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2022年はドラマ「相棒」関連の記事が中心です。

ドラマ【相棒18「善悪の彼岸」】ネタバレ感想…原宿→日暮里→品川→池袋→有楽町で連続殺人?

【相棒】はテレビ朝日・東映の制作で放送されている、21世紀を代表する刑事ドラマシリーズです。


主人公は、水谷豊さん演じる杉下右京警部とその相棒。現在の相棒は反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)です。たった2人の警視庁特命係が難事件を解決します。

 

2019年10月からは18シーズン目がスタート。冠城亘は【相棒14】での登場以来、5シーズン目となりました。

 

この記事では前後半スペシャルとなった【相棒18第14話「善悪の彼岸〜ピエタ」】と【相棒18第15話「善悪の彼岸〜深淵」】のネタバレや、感想などを記述しています。未視聴の方はご注意ください。

 

【相棒16】から3シーズンにわたり対決してきた右京さんと南井十(みないつなし)の対決に決着はついたのか??  そのグレーな結末の意味とは…

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主な出演者・スタッフ

【相棒18第14話「善悪の彼岸〜ピエタ」】
2020年1月29日放送

【相棒18第15話「善悪の彼岸〜深淵」】

2020年2月5日放送

 

出演

杉下右京=水谷豊=警視庁特命係係長。警部。

冠城亘=反町隆史=警視庁特命係。巡査。

伊丹憲一=川原和久=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

芹沢慶二=山中崇史=警視庁刑事部捜査一課。巡査部長。

角田六郎=山西惇=警視庁組織犯罪対策部組織犯罪対策五課長。警視。

青木年男=浅利陽介=警視庁サイバーセキュリティ対策本部特別捜査官。

益子桑栄=田中隆三=警視庁刑事部鑑識課。巡査部長。

内村完爾=片桐竜次=警視庁刑事部長。警視長。

中園照生=小野了=警視庁刑事部参事官。警視正。

南井十(みないつなし)=伊武雅刀

マリア・モースタン=石田ニコル

立入章(回想)=池内万作

西田真人(回想)=深澤嵐

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔

チーフプロデューサー=佐藤涼一

プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真道

脚本=徳永富彦

音楽=池頼広

監督=内片輝

ほか

どんな話?

【第14話「善悪の彼岸〜ピエタ」】

原宿で身元不明の変死体が見つかり、伊丹(川原和久)たちが捜査に乗り出すが、その後、事故と断定される。

そんな中、スコットランドヤード時代の右京(水谷豊)の相棒で、犯罪者に私刑を下している疑惑がある南井(伊武雅刀)が、特命係に現れる。

この2年、南井が連続殺人や犯人の自殺に関与していることを疑いながら、証拠をつかめずにいた右京は、今度こそ逮捕しようと周辺を調べ始める。

すると南井は、自身のルーツともいうべき場所をめぐっていることが分かるが、目的は見当がつかない。

いっぽう亘(反町隆史)は、南井と共に来日したと思われるマリア(石田ニコル)という女性と接触。今回は、彼女が南井に操られて罪を犯すのではないかと危機感を募らせる。

そんな矢先、都内の下町で、女性の絞殺死体が発見される。右京は、原宿の変死体とその絞殺死体には、ある共通点が存在することに気づくが…!?(引用=テレビ朝日)

【第15話「善悪の彼岸〜深淵」】

再来日した南井(伊武雅刀)の行動を注視していた右京(水谷豊)は、東京・山手線沿線で相次いで起きている殺人事件が、かつてロンドンの地下鉄で発生した“逆五芒星事件”と呼ばれる連続殺人と多くの類似点があることに気づく。

そんな中、品川で警邏中の巡査が射殺される事件が発生。それもロンドンの事件の状況と酷似していたため、右京と亘(反町隆史)は、南井が逆五芒星事件をなぞっているのではないかと考える。

原宿の転落死、日暮里の絞殺、品川の射殺に続く“第四の事件”は、何としても防がなければならない。

右京は、ロンドンの事件の場所と被害者を照らし合わせ、池袋近辺にある大学の女性学長が次のターゲットではないかと推理。警察は、右京の進言に従って、女性学長の警護にあたるが…!? 

