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【相棒20第6話「マイルール」ネタバレ&感想】14歳の娘を17歳少年に殺されたミステリー作家の復讐!?

2000年にスタートしたドラマ【相棒】の新シーズン【相棒20】が、2021年秋から放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

2021年11月17日放送の【相棒20第6話「マイルール」】はどんな話なのでしょうか。

 

本編視聴後にストーリー(ネタバレ)と感想などを記述します。

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(画像はテレビ朝日から引用)

【相棒20第6話「マイルール」】はどんな話?

【相棒20第6話「マイルール」】

2021年11月17日放送

どんな話?

【相棒】公式サイトより引用

福山光一郎(菅原大吉)というベストセラー作家が、一人暮らしの自宅で刺殺された。警察は、もろもろの状況から強盗殺人の線で捜査を開始。

いっぽう右京(水谷豊)は、現場から新作の最終回の原稿が消えていることに疑問を抱く。その小説は、少女殺害事件の捜査にあたる老刑事が、正体不明の犯人を執念で追い詰めていくストーリーらしいのだが…。

版元の編集者から話を聞いた右京と亘(反町隆史)は、新作の掲載を前に、福山が突然、出版社を乗り換えていたことを知る。

さらに、福山は自著で、『小説が完結した時、失われた真実があぶりだされるだろう』という、謎めいた発言をしていた。

捜査を進めると、22年前、福山は、ある重大事件に巻き込まれていたことが判明。右京は、その事件と問題の小説に、共通点が存在していることに気づく。

【テレ朝POST】より引用

“日本ミステリー界の第一人者”と評される小説家・福山光一郎(菅原大吉)が自宅で刺殺されているのが見つかった。

財布から大金が抜き取られていたため強盗の犯行かと思われたが、臨場した特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、福山が書き上げたばかりの原稿がなくなっていることに気づく。

その原稿は、1年間にわたってミステリー雑誌で連載されてきた小説『運命の来たる日』の最終回で、主人公の老刑事が追い続けてきた真犯人“アンノウン”の正体が明かされているはずだった…。

福山は、気に障ることがあると担当者どころか出版社まで変えてしまう横暴ぶりで有名だったが、大御所作家でありながら著作の宣伝には貪欲で、テレビ番組にも多数出演。しかし、そのたびに過激な発言を連発し殺害予告が届くほどの変わり者だった。

そんな中、右京は福山が寄稿したエッセイの中に興味深い一節があるのを発見する。福山は『運命の来たる日』について、「事実をもとにした完全なフィクション」であるとし、「完結した時、失われた事実があぶりだされるだろう」と綴っていたのだ。

“失われた事実”とはいったいどういう意味なのか!? そんな中、亘は福山が壮絶な過去を背負っていたことをつかみ…!?

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京(すぎしたうきょう)=水谷豊
冠城亘(かぶらぎわたる)=反町隆史

小出茉梨(こいでまり)=森口瑤子

伊丹憲一(いたみけんいち)=川原和久
芹沢慶二(せりざわけいじ)=山中崇史
角田六郎(かくたろくろう)=山西惇

出雲麗音(いずもれおん)=篠原ゆき子

福山光一郎=菅原大吉

ほか

スタッフ

脚本=森下直

監督=橋本一

音楽=池頼広

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

福山は月刊誌「ジャパンミステリー」に『運命の来たる日』を1年にわたり連載中だった。

 

『運命の来たる日』では、14歳の少女がコンビニの帰り道、何者かに殺害され、その犯人を名乗る人物「アンノウン(unknown=氏名不詳)」から警察に挑戦状が届く。

 

主人公は捜査一課の老刑事。正義感に燃え、執念の捜査を続けるが、同じ手口で連続殺人が起こり、アンノウンの魔の手は老刑事の仲間や友人にまで及び、彼を苦境に立たせる。

 

やがて老刑事は心身に傷を負いながらも、アンノウンの潜むカルト集団を突き止め、単身で乗りこみ、ある人物を指さす。

 

「アンノウンは、お前だ!」そして、最終回へ続く…。

一人娘を少年Aに殺害されたミステリー作家

『運命の来たる日』はもともと川波出版から発売される予定だったが、担当編集者の布田房江が「川上さんが2人出てくる」ことを福山のケアレスミスだと思い指摘したことが逆鱗に触れ、早元出版に変更されていた。

