と名乗るその男は、被害者が搬送され、死亡したその日に同じ病院で生まれたといい、“殺されたときの記憶”も残っているというが…!?

 

興味を持った右京は、独自の検証を開始。吉岡を連れて現場を訪れ、当時の捜査資料と彼の証言を照らし合わせる。

 

すると、犯人と被害者しか知らないはずの情報を、吉岡が記憶していることが判明。生まれ変わりという主張が、にわかに信憑性を帯びてくる。さらに、吉岡の脳裏に新たな記憶が蘇り…!?

テレ朝POST版

被害者遺族から押収品の返還要求があり、特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)が届けに行くことになった。

 

20年前、スーパーマーケットの駐車場で電気工事士・関田昌平(渡辺翔)が刺殺された事件のもので、いまだ容疑者の目星すらついていない状態だったが、犯人のものと思われる指紋やDNAが検出されないこともあり、遺留品の返却に応じる判断が下されたらしい。

 

訪れた特命係に、関田の妻・園子(中込佐知子)は心境を打ち明ける。

 

園子は長年、情報提供を呼びかけるチラシを配るなど犯人逮捕に希望を託してきたが、寄せられるのは懸賞金目当てのデマばかり。最近では、関田の生まれ変わりだと主張する大学生・吉岡翼(今井悠貴)まで現れる始末で、真相究明はあきらめて心静かに生きることを決めたという。

 

吉岡は関田が殺された日、彼が緊急搬送されたのと同じ病院で生まれたといい、殺されたときの記憶がよみがえったと話していたようだ。

 

生まれ変わりに興味を抱いた右京と亘は、吉岡のもとへ。彼は子どもの頃から、駐車場で何者かに刺される夢を繰り返し見てきたことを告白。

 

先日、たまたま陸上部の合宿の帰路に立ち寄ったスーパーが夢で見た場所だとわかり、気になって調べたところ、その駐車場で事件が起きていたことが判明。前世の記憶に違いないと考えたと明かす。

 

特命係が当時の捜査資料と翼の資料を照らし合わせると、確かに翼の記憶は犯人と被害者しか知りえないはずの事実と一致していた…。

 

もしや、本当に翼は被害者の生まれ変わりなのか!? 捜査を進めた特命係は予想だにしない真実に突き当たっていく――!

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

益子桑栄(ましこそうえい)=田中隆三

土師太(はじふとし)=松嶋亮太

吉岡翼=今井悠貴

関田園子=中込佐知子

吉岡博幸=画大

吉岡直美=ともさと衣

八神淳一=岸博之

関田昌平=渡辺翔

ほか

スタッフ

脚本=川﨑龍太

監督=蔵方政俊

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

20年前の殺人事件を担当した萩原哲也刑事によると、犯行時刻は関田昌平と園子が通話していた21時20分から、遺体が発見される21時25分までの間。凶器は小型の刃物と思われる。

 

また、現場には当時人気になったカードゲームのトレーディングカードが落ちていたらしい。

 

スーパー「ヤガミ」の副店長である八神友彦は、遺体を発見したのは父の八神淳一だったと話す。

事件当日に翼の父親が現場近くにいた

吉岡翼は、事件当時、男の「タイヨウ!」という叫び声が聞こえたことを思い出す。

 

右京は事件の参考人調書に翼の父親である吉岡博幸の名前があるのを発見する。博幸は翼の父親で、事件があった時刻にスーパー「ヤガミ」の店内を走り回っていたらしい。

 

右京と亘は吉岡家に出向き博幸と妻の直美に話を聴く。博幸は、スーパーの店内を走り回っていたのは、妻の直美の陣痛が始まったという連絡を受けて、オムツなどの買い物をしていたからだと説明する。そのレシートは警察に提出されていた。

 

吉岡家に帰ってきた翼が「タイヨウと叫んでいたのは父さんの声だ」と言うと、博幸は目をそらす。

 

「最後にもうひとつ」と申し出た右京が気になったのは、翼が幼い頃の家族写真だった。正月なのにホールケーキが写っており珍しい。直美は「新年のお祝いのケーキだった」と話す。

 

そんな吉岡家は、翼が小さい頃は府中から藤沢、久留米、高松などを転々と引っ越して、その後に現在の中野に落ち着いていた。

翼が何者かにナイフで刺される

伊丹から亘に電話が入り、翼が刺されたという。凶器は特殊な形状をしたナイフで、翼のおへそのあたりが刺されていたため、翼は犯人を見ているはずだが、なぜか被害者の翼は黙秘する。

 

右京は関田家に返却した遺品の中に電工ナイフがあったことを挙げ、翼を刺したのは関田園子であることを言い当てる。

 

翼が黙秘したのは「ぼくが悪い。ぼくが追いつめてしまったから」という負い目からだった。

 

関田園子は取り調べで、翼に自分の気持ちを踏みにじられた気がして刺したと話す。

 

右京は亘に、事件の日に博幸が買ったオムツがLサイズであったことが気になっていると話す。これから産まれてくる翼に大きなサイズのオムツを買うのはおかしい…

翼は事件の日に生まれたのではなかった?

鑑識課の益子からの電話によると、現場に落ちていたトレーディングカードから幼児期の翼の指紋が検出されたという。2〜3歳の頃のもののようだ。

 

もし翼が事件のあった日に生まれたのではなかったとしたら?

 

右京と亘は翼の両親に真相を問いただす。吉岡翼の本名は「タイヨウ=太陽」だった。

 

直美は博幸と結婚する前、別の男性と結婚していて、DVを受けていた。シェルターに逃げた直美は博幸と出会い、博幸の子を身ごもったが、なかなか前夫と離婚できなかった。

 

民法では、離婚して300日以内に生まれた子は前の夫の子となる。子供のためにも、前夫の戸籍に入れたくない…太陽は無戸籍児になった。

 

その後、第二子が誕生して翼と名づけたが、翼は生後4か月の時に死亡してしまった。博幸は太陽を翼として育てることを提案し、翼は墓地の近くの竹林に埋葬された。

20年前の事件の真犯人は…?

昌平の死体を目撃していた博幸は、昌平の胸にグリップの赤いナイフが刺さったままだったと言う。

 

右京たちは八神淳一に「凶器を持ち去ったのはあなたですね」と問う。ただし、昌平を殺したのは淳一ではなく、息子の友彦だった。トレーディングカードには友彦の指紋もついていたのだ。

 

中学生だった友彦はスーパーの駐車場で迷子になった太陽を見つけ、トレーディングカードをあげるなどして和ませていた。護身用のナイフを見せているところを昌平に目撃され、太陽を襲おうとしていると勘違いされてしまった。通報されたら大変なことになると思い、友彦はナイフで昌平を刺して殺した。

 

淳一は「息子を守りたかった」と話すが、右京は「それが親の愛情だと思ったら大間違いです。親ならもう少し早く楽にさせてあげるべきでした」と一蹴した。

右京「最後にもうひとつだけ…」

太陽は父親、母親、翼と4人で写った家族写真を見せる。太陽が幼い頃、吉岡家が頻繁に引っ越していたのは、太陽を翼として育てるために必死だったからだった。

 

太陽は年齢が詐称されていたため、陸上のジュニア記録は見直されることになった。

 

