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【相棒18「けむり~陣川警部補…」】ネタバレ感想!小学生の頃から窃盗を繰り返す女!?

【相棒】はテレビ朝日・東映の制作で放送されている、21世紀を代表する刑事ドラマシリーズです。


主人公は、水谷豊さん演じる杉下右京警部とその相棒。現在の相棒は反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)です。たった2人の警視庁特命係が難事件を解決します。

 

2019年10月からは18シーズン目がスタート。冠城亘は【相棒14】での登場以来、5シーズン目となりました。

 

この記事では2020年2月19日に放送された、2シーズンぶりに陣川公平警部補(原田龍二さん)が登場する【相棒18第16話「けむり〜陣川警部補の有給休暇」】のネタバレや感想などを記述しています。未視聴の方はご注意ください。

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主な出演者・スタッフ

【相棒18第16話「けむり〜陣川警部補の有給休暇」】
2020年2月19日放送

 

出演

杉下右京=水谷豊=警視庁特命係係長。警部。

冠城亘=反町隆史=警視庁特命係。巡査。

伊丹憲一=川原和久=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

芹沢慶二=山中崇史=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

角田六郎=山西惇=警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課長。警視。

青木年男=浅利陽介=警視庁サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官。

益子桑栄=田中隆三=警視庁刑事部鑑識課。巡査部長。

陣川公平=原田龍二

斎藤理沙=飛鳥凛

佐田重蔵=小倉一郎

野中文江=山下裕子

太川誠也=影山樹生弥

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真道

脚本=根本ノンジ

音楽=池頼広

監督=権野元

ほか

どんな話?

ケアハウスの理事長が殺害され、現場の痕跡から“けむり”と呼ばれる連続窃盗犯の関与が浮上。けむりは、たばこの吸い殻以外、現場に何の痕跡も残さず、煙のごとく姿を消す窃盗犯。警察が20年以上追っても、いまだ捕まえることができない伝説的な存在として知られている。経済事件を担当する捜査二課の刑事になった陣川(原田龍二)も、以前からけむりを調べていた。ただ、今回の“強盗殺人”には違和感を覚えているらしく、右京(水谷豊)や亘(反町隆史)と一緒に捜査がしたいと、特命係に押し掛けてくる。陣川いわく、けむりが狙うのは、あくどい稼ぎをしている闇金や反社の事務所だけで、殺人を犯したのには何か深い理由があるはずだという。その夜、右京と亘は、決起集会という名目で陣川行きつけの“あおびょうたん”という居酒屋に連れて行かれる。陣川の惚れっぽさは相変わらずなようで、理沙(飛鳥凛)という店の従業員を、運命の人と信じ込んでいるらしい。そのはしゃぎぶりは、重蔵(小倉一郎)という店の常連客を、そそくさと引き揚げさせるほど。そんな中、けむりの犯行と思われる、新たな窃盗事件が発生し…!?(引用=テレビ朝日)

その後どうなった?(完全ネタバレ)

けむりの正体は…

新たな窃盗事件の現場には、たばこの吸い殻と爪楊枝が残されていた。現場に入っている清掃会社の職員名簿に佐田重蔵の名前があった。

 

現場の爪楊枝と「あおびょうたん」で佐田が使った爪楊枝のDNAが一致し、けむりの正体は佐田と判明する。

 

佐田はケアハウスでの殺人事件は自分の犯行だと認めた。

 

右京さんは佐田の部屋にあった、カバン店で126万円の買い物をした領収書に目をつける。

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けむりはもう一人?

ぼったくりバーで窃盗事件が発生した。けむりの犯行だと思われるが、佐田は拘留中。けむりはもう1人いる?

 

現場にあった観葉植物をレンタルする会社に、派遣社員として理沙が働いていた。

 

佐田が126万円の買い物をしたのはランドセルで、児童養護施設に寄贈していた。施設には佐田と理沙が一緒に写っている写真があった。

 

理沙の本名は三崎理沙。父はケアハウスの職員で、理沙が9歳の時に殺害された。逮捕されたのはケアハウスの同僚の遠藤という男だった。遠藤はすでに獄中で死んでいる。

 

バーにあったたばこから女性のDNAが発見された。もう1人のけむりは理沙だった。

 

理沙の部屋を捜索すると父の携帯電話があり、ケアハウスを管理する山倉が入所者を死なせる動画が保存されていた。

 

陣川警部補が理沙をケアハウスに誘い出し、理沙に自供させる。

犯行の理由は?

