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【相棒4-17「告発の行方」感想】忖度を許さないジャーナリストの死。

この記事ではテレビドラマ【相棒4-17「告発の行方」】の感想などを記述しています。

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モヤモヤする話

見終わった感想は「モヤモヤするー」です。【相棒】史上最大の鬱回と言われる「ボーダーライン」に匹敵する衝撃と切なさ。内面に湧く怒り。悪い政治家に対する怒りなのか。それを覆せない社会に対するものなのか。あるいは自分自身の無力さか。どちらにしても、深く考え始めると憂うつになる、危険なストーリーです。

ジャーナリストが再起をかけて臨んだ原稿が潰されて。

ジャーナリストとライター

「ジャーナリスト」と「ライター」は、よく混同されます。ある部分では重なっています。

辞書によると。

「ジャーナリスト=ジャーナリズムにかかわる人。特に、時事的な報道にたずさわる記者・執筆者・編集者など」

ジャーナリズムとは、新聞や雑誌、テレビなどの報道や娯楽機関であり、それらによって作られる大衆文化のことです。

「ライター=文章を書くことを職業にしている人」

ライターのうち、事件や風俗などを取材し記事にまとめあげる人は、一般に「ルポライター」と呼ばれています。

なんだか、ライターよりもジャーナリストのほうが敷居が高いイメージがあります。テレビのワイドショーなどで「ライターの○○さん」よりも「ジャーナリストの☆☆さん」と紹介された人のほうがランクが高いような。

しかし、ジャーナリストのうちの「執筆者」は、いわゆるライターでもあるし、ライターがジャーナリズムに関わっていれば、それはジャーナリストと呼べるのかもしれません。

ただし、明確な分け方があるとすれば。

「ジャーナリズム大賞」で「最優秀賞」を獲得した人は、間違いなくジャーナリストです。

「告発の行方」の冒頭でで転落死した堂島丈一は、ジャーナリズム大賞を獲得した経験があります。しかし、彼はルポライターとして生きていました。

記事は差し替えられた

この回の導入を振り返ります。

堂島が自宅マンションの窓から転落死しました。ジャーナリズム大賞を受賞したこともある堂島ですが、最後に書いた国土交通大臣の古賀へのインタビュー記事は、大臣のホームページを見れば簡単にわかる内容です。

違和感を抱いた右京さんと亀山くんは、堂島が大臣を告発する記事を書いたために、編集長に記事を差し替えられたことを突き止めます。

机に爪を立ててでも

堂島丈一は、気骨のある文章を書く執筆者でした。「血税の墓場」という著書が代表作です。

しかし、社会性の強いネタは売れないことを肌で感じている堂島は、しだいに追い詰められました。

アイドルや暴力団などのゴシップ誌を書いては週刊誌に売る日々。彼は家の壁をボコボコになぐり、机に爪を立てて耐えていました。

堂島は「キリン芸能」という週刊誌の編集長に、国土交通大臣のインタビュー記事を任されました。

彼は最後の賭けに出ます。大臣の不正を告発し、ジャーナリストとして再起してやる。絶対に失敗できない戦い。

渾身の記事を書きました。

その文章は、クレームの殺到を恐れた編集長によって差し替えられてしまいました。

四国ドームで贈収賄?

堂島が告発しようとした内容は、大臣の贈収賄疑惑です。

古賀大臣は地元の議員時代に、四国にプロ野球チームを呼ぶ計画を立てました。ドーム建設のために便宜を図ります。これにより「株式会社四国ドーム」という政府主導の第三セクターが誕生しました。いわゆる「箱物行政」です。

見返りに賄賂を受け取った古賀は、建設族議員として力を蓄えて、国土交通大臣に出世しました。

一方で、四国ドームは、あまりにもいい加減な経営のツケがまわり、500億円以上の負債を抱えて破綻。その損失が、国民や地元住民の税金によって補てんされようとしている…

堂島が告発しようとした内容が出回れば、大臣は逮捕され失脚します。

この社会は、強い者が弱い者をねじ伏せることができます。弱い者が、強い者を恐れて事実をねじ曲げてしまうこともあります。

堂島の告発は、編集長によって負け戦になってしまいました。

わからないでは済まされない

「ジャーナリスト」のランクが「ライター」より高いと感じるのは、ジャーナリストが、社会問題の事実を基にした的確な主張を述べている点にあります。

堂島が告発しようとした内容は、国を揺るがす壮大な事件です。

現実にも、政治家の贈収賄が疑われる案件はいくつもあります。「そんたく」という言葉が流行しています。「他人の気持ちを推し量る」という、どんな解釈もできるあいまいな日本語です。

あいまいなことだらけで、うやむやに終わってしまう社会。

ジャーナリストは、そんな世の中を憂いて問題提起します。

「もう、わからないでは済まされない。読者には、怒りを感じてほしい」と。「そして、行動してほしい」と。

このドラマはツンデレです

ライターではなくジャーナリストであろうとした堂島丈一。右京さんに「この程度の記事なら、大臣のホームページを見ればわかりますよ」なんて言わせない意地が伝わります。

その魂は潰されました。モヤモヤします。この回を見て感じた怒りを、どこにぶつけたらいいのか、わからない…。握った拳で壁に穴を開けたいような、拳を下ろしてスルーしたいような。

しかし堂島は「もう、わからないでは済まされない」と訴えました。「行動してほしい」とメッセージを遺しました。

とはいえ、わからないで済ませないことも、行動することも、やっぱり難しくて。日々、流されて。ためらってしまうことのほうが多いけれど。

だからこそ、右京さんがいるんだ。

【相棒】は勇気を出して前を向こうと教えてくれます。良質なジャーナリズムであり、ゴシップ系週刊誌でもあります。いろんな面があります。

事件は解決しても心のモヤモヤは解決しない回が多いなんて、このドラマはどこまでもドSです(^_^;)