右京は「最後にひとつだけ」と、太陽の誕生日が1月1日であることを言い当てる。写真に写っている、お正月の食卓にあったホールケーキは、太陽の誕生日を祝う物だった。

感想など

親が「子供のため」という口実でつく嘘は本当に子供のためなのだろうか、と考えさせられました。

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夫婦は息子に嘘をつき続けることにした

吉岡博幸と直美は、息子の太陽に嘘をつくことにしました。

 

直美は前の夫にひどい暴力を受けていました。「別れるくらいなら殺す」と言われたこともあります。直美はシェルターに逃げました。

 

直美が博幸と出会い、二人の間に子供を授かってからも、前の夫はなかなか別れてくれません。

 

民法では、離婚して300日以内に生まれた子は前夫の子として扱われるそうで、博幸と直美は子供のために、出生届を出さない選択をとります。

 

太陽は無戸籍児となりました。学校に通う年齢になったらどうするのか。夫婦にはそこまで気を配る余裕が無かったのでしょう。しかし、余裕が無かったでは済まされません。

 

やがて太陽の弟が産まれました。弟は翼と名付けられます。翼は生後4か月で亡くなってしまいました。

 

そうだ、太陽を、戸籍のある翼として育てよう。

もし夫婦が息子に嘘をついていなかったら

博幸と直美にとっては、太陽を守るための嘘でしたが、だからといって翼の死体遺棄は許されることではないし、太陽を翼として育てるのも法律違反です。

 

もし太陽が太陽として育てられたなら、自分が殺人事件の被害者ではなく目撃者であることに、もっと早く気がつけたかもしれません。

 

もっと早く気がつけたなら、事件に関わった人たちの「贖罪」も、もっと早くに解けたのではないでしょうか。

 

殺された関田昌平の妻である園子は、昌平が殺害される直前の電話でケンカして仲直りしないまま切ってしまったことを、ずっと後悔していました。

 

もし太陽の「経験」が目撃者としての記憶であることに気がつけていたら、太陽は昌平の生まれ変わりだと思い込むこともなかったわけで、園子がのちに太陽をナイフで刺す行為は防げていたでしょう。

 

また、20年前の事件の真犯人である八神友彦が、自分が殺人事件の犯人である重圧を抱えたままずっと生きることもなかったでしょう。

 

太陽が気がついていたら、もっと早く友彦は逮捕され、もっと早く罪を償う機会を与えられていたはずです。

嘘をつくのは「子供のため」という「保身」

八神淳一は、息子のために昌平の胸からアーミーナイフを抜き、凶器を隠すことで息子が犯人であることを隠ぺいしました。

 

これは言語道断。八神淳一の父としての行動は間違っています。友彦にちゃんと罪を償わせるためでした。

 

淳一は「息子を守りたかった」と言い訳をしましたが、そこには息子のためと言いつつも、自分の保身もあったでしょう。万が一、本当に息子を守りたかっただけだとしても、親として失格です。その後も引き返すチャンスは充分にありました。

 

一方で、博幸と直美の嘘。嘘をつかなければ太陽は前夫の子となっていたわけで、それが不幸の道ならば、この嘘はルール違反ではあるけれども、理解はできるものなのかもしれません。

 

だとしても、嘘をつき続けることは、得策ではありません。太陽が成長し、自分で善悪の判断がつくようになった時点で、真実を伝えるべきでした。

 

子供のためについた嘘が、いつしか自分たちの保身のための嘘に変わっていたのではないでしょうか。

右京さんも子供に嘘をついたことがある

とはいえ、右京さんは、子供に嘘をつくことが絶対にダメだとは考えていないようです。

 

神戸尊が相棒だった時代の【相棒8第18話「右京、風邪をひく」】のラストでは、右京さんが少女に嘘をつきます。少女と仲良くなった老人が死んだことを少女が知ったら悲しむと考えて「老人は仕事の都合で遠くに行った」と少女に伝えたことが明かされます。

 

この場合、博幸夫婦や八神親子の嘘と違うのは、右京さんの嘘が法律に違反していないことです。

 

少女が成長する過程で、老人が亡くなったことを知れば、やはり悲しむでしょう。しかし、だからと言って嘘をついた右京さんを恨むこともなさそうです。

 

法律違反じゃなければ嘘をついてもいいというわけでは無いはずですが、ついていい嘘もあるということで、その線引きが難しいところ。

 

大人はかつて子供だったことがあるのだから、子供の気持ちになって考えることができます。

 

子供の目線に立って、善悪の正しい判断のもと、その嘘がバレても胸を張って「嘘をついた自分に悔いはない」と思える嘘が、ついてもいい嘘なのかもしれません。


思えば【相棒】は第1回の放送で、右京さんが亀山薫の辞職願を「もう部長に渡しました」と嘘をついておいて、薫が特命係の部屋を飛び出して行った後に、辞職願を破り捨てていたので、右京さんが「嘘は良くない」と言っても説得力など露ほども無い、とも言えるのですが。

声に出して読みたい右京さんのセリフ

自分たちがしてしまったことをすべて告白した吉岡夫婦に。

「死体遺棄はれっきとした犯罪です。すでに時効とはいえ、許されることではありませんよ。翼くんの死亡届を出さずその戸籍に太陽くんをいれていることもまた法に触れます。これを機に正しく届け出てくださいね」

 

中学生の息子が殺人犯だとバレないように凶器を隠したのは「息子を守りたかったからだ」と言い張る八神淳一に。

「八神さん、それが親の愛情だと思ったら大間違いですよ。友彦くんから罪を償う機会を奪ったのですから。親ならもう少し早く息子さんを楽にさせてあげるべきでした」

【相棒20第8話「操り人形」ネタバレ&感想】乱暴されてできた子が48年後に「父親」を殺す悲劇

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2021年12月8日放送の【相棒20第8話「操り人形」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日から引用)

【相棒20第8話「操り人形」】はどんな話?

【相棒20第8話「操り人形」】

2021年12月8日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

大学構内の地中から白骨死体が発見された。死後50年近くたっている時効事件のため、右京(水谷豊)と亘(反町隆史)が捜査を押しつけられる。

DNA鑑定の結果、白骨は1970年代に学生運動をしていた岡田という過激派の幹部であると判明。当時の仲間によると、岡田はカリスマ指導者で、人心を操る天才だったという。

そんな中、梶原(ベンガル)という物流大手社長の遺体が発見される。運転手によると、梶原は最近なぜか、情緒不安定になっていたというが…!?

いっぽう右京と亘は、岡田と親交が深かった藤島(下條アトム)という男性を訪問するが、何も知らないと語る。

ところが、そこに捜査一課が現れ、藤島に任意同行を求める。梶原の携帯に、事件当日、藤島を呼び出すメールが残っていたという。

ふたつの事件に関連があると知った右京と亘は、藤島の連行にショックを受ける美鈴(白川和子)という女性を見掛け、話を聞くが…!?