理沙は最初、父を殺害した犯人の遺族に怒りをぶつけようとしていた。遠藤の息子の誠也を見つけ、居酒屋で一緒に働くことにした。

 

理沙は誠也と過ごすうちに、自分と同じようにつらい人生を送ってきたのだろうと思った。

 

そんな時に、父の携帯電話にあった動画を見た。父を殺したのは山倉だ。遠藤はその罪をなすりつけられたのだ。

 

理沙が誠也にその事を話すと、誠也は1人でケアハウスに乗り込んでしまった。山倉が誠也をナイフで刺そうとしたが、もみ合ううちに誠也が山倉を刺して殺してしまった。

 

そこに理沙が到着した。理沙は、警察に行き正当防衛であることを説明しようと促したが、誠也は殺人犯の息子の話など誰も信用してくれないと拒んだ。

 

罪をかぶる決心をした理沙は、部屋を荒らしてけむりの犯行に見せかけた。

陣川さんはタイプじゃなかった?

伊丹刑事たちに連れられていく理沙は、去り際に陣川警部補に「プロポーズしてくれてありがとう。でも、タイプじゃなかった」と突き放す。だが、その表情は複雑だった。

 

取調室で佐田は右京さんに、理沙に窃盗を発見されてランドセルをねだられた時から、ずっと一生に窃盗を続けてきたと語った。

 

右京さんは、佐田に「人の物を盗むのは犯罪です」と言い置いてから「これからは父親として正しいことをしてあげてください」と説いた。

 

「あおびょうたん」では、陣川さんが失恋の後遺症から酔っ払って羽目を外すおなじみの光景が見られたのだった。

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感想など(ネタバレ) 

陣川警部補の暴走や失恋というお約束に、安心の笑いをいただいたことに感謝しつつ、殺人事件の被害者遺族と加害者遺族の遭遇がもたらした哀しい結末について考えます。

5年ぶりの明るい陣川さん

暴走と失恋のお約束キャラ

【相棒】シリーズで欠かせないキャラクターといえば「特命係・第三の男」こと陣川公平です。

 

原田龍二さんが演じるその役どころは、警視庁に所属する警部補です。事件の捜査に首をつっこんで、惚れた女を守ろうと勝手に突き進み、右京さんたちに助けてもらって事件を解決するものの、恋は叶わず…という愛すべきお約束。

 

重いテーマを扱うストーリーも少なくない【相棒】シリーズで、陣川警部補の登場回はコミカルで気楽に視聴できるため、登場頻度は1~2シリーズに1度ほどですが、人気の高いキャラクターです。

 

《関連記事》↓陣川警部補登場の過去回をネタバレ含めてまとめた記事です

特命係(?)の陣川さん〜ドラマ【相棒】陣川公平警部補(原田龍二)の過去回を振り返る!活躍と失恋

 

ただし、陣川さんのお約束パターンは【相棒13第17話「妹よ」】で途切れてしまいました。

 

その後、プロポーズした相手を殺した犯人に復讐しようとしてロンドンに飛ばされたり、帰国して成長した姿が笑い無しで描かれたりしましたが、正直、物足りない感じがありました。

 

【相棒16第11話「ダメージグッズ」】以来の登場となった今回、陣川さんは約5年ぶりにお約束キャラとして、本来の姿に戻りました。

 

陣川さん、おかえりなさい!