 

福山は「新読リテラス」という雑誌のエッセイで「『運命の来たる日』は事実を元にした完全なフィクションを書く。しかし、この完全なフィクションが完結した時、失われた事実があぶり出されるだろう」と述べていた。

 

福山は大学在籍中に文壇デビュー。当初は純文学で、極めて難解なものを書いていた。小説は売れず、結婚と就職を機に筆を折り、20代、30代の頃は普通のサラリーマン生活だった。

 

22年前、福山が44歳の時、一人娘のしおりが自宅近くのコンビニの帰り道で殺害された。犯人は金目当てだった17歳の少年。

 

少年は裁判で情状酌量が認められ、少年院に入院した。当時の少年法により少年Aの名前も住所もいっさい公表されることなく、2年後に福山は妻と離婚。

 

『運命の来たる日』で最初に殺害される少女の名前も「しおり」…。

『運命の来たる日』に仕掛けた「マイルール」とは?

福山は小説の登場人物につける名前に「マイルール」を用いていた。

 

初のミリオンセラーとなった「死神のアルゴリズム」に出てくる登場人物の苗字はすべて関ヶ原の合戦に出てくる西軍の武将。『殺しの甘く芳しい香り』では銀座の高級クラブのホステスの名前。『薔薇の棘と毒』では早元出版の社員名簿。

 

『消えた殺人者とカナリア』では長野県の地方都市の町名と駅名…ファンが聖地巡礼でおしかけ新聞に載ったこともあった。

 

『運命の来たる日』のマイルールは何なのか…そのカギは「2人出てくる川上さん」にありそうだ。

 

右京と亘は、少年Aこと野間口健一が入院していた少年院で法務教官の三上に話を聴く。

 

「少年院は非行少年を罰する場所ではない。彼らを保護し再教育して、更生を助ける場所だ」と話す三上は「彼は更生し立派に社会復帰している」として野間口の現状を教えてくれない。

 

ただ、三上は2年前に福山が自分を訪れていたことを打ち明ける。

 

野間口は少年院を出たあと、料理店の皿洗いから始めて、フレンチの料理人として10年前に結婚し、苗字を村上に変えていた。

 

右京と亘は「シェ・ムラカミ」というフランス料理の店である村上家の近くに「川上」という表札が出ている家を2軒、見つける。

 

調べると『運命の来たる日』に最初から順に出てくる登場人物の苗字は、西永福駅から村上家に至る道に並ぶ表札と同じ順番だった。

 

「『運命の来たる日』は事実を元にした完全なフィクションを書く。しかし、この完全なフィクションが完結した時、失われた事実があぶり出されるだろう」とは、小説の最終回で「アンノウン」の家が村上家であることが明かされることだった。

男が捕まり犯行を自供するが…

右京が村上健一を訪ねると、村上は妻を残して駆け出し逃げてしまう。結局、捕まる村上。

 

防犯カメラの映像によると、福山は「ジャパンミステリー」の最新号を村上家の郵便ポストに届けており、村上は『運命の来たる日』をすべて読んでいた。そして福山の「マイルール」にも気づいてしまった。

 

『運命の来たる日』は福山の復讐であり、最終回が発表されて「アンノウン」が村上であることが公になれば、村上が22年間かけて積み上げてきたものをすべて破滅させてしまうことになる…。伊丹に問い詰められて福山殺害を認める村上。

 

右京が「最終回の原稿はどこに捨てましたか?」と訊かれて「どこかに捨てました」と答える村上。

 

自分の名前が出るのを阻むための犯行なのに、肝心の原稿を「どこかに捨てた」というのは中途半端だ。

 

右京と亘はその疑問を村上の妻で、村上が事件当日はずっと家にいたと主張する由梨にぶつける。

 

由梨は村上の自供について「22年前の報いだと諦めたんだと思います。少年院を出て社会復帰を果たしてもご遺族の怒りや憎しみは少しも変わらないことを、あの日、思い知って…」と話す。

 

「あの日」とは、1か月ほどまえ、福山が店に来た日のことだった。その日、福山は「ペンは剣より強し、と言うが、ペンで人を殺せると思うか? 次はいよいよ最終回だ」と語り、料理の肉にナイフを思いっきり突き刺した。

 

「22年前の謝罪の手紙にも、おまえは名前も住所も書かなかった。名前を書かずに謝罪になるか!」と憤る福山に、村上と由梨は必死に頭を下げた。

 

由梨は「この人の罪を私も一緒に一生、償います。だからどうかお帰りください」と懇願した。

人生が破滅する危機に怯えるもう一人の人物とは?