テレ朝POST版

建て替え工事が行われていたキャンパスで、成人男性の白骨死体が見つかった。頭蓋骨に大きな傷があり殺害されたことは明白だったが、死後50年は経過しており、すでに時効は成立していた。

事件を聞きつけた特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、時効だからといって真実を明らかにしなくていいはずがないと考え、捜査をはじめる。

まもなく、骨の身元は1973年に行方不明になった学生運動の幹部・岡田茂雄(名村辰)と判明。

彼は演説で人の心を操るカリスマ指導者として知られ、敵対するセクトから命を狙われていたため、消息を絶った当時から、過激派同士の抗争、いわゆる“内ゲバ”で殺害されたものと思われていた。

捜査の糸口を求め、右京たちは岡田の幼なじみで大学の同期でもある藤島健司(下條アトム)を訪ねる。

藤島は激しい世界に生きる岡田とは対照的に、学生時代から人形劇に没頭。現在も旗揚げメンバーの田中美鈴(白川和子)とともに細々と劇団を続けていた。

藤島は特命係の訪問に明らかに動揺を見せつつも、思い当たることはないと話す。だがそこへ、伊丹憲一(川原和久)たち捜査一課が現れたから特命係は驚く。

実はその日の朝、大手物流会社社長・梶原太一(ベンガル)が遺体となって見つかり、死の直前、梶原が藤島にメールを送っていた事実が判明したのだ。

さらに、梶原が1週間ほど前から何かに怯えた様子を見せ、「亡霊が見える」と口走っていたことがわかる。はたして梶原が恐れていた“亡霊”とは…!? 特命係がその正体に迫る!

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

益子桑栄(ましこそうえい)=田中隆三

藤島健司=下條アトム

田中美鈴=白川和子

梶原太一=ベンガル

岡田茂雄=名村辰

ほか

スタッフ

脚本=瀧本智行

監督=守下敏行

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

元学生運動の幹部だった吉澤秀介によると、藤島と岡田は幼なじみで「操る」という共通点があったという。

 

「藤島は人形を操る。岡田は人間を操る」

 

また、藤島と梶原は一緒に人形劇団を立ち上げた仲間らしい。

息子の話になると激昂する美鈴

右京たちは美鈴から話を聴く。

 

美鈴は梶原とはここ5年ほどは年賀状のやりとりだけだったという。どうやら藤島は自分と梶原が最近、頻繁に連絡していたことを美鈴に隠していたようだ。

 

右京の質問が美鈴の息子のことに及ぶと、美鈴は「いま息子の話はどうでもいいでしょ」と激昂する。

 

通信記録によると、藤島と梶原が連絡をとる起点となったのは11月20日。岡田の白骨死体が発見された翌日で、新聞発表の日だった。

梶原は「あいつの亡霊『に』見えた」と言った

梶原がショートメールを使ったのは、殺される直前に藤島を呼び出す時の一度だけ。

 

右京と亘は梶原の葬儀会場に秘書の新島敏夫を訪ねる。

 

新島によると梶原は「あいつの亡霊が見えるんだ」ではなく「あいつの亡霊に見えるんだ」と言っていたらしい。つまり、岡田の亡霊が見えたのではなく、別の何かが岡田の亡霊に見えた…

 

また、梶原はケータイでメールをするのが嫌いで、ショートメールは使わなかったという。

喫茶「マリオネット」での密談

右京と亘は、劇団のカメラマンを務めていて現在は喫茶「マリオネット」のマスターをしている野添弘道を訪ねる。

 

美鈴の息子「ケン坊」の父親は誰か、野添も知らないようだが、野添はケン坊が中学の頃からグレて、大人になってから窃盗と詐欺で2度逮捕されたことを話す。美鈴はケン坊と親子の縁を切ったらしい。

 

半年ほど前、梶原と藤島は出所したケン坊を連れて「マリオネット」に来た。梶原は仕事にありつけないケン坊を自分の会社で雇うことを決めたという。

◇◇◇

梶原の運転手となったケン坊こと田中健太が、事件のあった日、梶原になりすまして藤島にショートメールを送った…

 

右京と亘は伊丹たちと協力して田中健太を逮捕する。

事件の真相は…

事件の直前、健太は梶原に「今日で仕事をやめてもらう」と宣告していた。

 

「俺のこと見捨てるんですか?」と食い下がる健太を見て、梶原はおびえて、車を降りて逃げ出した。追いかける健太。

 

2人は橋の下で揉み合い、梶原に首を絞められて殺されそうになった健太が必死に石を掴んで梶原を殴ると、梶原は死んでしまった。

 

健太は梶原のケータイを使って藤島にショートメールを送り、藤島に罪をおしつけたのだった。

 

事件現場に呼び出された藤島は梶原の死体を発見し、真相に気づいたが、美鈴を傷つけないために沈黙を守ることを選んだ。

 

すべては、48年前に始まった…

岡田の亡霊が引き起こした事件?

48年前、岡田を殺したのは梶原だった。健太を見て梶原が「あいつの亡霊に見える」と言ったのは、岡田が健太の実の父親だから。

 

岡田は美鈴に対して無理やり行為に及び、それを知った藤島と梶原がかけつけ、梶原が岡田を殺し、藤島と梶原は岡田の死体を埋めた。

 

美鈴は健太を産むことを迷った。しかし、自分の中に宿った命まで殺すことはできなかった。産まれてくる子に罪はない。健太の父親は藤島と梶原だと3人で話し合った。

 

なのに、48年後、健太が梶原を…

 

「どこまで苦しめれば気が済むのよ」と泣き崩れる美鈴。

 

亘は「なんだかこの事件、岡田茂雄の亡霊が引き起こしたような気がします。自分の息子を人形のように操って復讐劇を遂げたように」と語る。

 

藤島は人形を操り、岡田は人間を操る…

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感想など

殺人事件の真相を知りながらも沈黙するあやつり人形師が、腕に痛みを感じて人形を操れなくなったのは、彼の本能が「偽物の良心」ではなく「本物の良心」を選んだからではないでしょうか。

わがままな学生運動家にぶっ壊された人生

1970年代。大学生の藤島健司は梶原太一や田中美鈴とともに、人形劇のサークルを旗揚げしました。

 

その部屋に、学生運動の幹部で、敵対するセクトから命を狙われている岡田茂雄が逃げてきました。藤島と岡田は幼なじみです。

 

岡田は美鈴に対して無理やり性行為に及びました。藤島と梶原が気がついた時には、行為は終わっていました。

 

激昂した梶原が岡田を殺し、藤島と梶原は岡田を埋めてしまいます。

 

そのまま、何も無かったことに…はならず、美鈴は岡田の子を身ごもってしまいました。

 

美鈴は産むことを迷いましたが、産まれてくる子に罪はないと思い至り、産む決意をしました。子どもの父親は藤島と梶原。3人でそう決めました。

 

48年後、美鈴の子どもは父親代わりの梶原を殺してしまいました。なんという運命の因果。

操り人形師は秘密を抱えて生きる道を選択

美鈴が岡田に襲われたと知った時の藤島と梶原の怒りを理解することはできます。2人が冷静でいられれば、岡田を殺すのではなく、その罪を告発することを選べたかもしれません。

 

残念ながら、怒りを岡田にぶつけた結果、梶原が岡田の命を奪ってしまいました。ならば、自首して真実を語るという選択肢があったはず。

 

しかし、彼らは「隠す」道を選びました。

 