 

5年の歳月をかけてキャラクターの軌道修正ができるというのも【相棒】ならではです。

重い話を重いだけにさせない力

今回の陣川さんは居酒屋「あおびょうたん」の看板娘である斎藤理沙(飛鳥凛さん)に恋をしました。右京さんたちが理沙を疑うと反発して単独行動し、事件の真相が明らかになった後には見事に失恋していました。

 

居酒屋で酔いつぶれるラストシーンまで復活しました。

 

視聴者は一連の流れに感無量となるわけですが、忘れてはいけないのは、このストーリーで描かれた重いテーマです。

 

殺人事件の被害者家族と加害者家族の接近は、哀しい結末に導かれます。

 

重いテーマを陣川さんという明るいキャラクターで重すぎないように配慮しながら、右京さんが事件の根本にある間違いを指摘していきます。

9歳の時に父が殺された

三崎理沙は、9歳の時に父親が殺されました。

 

児童養護施設で過ごすことになった理沙は、ボロボロのランドセルを背負って学校に通いました。

被害者遺族の葛藤を描き続ける【相棒】

【相棒】では、被害者遺族の苦しみや葛藤を描いた作品が何度も繰り返されてきました。

 

【相棒3第10話「ありふれた殺人〜時効成立後に真犯人自首?」】では、「殺された娘の犯人を教えてください」と特命係に何度も懇願する父親が登場しました。まだ時効制度がある頃の話です。

 

「ありふれた殺人」の場合は、被害者遺族に報復の意図はありませんでしたが、被害者遺族の悲しみを推し測れば、犯人が誰かを知った時、心が復讐に囚われてしまうことも想定できないわけではありません。

 

【相棒18第8話・第9話「檻の中」】は、サルウィンという国で人道支援をしていた妻がドローン爆弾によるテロで殺され、その夫がドローンの開発者に復讐を企てる話でした。

 

ほとんどの回で殺人事件が題材にされる【相棒】ですから、その動機となる復讐は多彩に表現されてきました。

 

三崎理沙も被害者遺族として復讐を企てた1人でした。

被害者遺族が加害者家族に接触!

現在はネットに情報があふれる時代です。父が殺害された事件についても、匿名掲示板などで投稿が更新され続けていました。

 

その中には、加害者遺族の名前や顔写真を特定して晒すものもありました。

 

理沙は、加害者遺族が板前として働く居酒屋に潜入します。

 

理沙が加害者遺族に遂行しようとしていた「怒りをぶつける」という表現は、具体的には何だったのでしょうか。精一杯の罵声を浴びせることだったのか。あるいは殺害するくらいの勢いだったのか。

 

しかし、理沙は加害者遺族の男が誠実に生きている姿に触れて、同情のような気持ちを抱きました。

加害者遺族という苦しみ

特定される日々の繰り返し

太川誠也は、殺人事件の加害者遺族として生きてきました。

 

名前を変え、住む場所を変えても、すぐに特定されて、情報をネットに晒されてしまう日々。

 

居酒屋「あおびょうたん」の女将は「人殺しの息子」を、温かく迎えてくれました。やっと平穏な生活ができると安心できました。

 

しかし、一緒に働くようになった梨沙が、自分の父親に殺された人の娘だと打ち明けられた時、誠也の心は張り裂けたはずです。

 

その上、父親が真犯人ではないと告げられたら。真犯人をぶっ殺してやりたくなるだろうなあ。

冤罪でも「人殺しの息子」の烙印は消えない?

誠也はケアハウスの山倉を訪ねますが、真相を話して欲しいと迫っただけで、殺そうとはしませんでした。

 

逆に殺されそうになって、もみ合ううちに相手にナイフが刺さってしまいました。山倉は死にました。

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極限状態でも我慢していた彼の心は、人を殺したという事実に負けて壊れてしまいました。

 

遅れて到着した理沙に警察に行くことを諭されても拒否しました。話しても信じてもらえない…。人殺しの息子として生きてきた誠也の絶望が見えました。

 

山倉殺しの正当防衛と、父親の冤罪は、時間がかかっても明らかになるはずです。しかし、そこまでの道のりを想像すると、とても耐えられないよね。疲れちゃったよね。

 

真実が世に出れば誠也への偏見に多少の変化は見られるでしょう。彼を被害者として持ち上げるマスコミが現れるかもしれません。ネット社会でヒーローにされてしまうかもしれません。そっとしておいてほしいのに。