村上健一以外にも『運命の来たる日』の連載が完結することで人生が破滅する危険に怯えている人物がもう1人いる…三上だ。

 

『運命の来たる日』の執筆にあたり、福山が最初にコンタクトをとったのは、2年前、川波出版だった。福山が少年Aの居所と名前を突き止めたのは2年前。福山が三上を訪ねたのも2年前だった。

 

20年以上も消えない被害者遺族の想いにほだされて、三上は服務規程に違反して村上の情報を福山に教えてしまった。そして、福山は復讐の連載を始めた。

 

三上は連載を読んで福山の恐ろしい計画に気づいた。自分はもうすぐ定年だ。定年の前に自分が少年の個人情報を漏らしたことが明るみに出たら、法務教官として長年勤め上げた自分の人生が台無しになる。

 

連載が進むたびに不安に苛まれた三上は、福山に談判に行き、揉み合ううちにナイフを福山の胸に刺してしまった…そして、最終回の原稿を盗み出したのだ。

 

だが、原稿を読んだ三上は、その内容に驚き、「これは燃やしちゃいけない」と、犯行の証拠になってしまう原稿を捨てることができず、自宅の押し入れに隠していた。

小説の最終回はどんな結末を迎えた?

「アンノウンはおまえだ!」と、老刑事の格好をした福山が白装束の男を指さす。白装束の男は、顔を覆うフードをとろうとするが、その姿は煙となって消えてしまう。必死に白装束の男を探すが見つけられず叫ぶ老刑事の福山。そこにもう1人の福山が現れる。小説家としての福山だ。さらに、柱の影から娘のしおりが出てくる。しおりを抱きしめる老刑事の福山。小説家の福山はいつのまにか消えており、老刑事としおりも昇華するように消えていく…

 

小説の最後、アンノウンは村上健一ではなく、最後までアンノウンと表記されていた。アンノウンはすべての罪を認め、カルト集団の本部に火を放ち、その火に飛び込み、主人公の老刑事もアンノウンの犯したすべての罪と一緒に自らも燃え尽き、死んでいく。

 

最終回は、ミステリーというより、途方もない文芸作品だった。

 

「福山はなぜアンノウンをアンノウンのままで終わられたんでしょうか」と疑問を口にする亘に、右京は「ペンで人を殺すために書き始め、書き進めるうちにペンで人を殺してはならないという想いに至ったのかもしれませんね」と答えた。

 

「22年という歳月で少年Aは更生を果たし、彼には、彼を守りたい家族ができた。福山さんの憎しみは小説『運命の来たる日』を生み、長い葛藤と執筆の末、小説はその憎しみすら飲み込んで、やがて別次元に昇華させた。だから福山さんは、最後の最後に、憎しみよりもっと強いものを…そう、安寧の祈りを最終回にこめたのだと、僕は思いますよ」

感想など

殺人事件の被害者家族、加害者、加害者家族それぞれの苦しみは、一生かかっても消えないほど重いものであることが伝わりました。その加害者が少年である場合、現実に真摯に向き合うほど、それぞれの立場で心境がさらに複雑になるようで、こうした犯罪が無くなることを願ってやみません。

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被害者家族の憎しみ

福山光一郎は、44歳の時に、14歳の一人娘を失いました。娘はコンビニの帰り道に、お金目当てだった17歳の少年に殺害されました。

 

福山は2年後に離婚します。娘を失った悲しみと加害者に対する憎しみは消えません。加害者が少年であるため、犯人の名前や住所を知ることができません。

 

普通であれば刑事罰が下され、顔や名前が公表され社会的制裁が科されるのに。17歳ということで、少年法により守られたのです。

 