この時から藤島は人形を「操る」人間でありながら、人生を「操られる」人間にもなってしまいました。

 

真相がバレたら、今まで積み上げてきたものをすべて失ってしまう…

 

「後ろめたさ」は、善悪の判断がつく証拠です。悪いことをしたから後ろめたい。でも、バレるわけにはいきません。

 

後ろめたさがその後の性格となって顕れてしまったら。劇団を続けていくうちに人が減り、最後に藤島と美鈴の2人だけになってしまったのは、劇団を大きくしたいけれどできないジレンマを消すことができなかったからではないでしょうか。

自分自身を操りがんじがらめになってしまう

冠城亘は最後に「なんだかこの事件、岡田茂雄の亡霊が引き起こしたような気がします。自分の息子を人形のように操って復讐劇を遂げたように」と右京さんに話していました。

 

なるほど。ただし、死んだ岡田が「じっさいに」息子を操ることはできません。たぶん。

 

一方で、死んでいない藤島が、自分で自分を操ることは、できてしまいます。

 

右京さんは藤島が人形を操る様子を見て、その人形を「悲しみの淵にたった人が、自らの運命を呪い、泣いている」と表現しました。人形は藤島の心をそのまま表していたのでしょう。

 

藤島は48年の時を経て、梶原の死の真相について、美鈴にも沈黙する道を選択しました。

 

確かに、美鈴が乱暴されてできた子供が梶原を殺してしまったという事実は重すぎます。美鈴が真実を知るのは残酷すぎる、と藤島が思うのも理解できます。

 

しかし「バレなければいいだろう」と結論を出すのは違います。藤島は美鈴を守りたいという気持ちを隠れ蓑にして、自分を悲劇のヒーローに仕立てあげてはいないでしょうか。

 

自分が自分をがんじがらめになるように操ってしまっています。

藤島健司の生き方を簡単には否定できない?

とはいえ、じゃあ、このドラマの視聴者である自分が藤島だったら、真実を語ることができたのだろうか、と考えると、一概に藤島を否定できないのも事実です。

 

岡田を死に至らしめた事実を素直に話したら、劇団は解散の羽目になってしまうかもしれない。もし人形劇を続けることができたとしても、いつか自分たちが人殺しだという噂が広まり、辞めざるをえなくなってしまうかもしれない。

 

何より美鈴の気持ちを考えると…と、やはり後ろ向きになってしまいそうです。

 

48年後の梶原の死についても沈黙を守りたくなってしまうかもしれません。

 

極限状態に陥ったら「バレなければいいだろう」と保身に走ってしまう時もあるでしょう。その積み重ねで真実から逃げ続けてしまう…

 

のかもしれませんが、自分が「悲しみの淵に立つ人が自らの運命を呪い、泣いている」状況から脱して安寧を得るには、自分に「操られる」のではなく、自分を「操る」決意をする必要があります。

善良な心で判断できる人間であれるように

年老いた藤島が、子供たちに人形劇を見せている途中で、人形の操作を続けられないほどに感じた右腕の痛みは「それでいいのか?」という、藤島の内にある良心の問いかけではないでしょうか。

 

「真実がバレなければ、これ以上、不幸にならないだろう」という気持ちは本物の良心ではないと、藤島の本能が理性に働きかけたのです。

 

それでも、藤島は沈黙を貫き通したのですが…結局、すべてが明るみになりました。

 

真実がバレたことで、ホッとして、重荷がとれることもあります。

 

ひとつの嘘から受け身になる選択を続けてきた人が、操られる人生から解放されるまでに、48年の月日が経過し、梶原の命が奪われ、美鈴の息子が殺人犯となってしまったのは、あまりにも代償が大きすぎましたが…

 

自分を操る人になるか、自分に操られる人になるか。その判断を適切にできる善良な心を持つことの大切さを認識させられる回となりました。

【相棒20第7話「かわおとこ」ネタバレ&感想】悲劇を妖怪のしわざにしたかった少女の隠し事とは?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2021年11月24日放送の【相棒20第7話「かわおとこ」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日より引用)

反町隆史さん演じる冠城亘が【相棒20】最終話で卒業

反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が【相棒20】最終話をもって卒業することが2821年11月24日、第7話放送前に【相棒】公式サイトなどで発表されました。

 

2015年10月14日放送の『season14』第1話で初登場して以来、今夜9時放送の第7話で杉下右京の相棒として歴代最多、125回という出演本数に到達。クールで頭脳明晰な切れ者であると共に、時にミステリアスで、ウィットに富んだ冠城亘というキャラクターを魅力的に演じていただいた反町隆史さんに、『相棒』キャスト・スタッフ一同、心から感謝すると共に、これまで冠城亘を愛していただいた視聴者の皆様に厚く御礼申し上げます。

 

ラストエピソードとなる最終話で、右京と亘の二人はどんなエピローグを迎えることになるのか。そして、右京は最後、亘にどんな言葉をおくるのか。クライマックスに向けて、右京と亘の「相棒」“最終章”が始まります。(【相棒】公式サイトより)

 

4代目相棒・冠城亘が2022年3月に放送されると思われるラストエピソードまで、どんな「最終章」を見せてくれるのか、楽しみです。

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【相棒20第7話「かわおとこ」】はどんな話?

【相棒20第7話「かわおとこ」】

2021年11月24日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、小学生の女の子が若い男に、「どこに隠したの! 早く返してよ!」と詰め寄っているところに居合わせる。見かねて割って入ったところ、2人は親権を失った父親と、娘であることが判明。事情を尋ねようとするが、女の子は理由も語らず、走り去ってしまう。

翌日、川で行方不明になっていた男の子が、意識不明の重体で発見されたというニュースが流れる。右京たちは、SNSにさらされている家族写真に、昨日の女の子が写っていることに気づく。写真は、少年の母親である千夏(黒坂真美)を糺弾するため、ネット民が無断で載せたものらしい。

昨日出会った少女・百花(米村莉子)が言っていた「返してよ!」という言葉から、不穏な気配を察した右京と亘は、独自に周辺を調べ始める。すると、問題の川では、近くの工場に勤める若い男性が、溺死する事故が起きていた。

さらに、再会した百花から話を聞くと、いまだ意識が戻らない弟は、“かわおとこ”という妖怪に連れ去られたのだと主張し…!?

テレ朝POST版

辻浦千夏(黒坂真美)の息子・悠太(晴瑠)が川でおぼれ、意識不明の重体となって見つかる事故が起きた。

インターネット上では千夏への非難が集中するが、特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は千夏たちの家族写真を目にして驚く。2人は、悠太の姉で小学4年生の百花(米村莉子)が若い男ともめているところに遭遇したばかりだったのだ。

トラブルの相手は離婚後、離れて暮らす姉弟の父・安田秀人(土居正明)で、百花は安田がこっそり悠太を連れ出したのではないかと疑い、食ってかかっていたのだった。

事情がありそうだと感じた右京たちが捜査に乗り出すと、安田は事故当時アリバイがあると判明するとともに、悠太がおぼれた川で最近、魚が大量死する事態が発生していることがわかる。

近所の住民たちは、かつて水質汚染を引き起こした大手電子部品メーカーの工場排水を疑っているようだった。また、その川では4カ月前にも男性が事故死していたことが発覚。

亡くなったのは、近くにあるガラス工場の社員で、特命係は彼の上司・高部行人(佐藤貴史)が川べりで手を合わせているところに出くわす。

そんななか、百花が弟を淵へと引きずりこんだのは、川に棲む妖怪の“川男”に違いないと言いだす。百花は数カ月前、背が高くて色の黒い川男を目撃したと主張するが――はたして川にいた川男とは何なのか!?

