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【相棒19第14話「忘れもの」】ネタバレ&感想…小手鞠が高校時代に恋した男は事件の犯人!?

放送開始20周年を迎えたドラマ【相棒】は、2020年の秋から2021年にかけて新シーズン【相棒19】が放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

この記事では2021年1月27日に放送された【相棒19第14話「忘れもの」】のネタバレを含めた感想などを記述しています。

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(画像引用=テレビ朝日)

第14話「忘れもの」はどんな話?

【相棒19第14話「忘れもの」】

2021年1月27日放送

どんな話?

小料理屋『こてまり』にやってきた杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)に留守を任せ、忘れものをした客を追いかけてきた小手鞠(森口瑤子)。どうにか追いつき、忘れものを渡したところで、その客が高校の同級生、中迫俊也(宮川一朗太)だということに気づく。

懐かしさから会話を弾ませようとする小手鞠だったが、税理士をしている中迫は、実はある事件に巻き込まれており、追ってきた暴力団から逃げるために小手鞠を半ば強引にタクシーに乗せ、その場から連れ去ってしまう!

事情を聞き、中迫が命を狙われていることを知った小手鞠は手助けを決意するが、殺人さえいとわない危険な追跡者がすぐそばまで迫っていた―――。

翌朝、小手鞠が店に戻った形跡がないことを心配する右京と亘のもとに、サイバーセキュリティー対策本部の青木年男(浅利陽介)が嬉々としてやってくる。小手鞠が中迫とタクシーに乗り込むところを目撃した青木は、右京が小手鞠に振られたと勘違いし、その様子をスマホのカメラに収めていたのだ。

(引用=テレビ朝日)

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京=水谷豊
冠城亘=反町隆史

小出茉梨=森口瑤子

伊丹憲一=川原和久
芹沢慶二=山中崇史
角田六郎=山西惇
青木年男=浅利陽介

出雲麗音=篠原ゆき子

中迫俊也=宮川一朗太

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
脚本=山本むつみ

音楽=池頼広
監督=片山修
ほか

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(画像引用=テレビ朝日)

《関連記事》小手鞠さんてどんな人?まとめました!

【相棒19】新女将「こてまり」こと小出茉梨とは?右京さんを利用する知略の持ち主??

その後どうなった?(ネタバレ)

鳳炎組(ほうえんぐみ)の金庫番である高宮卓が殺害された。中迫は、組の牛島功と勝本竜次から送られてきた高宮の死体の画像を見ておびえた。中迫は「こてまり」を出たところで牛島たちに見つかり、小手鞠を連れてタクシーで逃亡した。

気がつけば反社組織に加担していた

税理士の中迫は、いつの間にか反社会的組織のフロント企業「BYSAS」のマネーロンダリングなどに加担させられていた。

 

高岩は中迫に1億円を中抜きして儲けようと持ちかけた。仕事がうまくいかず、別れた妻子に払う養育費にも困っていた中迫は、3000万円の報酬のために協力してしまった。

 

右京たちは中迫が持っていた「Fyra」という高級菓子店の袋や税理士のバッジ、元妻による「元夫はフィットネスクラブに通っているらしい」などの証言から、小手毬を連れて逃げる中迫の行方を追う。

コンタクトレンズを探してくれた同級生

小手毬は、高校時代に同級生の中迫と廊下でぶつかりコンタクトレンズを落とした時に、必死に探してくれた中迫のことを思い出していた。

 

中迫に頼まれてフィットネスクラブのロッカーにある「BYSAS」の不正の証拠を持ち出そうとした小手毬は、そのロッカーに大金が隠されているのを見て驚く。小手鞠は袋の中身を入れ替えて、お金はロッカーに戻す。遅れて到着した右京がそれを発見する。

 

小手毬が「警察に行こう」と何度も説得したが中迫は羽田空港に向かい、海外に逃亡しようとする。

小手鞠の命を救おうと決意する中迫

羽田空港の駐車場で「1人で警察に行く」と言って車を降りた小手毬を、牛島と勝本が捕まえる。

 

その様子を見ても中迫は逃げようとするが、小手毬の命を救うために、袋を牛島に渡し、牛島にボコボコにされる。

 

小手毬は勝本の足を踏むなどして強いところを見せたが、もう一度捕まってしまう。そこに右京と亘が間に合って、脅迫、傷害、公務執行妨害などでとりあえず牛島と勝本を逮捕した。

 

また、角田課長が遅れて到着し、フロント企業に加担していた中迫を逮捕した。

ハンカチの「忘れもの」とオクラホマミキサー

角田に連れていかれる中迫を呼び止めた小手毬は、中迫が「こてまり」に置いていったハンカチを懐から取り出し「忘れもの」と言って渡した。

 

小手毬は「こてまり」を訪れた右京と亘に、高校最後の文化祭で踊ったオクラホマミキサーで、あと1人で中迫と手を繋げるところまできて曲が終わってしまい、残念だった話をする。

 

タクシーに乗る時、ふいに中迫に手をつかまれたことで、オクラホマミキサーのことを思い出していたらしい。

 