 

ネット社会の間違った情報が訂正されるのも時間がかかるだろうし、それでもいったん付いた「人殺しの息子」という記憶は、人々から簡単には消えないものです。

 

それでも「あおびょうたん」の仲間のように、誠也を理解してくれる人がいます。そこに救いがあるはずです。あってほしい。

被害者遺族は窃盗を繰り返した

「ダークナイト」を思い出す

理沙は被害者家族ですが、加害者の気持ちがわかる人間でもあります。

 

佐田重蔵とともに「けむり」として、窃盗を重ねてきました。

 

「けむり」の窃盗の対象は、闇金融や違法カジノなどの反社会的勢力ばかりです。しかし、相手が悪い奴だからお金を奪っていいわけではありません。

 

右京さんの相棒だった甲斐享が逮捕された伝説の鬱回【相棒13最終話「ダークナイト」】を思い出します。

 

「けむり」の2人がカイトくんのように正義のヒーローを気取っていた印象はそれほど強くは受けません。小学生の理沙が、佐田に盗んだお金でランドセルを買わせたシーンからは、生活面でのひっ迫が伝わります。

 

それでも、少しは善いことをしている心が芽生えちゃったんじゃないかな。やめられなかったのは、そういうことなんじゃないかな。

 

それとも、純粋に窃盗をしたかったのか。佐田との絆を確かめたかったのか。

善悪の判断が歪んでいた?

 理沙は加害者として窃盗を繰り返す一方で、被害者側として加害者遺族に怒りをぶつける行為を企図していました。

 

理沙には善悪の判断がつかなくなっていたのでしょうか。

 

彼女が、自分がされたらイヤなことと、自分がして良いと思うことに忠実に生きてきたのなら、そこに善悪の概念は成立するのかもしれません。

 

その幻想が、誠也と出会ったことで破れたのでしょうか。「けむり」でいることに終止符を打つ覚悟をしたのは改心からなのでしょうか。

盗んだお金で買ったランドセル

理沙には、もう一度、自分が背負ったランドセルを目にする機会が来てほしいと願います。

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つらい過去を振り返りたくはないでしょう。小学生が「けむり」としての犯行を重ねたのは、それまでの自分と違う道を行きたい意思表示だったのかもしれません。

 

ボロボロのランドセルで学校に通った日々と、新しいランドセルにたどり着いてからの日々。

 

児童養護施設で育った仲間と自分は、盗んだお金で買われたランドセルを、大切に使っていました。

 

当時は葛藤に至らなかったとしても、今なら。

陣川さんとは付き合わない意味

犯行を自供した後、伊丹刑事たちに連行される理沙は、振り向いて陣川さんに最後のセリフを投げかけます。

 

「あの時うれしかった。プロポーズしてくれるって言ってくれて。一瞬だけ、幸せになれるかもって思っちゃった…けどごめんね。陣川さん、タイプじゃなかった」

 

理沙はそう言いながら、セリフとは裏腹な表情をしていました。幸せになってはいけないと思っていたのかな。

 

でもきっと幸せになれます。ほんとうの善悪にたどりついたから。

 

もう、灰は落ちました。「けむり」は消えました。右京さんに説得された佐田はこれから「父親」として愛を向けてくれるはずです。

 

罪を償えば、この人はやり直せます。

声に出して読みたい右京さんのセリフ

取調室で、佐田重蔵に。

「あなたは、間違っています。たとえどんな理由があっても、どんなお金でも、人の物を盗むのは犯罪ですよ。それに、あなたのやるべきことは、彼女の罪をかぶることではありません。ご両親を亡くした理沙さんにとって、あなたは父親のような存在だったのだと思いますよ…ですから、これからは父親として、理沙さんのために正しいことをしてあげてください」

視聴は動画配信サービスなら初回無料あり

【相棒】はテレビの再放送や、ネットの動画配信サービス、DVD、Blu-rayなどで視聴できます。 


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テレビ朝日が運営する動画配信サービス【TELASA】は初回30日間無料でテレビシリーズの【プレシーズン】から【相棒18】まで全話を視聴することができます。

 

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