そして2つの事故とどう関わっているのか…!? 特命係が暴き出したその正体とは…!?

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

青木年男(あおきとしお)=浅利陽介

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

辻浦百花=米村莉子

辻浦千夏=黒坂真美

辻浦悠太=晴瑠

安田秀人=土居正明

高部行人=佐藤貴史

笹沼敏夫=三波豊和

ほか

スタッフ

脚本=山本むつみ

監督=守下敏行

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

その後どうなった?(ネタバレ)

右京と亘は「笹沼硝子」の社長である笹沼敏夫に話を聴く。右京が「4か月前に亡くなった荻野の月命日は今日なんですか?」と聴くと「いや、15日です」と答える笹沼。

 

亘の「事件との噂もあるが」という問いには「住民と城西エレクトロニクスの間でトラブルがあったんで、勘違いした人がいるんでしょう」と話す。

 

さらに右京が「ガラスの製造に使う水を川に流している?」と踏み込むと、笹沼は「廃液はタンクに貯蔵しています。定期的に専門業者が回収し、有害物質を取り除いたところで水を再利用するんです。環境保全は企業の使命ですからね」と微笑む。

 

笹沼は「川男」については知らないようだ。そんな右京たちのやり取りを高部が遠くから見つめていた。

妖怪と妖精の話を語り出し止まらない右京さん

右京は「川男」が江戸時代後期の国語辞典「倭訓栞(わくんのしおり)」に出てくることを突き止める。妖怪の中でもマイナーな妖怪のようだ。

 

「妖怪図鑑」という児童用の本にイラスト付きで掲載されている「川男」が、百花が見た「川男」のようだ。

 

「妖怪などいない」と笑う亘や青木に対して、右京は「妖怪や妖精の類が人を水中に引き込むという話は世界中にたくさんありますよ」と反論し、『ゴティングリー妖精事件』の例を出す。

 

イギリス王国の小さな村で、エルシーとフランシスという2人の少女が妖精の写真を撮った。シャーロック・ホームズの作者であるアーサー・コナン・ドイルがその写真を本物と認めたことで、妖精の実在をめぐって大論争が起きた…。

 

青木は「それ、有名な詐欺事件でしょ。2人は婆さんになってから、写真は絵に描いた妖精をピンで留めて撮影したものだと告白した。幼稚なトリックに騙されるとは、笑止千万」と相手にしない。

妖怪「かわおとこ」の正体は釣り人なのか?

百花は「川男」の目撃者を発見して右京に連絡する。笹沼硝子の従業員も利用する食堂の女将である和久井倫世は、先月の15日に川男を見たという。

 

ただし、倫世は百花が去った後に「私が見たのはただの釣り人だと思う」と右京たちに打ち明ける。

 

百花に川男が現れた付近にあるという川の淵に連れていかれた右京たちは、大きな足跡を発見する。亘は右京に「これ、釣り用の靴跡ですね」と伝える。渓流釣りをやるという亘は、靴跡の特徴についてフェルトの靴底にピンを打って滑りづらくしたのだろう、と言う。

 

百花は次に青いフタを発見する。それは水質調査の検査キットに使う容器のフタだった。百花を探して川に来た千夏に怒られてしゅんとする百花に、右京は「川男は僕たちが見つけるから安心してください」と囁く。

 

黒くて背の高い川男。釣り用の靴跡。採水ボトルのキャップ。魚の異常死。水死した荻野。これらが1つにつながっているとしたら…

ガラス工場が抱える闇とは

高部が川の淵に来ると、黒い人影が動く。「荻野か?」と驚く高部。

 

黒い人影は防水ウェーダーを装着した亘だった。右京たちは食堂の倫世に「また魚が浮いてたよ」と話すお芝居をさせて、それを耳に入れた高部が淵に来たのだ。川男の正体は高部だった…。

 

高部が荻野の月命日でもないのに川にいたのは、荻野の供養ではなく、悠太が助かるようにと祈っていたからだった。

 

高部は魚の異常死のことで、毎月15日に同じ地点に水質検査のために水を汲みに来ていた。悠太はそれを川男だと思って後を追い、溺れてしまったのだ。

 

笹沼硝子に場所を移して高部に話を聴く右京と亘。土壌汚染の発生源は笹沼硝子だった。

 

半年前、笹沼硝子では貯水タンクの破損事故があった。汚染源はウチではないかと訴える荻野に対して笹沼が「町の連中は城西エレクトロニクスを疑ってる。好都合じゃないか」と言い、高部も同調してしまった。

 

荻野は1人で淵とその上流、下流の3箇所の水質を調べ始めた。荻野が亡くなった後は、後悔の気持ちを持つ高部が調査を続けた。

 

高部は荻野の時と悠太の時の2度、悲劇を止めることができる機会で見て見ぬふりをしてしまった…「何もしなかったあなたに罪がないとは言えませんよ」と断じる右京。

 

亘が「せめてピンスパイクを履いていれば、荻野の転倒は防げたはず」と悔やむと、高部は荻野が靴にピンを打っていたはずだと言う。

荻野の死の真相は…

川の上流には城西エレクトロニクスの防犯カメラがあり、荻野が亡くなった日に笹沼が車を運転する姿が映っていた。

 

笹沼は荻野が排水している川の上流地点に行き、荻野にやめさせようとしたが、掴み合いになり、荻野が転倒して頭を打った際に顔を水につけて溺死させた。

 

笹沼硝子から出た有害物質テトロエデンが、川の下流からのみ発見された。とくに荻野が溺死したとされる淵のあたりで顕著だった。しかし解剖所見では荻野の肺からテトロエデンは出てこなかった。

 

笹沼が上流で荻野を溺死させ、水難事故に見せかけるために深い淵まで運んだのだ。

 

さらに、犯行があった日、上流の川辺で言い争う声が聴こえていたことも判明した。伊丹刑事たちに連れていかれる笹沼。

 

笹沼の車から荻野の血痕が発見され、タンクの破損事故についても社員から証言がとれた。笹沼は土壌汚染の責任も厳しく問われることになるだろう。

言えなかった事実を話す百花

高部は意識不明の悠太が入院する病院に見舞いに行き、千夏に謝罪した。

 

病院の屋上。悠太が事故にあったのは自分が目を離したせいだと後悔する千夏に、右京は「荻野さんの事件が早く解決すれば悠太くんの事故もなかった」と、警察の人間として謝罪を口にする。亘が「真相を解明できたのは、百花ちゃんが川男の話をしてくれたから」と言い添える。

 

千夏が「ダメな母親ですね、私は百花の話をちゃんと聞いてれば、もっと早く事情がわかったかもしれないのに」とさらに後悔すると、百花が下を向いて「ごめんなさい」とつぶやく。

 