高校時代の小手毬は、中迫のことが好きだったのだ。

感想など

入り組んだ構成で難解なエピソードが続く【相棒19】ですが、今回は逃亡する男と巻き込まれた女の複雑な思いが丁寧かつ濃厚に描かれる、感動作となりました。

どんでん返しのない簡単な話だからこそ

今回のストーリーは、簡単にまとめることができます。

 

反社会的勢力のフロント企業にいつの間にか加担させられていた男は、悪事に使われているお金をネコババしてしまいます。

 

それがバレて組員に命を狙われ、偶然再会した高校時代の同級生の女を連れて逃亡します。

 

組員に捕らえられてしまった女を見捨てることができずに、逃げることをあきらめる男。

 

女は高校時代、男に淡い恋心を抱いていた…

 

それだけの話です。それだけの話なんだけれども、男と女の心情が丹念に描かれて、濃厚な作品となりました。

特命係の動向よりも逃避行の2人

特命係の2人の出番は最低限に抑えられていて、右京さんと亘は小手毬さんと中迫の行方を辿って追いかけていくだけです。

 

鳳炎組の金庫番が殺害された件も、ストーリーの冒頭で犯人が明かされているため、殺人事件の捜査の過程もありません。

 

そのぶん、組員に追われる中迫と小手毬さんの逃避行がたっぷり描かれています。

 

中迫はお金をネコババした犯人であり、追い詰められている中迫は逃げることしか頭にありません。

 

それでも、小手毬さんはかつて自分が恋心を抱いた男のやさしさを信じていました。

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(画像引用=テレビ朝日)

高校時代の淡い恋は一生の宝物

恋って、ふとした時に突然、心を惑わすものです。

 

男女関係に疎いタイプの女子高校生にとって、自分にやさしくしてくれた男子に特別な感情を抱き、それが恋だと知ったら、その時のことは忘れられない大切な思い出になることでしょう。

 

小手毬さんは、高校時代に廊下で中迫とぶつかって、コンタクトレンズを落としてしまいました。レンズを中迫は這いつくばって必死に探してくれました。

 

自分のためにそこまでしてくれる…小手毬さんが中迫に心奪われていく過程が伝わってきます。

 

そして高校時代最後の文化祭。男女が一人ずつ入れ替わって踊るオクラホマミキサーで、小手毬さんはあと一人のところで、中迫と手をつなぐことができませんでした。

 

無念さで胸が張り裂ける思いだったでしょう。奥手の彼女が、中迫に告白できずに卒業してしまう…簡単に「好き」と伝えられない葛藤は、時代が移ろった今でも全国の至るところに存在し、その共感は世代を問わないことでしょう。

自分から警察に連絡しない小手鞠さんの気持ち

小手毬さんは、赤坂の芸者として厳しい世界に飛び込むことで、高校時代には無かったしたたかさを身につけました。しかし、あの頃の淡い恋のことを忘れたわけではありませんでした。

 

タクシーに乗るために中迫に腕を掴まれた時に、オクラホマミキサーの無念を思い出しました。

 

その一瞬が、小手毬さんの心情を揺らしてしまったのでしょうか。

 

小手毬さんは、中迫が犯罪者として逃亡していると知ってから「警察に行こう」と何度も促しましたが、自分から警察に連絡することはありませんでした。

 

あとで右京さんに知られたら当然たしなめられる判断ですが、小手毬さんが頑として警察に連絡しなかったのは、最後の最後まで中迫のやさしさを信じていたからなのでしょう。

 

高校時代の中迫は、小出茉梨という女子に好意を持つほどではなかったと思われます。コンタクトレンズを必死に探したのも、彼の根源的な優しさに由来するもの。

 

だからこそ、小手毬さんは中迫の根源的な優しさに賭けることができました。

人情味あふれる山本むつみ脚本の素晴らしさ

今回の脚本を担当した山本むつみさんはNHKの『ゲゲゲの女房』や『八重の桜』を担当した脚本家として有名です。

 

これまで【相棒】でも「平成の毒婦」こと遠峰小夜子シリーズなどセンセーショナルなものもありますが、ほかの脚本家さんとは一線を画す、ゲスト登場人物の人情を丁寧に掘り下げるストーリーを提供してくれる作家さんです。

 

衣笠副総監の娘である中学生の揺れる心情を描いた「アンタッチャブル」や、人の顔を覚えられない相貌失認を持つ女性の葛藤が胸に迫る「目撃しない女」など、いくつもの名作を生み出しています。

 

その共通点は、ゲスト登場人物の心境を主軸に置き、右京さんたちには推理で後を追わせる役として極端に目立たせないところにあるように見受けられます。

 

この人の脚本は心にぐっときます。

 

それでいて、小手毬さんが悪役の足を踏みつけて脱出する場面は【相棒】の第1作で右京さんが亀山薫に教えた戦法であり、薫の卒業の時にも使われた技であるところに、山本さんの「相棒愛」を感じるのです。