被害者家族にとっては、娘を殺した相手が何歳であろうと関係ないことです。法律が少年を守るなら、自分が少年を罰したい、殺してやりたい…

 

しかし、そんなことをしても娘が戻ってくるわけではないし、娘が喜ぶこともないでしょう。

 

それでも、やっぱり許せない。福山は少年院を訪れて、娘を殺した犯人の情報を手に入れました。

 

復讐するために。

加害者の後悔

野間口健一は、17歳の時にお金欲しさで14歳の少女を殺害してしまいました。すぐに後悔して素直に自供し、少年院に入院しました。

 

少年院を出たあと、料理店の皿洗いから始めて、フレンチの料理人となり、結婚して苗字を変え、自分の店を持つことができました。

 

幸せを手に入れた村上健一の前に、少女の父親が現れました。福山に憎しみの気持ちをぶつけられて、村上は精神的に参ってしまいました。

 

やがて福山が殺害され、警察に自分の存在を突き止められた村上は、走って逃げます。そして、すぐに捕まり、福山を殺したと自供します。

 

本当は自分が福山を殺したのではないのに。

 

22年間かけて積み上げてきたものが崩壊したのも、自分が殺人犯であることの報いであると感じ、罪の意識が彼に嘘をつかせてしまいました。

加害者家族としての贖罪

福山が復讐の気持ちにブレーキをかけたのは、村上の妻による発言でした。

 

「この人の罪を私も一緒に一生、償います。だからどうかお帰りください」

 

夫ともに真摯に頭を下げ、毅然とした態度をとる妻の気持ちが、福山に伝わりました。

 

少年Aは立派に更生し、自分の罪を背負って生きている。その妻も一緒に罪を背負う覚悟で生きている…

 

福山は自分の気持ちに整理をつけることにしました。「少年A」と「unknown」は「少年A」と「unknown」のままで。

少年犯罪に対する右京さんの見解

少年法は、法務省によると「少年の健全な育成を図るため,非行少年に対する処分やその手続などについて定める法律」です。

 

【相棒】シリーズでは、2021年の元日スペシャル【相棒19第11話「オマエニツミハ」】で少年犯罪がテーマとなりました。

 

「この国は少年犯罪に対して甘すぎる。未成年だからって厳罰に処されないのは、どうしても納得できません」と話す自称ジャーナリストに対して、右京さんは「人間形成のできていない少年に矯正教育をほどこし、社会へ送り出す。その方針は間違いではないと思いますがね」と自身の見解を述べます。

 

自称ジャーナリストが「教育ではどうにもならない奴も大勢います。ろくでなしはろくでなしのまま、社会に放たれることになる」と語気を強めると右京さんは「感情で善悪を判断するのは危険です」と反論します。

 

少年による凶悪犯罪が起きると、少年法についてさまざまな意見が飛び交います。被害者家族の心情を思うと「撤廃」という意見が出るのも理解できますが、右京さんの言うように感情だけで判断すると危険というのも、その通りです。

 

福山には福山の苦しみがあり、村上には村上の苦しみがあり、村上の妻にもまた苦しみがある…。

モヤモヤ回こそ【相棒】の真骨頂

殺人という、一人の人間の命を奪い、奪われる行為の卑劣さ、やるせなさ。こうした犯罪が無くなることを願わずにはいられません。

 

そのためには、凶悪犯罪が起きる前に、犯罪を犯すことがどれだけ悪いことなのか、実感する機会を増やすことが必要なのではないでしょうか。

 

知る機会の1つとして、今回の「マイルール」が視聴した誰かの心を打ったなら【相棒】ファンとしてこれ以上の喜びはありません。

 

スッキリしないモヤモヤ回でしたが、少年Aが立派に更生したことと、被害者遺族が彼を「赦す」選択をしたことに、希望の光を感じました。

 

とはいえ、更生しない人間がいることも事実で、そこが問題なのですが…

 

やっぱりモヤモヤする…このモヤモヤを持ち続ける勇気も、意味のないことではないんじゃないかな。

 

問題提起し続けることをやめない勇気を持ち続ける【相棒】の心意気、すごいなあ。