百花は悠太が事故に遭った日、悠太の面倒を見るのが嫌になって「宿題があるから川には行かない」と言って、家でゲームして遊んでしまったのだ。

 

千夏は「嘘ついてたことずっと言えなくてごめんなさい」と涙を流す百花を抱きしめて「百花のせいじゃないよ。悠太が元気になるの、ママと一緒に待ってようね」と元気づけた。

 

その時、病室のベッドでは昏睡状態の悠太の指が動いた。

コティングリー妖精事件の続き

「こてまり」で静かに事件を振り返る特命係の2人。

 

弟が溺れたこととお母さんが責められているのは自分のせいだと百花が苦しんでいた点に思いを馳せ、右京は「お母さんを守りたかったのだと思いますよ。悪いのは川男。お母さんは悪くないと」と百花の心情を慮った。

 

右京は「コティングリー妖精事件には続きがある」と話す。

 

エルシーたちは「妖精を見たのは本当のこと。大人たちが誰も見てくれなかったから写真を細工して見せたのだ」とも話したのだ。

 

「ぼくたちの目には見えなくとも、それがこの世に存在しないと断定することなど、誰にもできないんですよ」

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感想など

自分がついたひとつの嘘が取り返しのつかない事態を引き起こしてしまった、と心を閉ざしかけた少女を救ったのは、子供の視点に立って向き合う右京さんの嘘いつわりのない姿勢でした。

自分がついてしまった嘘に苦しむ9歳の少女

9歳の辻浦百花は、父親と母親の離婚に心を痛めつつ、シングルマザーとして忙しく働く母親の代わりに、弟の面倒を見ていました。

 

しかし、ある日、弟の面倒を見るのがイヤになってしまいます。百花は「宿題があるから」と嘘をつきました。母親は弟を連れて川へ遊びに行き、百花は1人になった部屋でゲームをします。

 

母親がちょっと目を離した時間に、弟は川の淵の深いところでおぼれてしまいました。

弟が溺れたのも、それによって母親が周囲から責められるのも、嘘をついてしまった自分のせいだ…。

 

少女は、すべてを妖怪のしわざにすることで、耐えようとしました。

 

でも、心のモヤモヤは消えてくれません。

子供の心に付き合える大人としての右京さん

子供に「妖怪を見た」と言われて、大人はどう反応したらよいのでしょうか。

 

亘のように「妖怪なんていない」と一笑に付すか、食堂の女将さんのように「私も見た」と嘘をつくか。

 

その場でバカにしたように見下されたら子供は傷つきますし、あとで大人が自分に付き合って嘘をついていたと知ったら、その傷はもっと広がるかもしれません。

 

右京さんは「それはどんな妖怪だったのか」と、子供が見たものをイラストで具体化するように促し、その正体は何なのかを真摯に突き止めようとします。

 

大人は子供だった経験があるのに対し、子供は大人だった経験はありません。

 

そのぶん、大人は子供の気持ちに寄り添えるはずです。

 

右京さんは、子供がぶつかった問題に、大人として、子供と同じ目線に立って解決する道を選択しました。

 

自分の話を受け入れてくれる大人に心を開き、やがて自信が抱えていた大きな後悔を、大切な人に打ち明けることができるようになります。

子供は善い大人と悪い大人を見て成長する

自分を信じてくれた大人である右京さんが、殺人事件の真相解明が遅れたことを警察官として真摯に母親に詫びた姿を見て、百花も母親に「ごめんなさい」を言う決心をしたのでしょうか。

 

自分の嘘が取り返しのつかない事態を呼んでしまったと思い込んでいる少女にとって、自分の「罪」を告白することは大きな覚悟が必要であり、告白によってさらに相手を傷つけてしまうことへの危惧も感じて、どうしても言えなくなってしまうもの。

 

子供がその大きな壁を乗り越えた時に、親が子供の気持ちに寄り添えるなら、その親子は絆を深めて、お互いの信頼を深めることができます。

 

大切なのは、過ちを繰り返さないこと。

 

笹沼硝子の高部は、荻野の件について見ていないふりをしてしまった「罪」を心に抱えていながらも、4か月後に起きた男の子の事故についても知らないふりをしてしまいました。

 

殺人犯である笹沼が糾弾されるのは当然として、法的に責任を問われないであろう高部の後悔を浮き彫りにすることで、今回は「こういう大人にならないために、子供はどうしたらよいか、子供と向き合う大人はどうしたらよいか」というメッセージを視聴者に投げかける作品となりました。

子供に見えるものは大人にも「見えていた」はず

コティングリー妖精事件では、2人の少女は写真のねつ造を告白し、しかし「妖精を見たのは本当」とも話しました。

 

子供にしか見えていないことが、あるのかどうか。

 

サンタクロースを信じるかどうか、ということにもつながっているかもしれません。

 

サンタクロースの存在を子供に教えるのは大人です。サンタクロースの存在を信じるのは子供です。やがて、子供はサンタクロースが親であることを知り、大人になったら親としてサンタクロースの存在を子供に教えます。


サンタクロースも妖精も妖怪も、教えてきたのは大人なのに、子供が「見た」と言って大人に否定されるのは、なんだかとても悲しいことです。

 

子供にしか見えないこともあるかもしれません。でも、大人は子供だった経験があります。

 

大人にしか見えないことは子供には見えませんが、子供にしか見えないことは、子供だったことがある大人には、見えていたことがあるはず。

 

だからやっぱり、寄り添ってあげるのは子供ではなく、大人の側がするべきことです。

そういう、つい忘れがちな視点の持ち方をブレずに見せ続けてくれる右京さんという存在こそ、現代における妖精なのかもしれません。

 

亘が「どちらかといえば(妖怪ハンターというより)妖怪に近いのは右京さん」と言ったのは、決して間違いじゃない?!

【相棒20第6話「マイルール」ネタバレ&感想】14歳の娘を17歳少年に殺されたミステリー作家の復讐!?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2021年11月17日放送の【相棒20第6話「マイルール」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日から引用)

【相棒20第6話「マイルール」】はどんな話?

【相棒20第6話「マイルール」】

2021年11月17日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

福山光一郎(菅原大吉)というベストセラー作家が、一人暮らしの自宅で刺殺された。警察は、もろもろの状況から強盗殺人の線で捜査を開始。

いっぽう右京(水谷豊)は、現場から新作の最終回の原稿が消えていることに疑問を抱く。その小説は、少女殺害事件の捜査にあたる老刑事が、正体不明の犯人を執念で追い詰めていくストーリーらしいのだが…。

版元の編集者から話を聞いた右京と亘(反町隆史)は、新作の掲載を前に、福山が突然、出版社を乗り換えていたことを知る。

さらに、福山は自著で、『小説が完結した時、失われた真実があぶりだされるだろう』という、謎めいた発言をしていた。

捜査を進めると、22年前、福山は、ある重大事件に巻き込まれていたことが判明。右京は、その事件と問題の小説に、共通点が存在していることに気づく。

【テレ朝POST】より引用

“日本ミステリー界の第一人者”と評される小説家・福山光一郎(菅原大吉)が自宅で刺殺されているのが見つかった。

財布から大金が抜き取られていたため強盗の犯行かと思われたが、臨場した特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、福山が書き上げたばかりの原稿がなくなっていることに気づく。

その原稿は、1年間にわたってミステリー雑誌で連載されてきた小説『運命の来たる日』の最終回で、主人公の老刑事が追い続けてきた真犯人“アンノウン”の正体が明かされているはずだった…。

福山は、気に障ることがあると担当者どころか出版社まで変えてしまう横暴ぶりで有名だったが、大御所作家でありながら著作の宣伝には貪欲で、テレビ番組にも多数出演。しかし、そのたびに過激な発言を連発し殺害予告が届くほどの変わり者だった。

そんな中、右京は福山が寄稿したエッセイの中に興味深い一節があるのを発見する。福山は『運命の来たる日』について、「事実をもとにした完全なフィクション」であるとし、「完結した時、失われた事実があぶりだされるだろう」と綴っていたのだ。

“失われた事実”とはいったいどういう意味なのか!? そんな中、亘は福山が壮絶な過去を背負っていたことをつかみ…!?

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

福山光一郎=菅原大吉

ほか

スタッフ

脚本=森下直

監督=橋本一

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

福山は月刊誌「ジャパンミステリー」に『運命の来たる日』を1年にわたり連載中だった。

 

『運命の来たる日』では、14歳の少女がコンビニの帰り道、何者かに殺害され、その犯人を名乗る人物「アンノウン(unknown=氏名不詳)」から警察に挑戦状が届く。

 

主人公は捜査一課の老刑事。正義感に燃え、執念の捜査を続けるが、同じ手口で連続殺人が起こり、アンノウンの魔の手は老刑事の仲間や友人にまで及び、彼を苦境に立たせる。

 

やがて老刑事は心身に傷を負いながらも、アンノウンの潜むカルト集団を突き止め、単身で乗りこみ、ある人物を指さす。

 

「アンノウンは、お前だ!」そして、最終回へ続く…。

一人娘を少年Aに殺害されたミステリー作家

『運命の来たる日』はもともと川波出版から発売される予定だったが、担当編集者の布田房江が「川上さんが2人出てくる」ことを福山のケアレスミスだと思い指摘したことが逆鱗に触れ、早元出版に変更されていた。

 

福山は「新読リテラス」という雑誌のエッセイで「『運命の来たる日』は事実を元にした完全なフィクションを書く。しかし、この完全なフィクションが完結した時、失われた事実があぶり出されるだろう」と述べていた。

 

福山は大学在籍中に文壇デビュー。当初は純文学で、極めて難解なものを書いていた。小説は売れず、結婚と就職を機に筆を折り、20代、30代の頃は普通のサラリーマン生活だった。

 

22年前、福山が44歳の時、一人娘のしおりが自宅近くのコンビニの帰り道で殺害された。犯人は金目当てだった17歳の少年。

 

少年は裁判で情状酌量が認められ、少年院に入院した。当時の少年法により少年Aの名前も住所もいっさい公表されることなく、2年後に福山は妻と離婚。

 

『運命の来たる日』で最初に殺害される少女の名前も「しおり」…。

『運命の来たる日』に仕掛けた「マイルール」とは?

福山は小説の登場人物につける名前に「マイルール」を用いていた。

 

初のミリオンセラーとなった「死神のアルゴリズム」に出てくる登場人物の苗字はすべて関ヶ原の合戦に出てくる西軍の武将。『殺しの甘く芳しい香り』では銀座の高級クラブのホステスの名前。『薔薇の棘と毒』では早元出版の社員名簿。

 

『消えた殺人者とカナリア』では長野県の地方都市の町名と駅名…ファンが聖地巡礼でおしかけ新聞に載ったこともあった。

 

『運命の来たる日』のマイルールは何なのか…そのカギは「2人出てくる川上さん」にありそうだ。

 

右京と亘は、少年Aこと野間口健一が入院していた少年院で法務教官の三上に話を聴く。

 

「少年院は非行少年を罰する場所ではない。彼らを保護し再教育して、更生を助ける場所だ」と話す三上は「彼は更生し立派に社会復帰している」として野間口の現状を教えてくれない。

 

ただ、三上は2年前に福山が自分を訪れていたことを打ち明ける。

 

野間口は少年院を出たあと、料理店の皿洗いから始めて、フレンチの料理人として10年前に結婚し、苗字を村上に変えていた。

 

右京と亘は「シェ・ムラカミ」というフランス料理の店である村上家の近くに「川上」という表札が出ている家を2軒、見つける。

 

調べると『運命の来たる日』に最初から順に出てくる登場人物の苗字は、西永福駅から村上家に至る道に並ぶ表札と同じ順番だった。

 

「『運命の来たる日』は事実を元にした完全なフィクションを書く。しかし、この完全なフィクションが完結した時、失われた事実があぶり出されるだろう」とは、小説の最終回で「アンノウン」の家が村上家であることが明かされることだった。

男が捕まり犯行を自供するが…

右京が村上健一を訪ねると、村上は妻を残して駆け出し逃げてしまう。結局、捕まる村上。

 

防犯カメラの映像によると、福山は「ジャパンミステリー」の最新号を村上家の郵便ポストに届けており、村上は『運命の来たる日』をすべて読んでいた。そして福山の「マイルール」にも気づいてしまった。

 

『運命の来たる日』は福山の復讐であり、最終回が発表されて「アンノウン」が村上であることが公になれば、村上が22年間かけて積み上げてきたものをすべて破滅させてしまうことになる…。伊丹に問い詰められて福山殺害を認める村上。

 

右京が「最終回の原稿はどこに捨てましたか?」と訊かれて「どこかに捨てました」と答える村上。

 

自分の名前が出るのを阻むための犯行なのに、肝心の原稿を「どこかに捨てた」というのは中途半端だ。

 

右京と亘はその疑問を村上の妻で、村上が事件当日はずっと家にいたと主張する由梨にぶつける。

 

由梨は村上の自供について「22年前の報いだと諦めたんだと思います。少年院を出て社会復帰を果たしてもご遺族の怒りや憎しみは少しも変わらないことを、あの日、思い知って…」と話す。

 

「あの日」とは、1か月ほどまえ、福山が店に来た日のことだった。その日、福山は「ペンは剣より強し、と言うが、ペンで人を殺せると思うか? 次はいよいよ最終回だ」と語り、料理の肉にナイフを思いっきり突き刺した。

 

「22年前の謝罪の手紙にも、おまえは名前も住所も書かなかった。名前を書かずに謝罪になるか!」と憤る福山に、村上と由梨は必死に頭を下げた。

 

由梨は「この人の罪を私も一緒に一生、償います。だからどうかお帰りください」と懇願した。

人生が破滅する危機に怯えるもう一人の人物とは?

村上健一以外にも『運命の来たる日』の連載が完結することで人生が破滅する危険に怯えている人物がもう1人いる…三上だ。

 

『運命の来たる日』の執筆にあたり、福山が最初にコンタクトをとったのは、2年前、川波出版だった。福山が少年Aの居所と名前を突き止めたのは2年前。福山が三上を訪ねたのも2年前だった。

 

20年以上も消えない被害者遺族の想いにほだされて、三上は服務規程に違反して村上の情報を福山に教えてしまった。そして、福山は復讐の連載を始めた。

 

三上は連載を読んで福山の恐ろしい計画に気づいた。自分はもうすぐ定年だ。定年の前に自分が少年の個人情報を漏らしたことが明るみに出たら、法務教官として長年勤め上げた自分の人生が台無しになる。

 

連載が進むたびに不安に苛まれた三上は、福山に談判に行き、揉み合ううちにナイフを福山の胸に刺してしまった…そして、最終回の原稿を盗み出したのだ。

 

だが、原稿を読んだ三上は、その内容に驚き、「これは燃やしちゃいけない」と、犯行の証拠になってしまう原稿を捨てることができず、自宅の押し入れに隠していた。

小説の最終回はどんな結末を迎えた?

「アンノウンはおまえだ!」と、老刑事の格好をした福山が白装束の男を指さす。白装束の男は、顔を覆うフードをとろうとするが、その姿は煙となって消えてしまう。必死に白装束の男を探すが見つけられず叫ぶ老刑事の福山。そこにもう1人の福山が現れる。小説家としての福山だ。さらに、柱の影から娘のしおりが出てくる。しおりを抱きしめる老刑事の福山。小説家の福山はいつのまにか消えており、老刑事としおりも昇華するように消えていく…

 

小説の最後、アンノウンは村上健一ではなく、最後までアンノウンと表記されていた。アンノウンはすべての罪を認め、カルト集団の本部に火を放ち、その火に飛び込み、主人公の老刑事もアンノウンの犯したすべての罪と一緒に自らも燃え尽き、死んでいく。

 

最終回は、ミステリーというより、途方もない文芸作品だった。

 

「福山はなぜアンノウンをアンノウンのままで終わられたんでしょうか」と疑問を口にする亘に、右京は「ペンで人を殺すために書き始め、書き進めるうちにペンで人を殺してはならないという想いに至ったのかもしれませんね」と答えた。

 

「22年という歳月で少年Aは更生を果たし、彼には、彼を守りたい家族ができた。福山さんの憎しみは小説『運命の来たる日』を生み、長い葛藤と執筆の末、小説はその憎しみすら飲み込んで、やがて別次元に昇華させた。だから福山さんは、最後の最後に、憎しみよりもっと強いものを…そう、安寧の祈りを最終回にこめたのだと、僕は思いますよ」

感想など

殺人事件の被害者家族、加害者、加害者家族それぞれの苦しみは、一生かかっても消えないほど重いものであることが伝わりました。その加害者が少年である場合、現実に真摯に向き合うほど、それぞれの立場で心境がさらに複雑になるようで、こうした犯罪が無くなることを願ってやみません。

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被害者家族の憎しみ

福山光一郎は、44歳の時に、14歳の一人娘を失いました。娘はコンビニの帰り道に、お金目当てだった17歳の少年に殺害されました。

 

福山は2年後に離婚します。娘を失った悲しみと加害者に対する憎しみは消えません。加害者が少年であるため、犯人の名前や住所を知ることができません。

 

普通であれば刑事罰が下され、顔や名前が公表され社会的制裁が科されるのに。17歳ということで、少年法により守られたのです。

 

被害者家族にとっては、娘を殺した相手が何歳であろうと関係ないことです。法律が少年を守るなら、自分が少年を罰したい、殺してやりたい…

 

しかし、そんなことをしても娘が戻ってくるわけではないし、娘が喜ぶこともないでしょう。

 

それでも、やっぱり許せない。福山は少年院を訪れて、娘を殺した犯人の情報を手に入れました。

 

復讐するために。

加害者の後悔

野間口健一は、17歳の時にお金欲しさで14歳の少女を殺害してしまいました。すぐに後悔して素直に自供し、少年院に入院しました。

 

少年院を出たあと、料理店の皿洗いから始めて、フレンチの料理人となり、結婚して苗字を変え、自分の店を持つことができました。

 

幸せを手に入れた村上健一の前に、少女の父親が現れました。福山に憎しみの気持ちをぶつけられて、村上は精神的に参ってしまいました。

 

やがて福山が殺害され、警察に自分の存在を突き止められた村上は、走って逃げます。そして、すぐに捕まり、福山を殺したと自供します。

 

本当は自分が福山を殺したのではないのに。

 

22年間かけて積み上げてきたものが崩壊したのも、自分が殺人犯であることの報いであると感じ、罪の意識が彼に嘘をつかせてしまいました。

加害者家族としての贖罪

福山が復讐の気持ちにブレーキをかけたのは、村上の妻による発言でした。

 

「この人の罪を私も一緒に一生、償います。だからどうかお帰りください」

 

夫ともに真摯に頭を下げ、毅然とした態度をとる妻の気持ちが、福山に伝わりました。

 

少年Aは立派に更生し、自分の罪を背負って生きている。その妻も一緒に罪を背負う覚悟で生きている…

 

福山は自分の気持ちに整理をつけることにしました。「少年A」と「unknown」は「少年A」と「unknown」のままで。

少年犯罪に対する右京さんの見解

少年法は、法務省によると「少年の健全な育成を図るため,非行少年に対する処分やその手続などについて定める法律」です。

 

【相棒】シリーズでは、2021年の元日スペシャル【相棒19第11話「オマエニツミハ」】で少年犯罪がテーマとなりました。

 

「この国は少年犯罪に対して甘すぎる。未成年だからって厳罰に処されないのは、どうしても納得できません」と話す自称ジャーナリストに対して、右京さんは「人間形成のできていない少年に矯正教育をほどこし、社会へ送り出す。その方針は間違いではないと思いますがね」と自身の見解を述べます。

 

自称ジャーナリストが「教育ではどうにもならない奴も大勢います。ろくでなしはろくでなしのまま、社会に放たれることになる」と語気を強めると右京さんは「感情で善悪を判断するのは危険です」と反論します。

 

少年による凶悪犯罪が起きると、少年法についてさまざまな意見が飛び交います。被害者家族の心情を思うと「撤廃」という意見が出るのも理解できますが、右京さんの言うように感情だけで判断すると危険というのも、その通りです。

 

福山には福山の苦しみがあり、村上には村上の苦しみがあり、村上の妻にもまた苦しみがある…。

モヤモヤ回こそ【相棒】の真骨頂

殺人という、一人の人間の命を奪い、奪われる行為の卑劣さ、やるせなさ。こうした犯罪が無くなることを願わずにはいられません。

 

そのためには、凶悪犯罪が起きる前に、犯罪を犯すことがどれだけ悪いことなのか、実感する機会を増やすことが必要なのではないでしょうか。

 

知る機会の1つとして、今回の「マイルール」が視聴した誰かの心を打ったなら【相棒】ファンとしてこれ以上の喜びはありません。

 

スッキリしないモヤモヤ回でしたが、少年Aが立派に更生したことと、被害者遺族が彼を「赦す」選択をしたことに、希望の光を感じました。

 

とはいえ、更生しない人間がいることも事実で、そこが問題なのですが…

 

やっぱりモヤモヤする…このモヤモヤを持ち続ける勇気も、意味のないことではないんじゃないかな。

 

問題提起し続けることをやめない勇気を持ち続ける【相棒】の心意気、すごいなあ。