そして、南井の最終的なターゲットが右京の現相棒である亘ではないかと推測した右京はある行動に出て…?(引用=テレビ朝日)

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(逆五芒星)

その後どうなった?(完全ネタバレ)

「善悪の彼岸〜ピエタ」

マリアは連続殺人事件の犯人ではなかった。南井を心配してイギリスから同行していた。

 

マリアの父は南井の元相棒刑事で、脳にダメージを受け心身を病み、首吊り自殺していた。

 

マリアは南井に利用されていた。冠城くん宛にマリアから遺書のような文章が届く。

 

マリアは紅茶を2つのカップに入れ、両方に青酸を混入し、南井と自分が飲むように仕向ける。

 

先に南井がカップに口をつけ、次にマリアが紅茶を飲んだが、死んだのはマリアだけだった。南井はカップに口をつけただけで紅茶は飲んでいなかった。

 

マリアの死は自殺で処理されてしまう。

 

右京さんは、今回の一連の事件が、イギリスの環状線で起きた「逆五芒星(ぎゃくごぼうせい)事件」によく似ていることに思い当たる。

 

イギリスでの「逆五芒星事件」の第3の被害者は警察官だった。

 

そして、品川でも警察感が射殺される事件が発生する…

「善悪の彼岸〜深淵」

原宿、日暮里、品川で起きた3つの殺人事件は「逆五芒星事件」と酷似していた。

 

もし「第4の事件」が起きるなら、山手線の池袋周辺で、大学の女性学長が狙われることになる。

 

池袋で、大学の学長では無いが赤い傘を持った女性が殺害された。

 

右京さんと冠城くんはホテルで南井を探すが、1歩遅く取り逃してじう。2人が駐車場に戻ると、車の脇に逆五芒星のマークが描かれていた。

 

特命係の部屋で右京さんは冠城くんに「特命係をやめてもらえますか」と言い放つ。それは、最後に狙われるかもしれない冠城くんを気遣ってのものだった。

 

やめないという冠城くんとしばし口論になった後、折れた右京さんは、冠城くんに特命係の部屋から出ないように釘を刺して、最後の事件が起きるであろう有楽町に向かう。

 

冠城くんも右京さんの身を危惧し、有楽町へと向かう。

 

南井を発見した冠城くんは南井を尾行するが、ガード下で南井に見つかってしまい、暴行を受けて意識不明の重体になってしまう。しかし、南井が持っていた分厚い手帳を握りしめていたことで、手帳を読んだ右京さんが事件の真相にたどり着く。

 

右京さんは「逆五芒星事件」の犯人の自宅に重なる場所で南井と対峙し、南井が「情動失禁」という、老いからくる病にかかっていることを告げる。

 

記憶が曖昧になり、感情のコントロールができなくなった南井が、自ら事件を起こし、自ら捜査していた…

 

南井はかつてイギリスで相棒となり自分に活力を与えてくれた右京さんと、また一緒に捜査がしたかったのだ。

 

南井は逮捕されて入院したが、脱走した。断崖から落ちたと連絡を受けた右京さんと冠城くんが現場に急行するが、南井の死体は発見されていないという…

感想など(ネタバレ)

「善悪」という概念には特定の基準があるわけではありません。連続殺人事件の犯人が善悪を判断できない病を抱えていたら…どうします?

善悪の彼岸とは何か?

『善悪の彼岸』はフリードリヒ・ニーチェによる、1886年に初版が発行された哲学書です。有名な『ツァラトゥストラはこう語った』の次の著書です。

 

「善悪の彼岸」とは、善と悪の境界線のことを指し、その境界線はないと、ニーチェは善悪の基準を否定しています。

 

 確かに「善悪」という言葉に実体はなく、モノや人の名前などのように具体性があるわけではありません。

 

道徳や慣習が善いとしていることが「善」で、法律や社会が悪いとしていることを「悪」と捉えるのが常識です。だからといって善と悪の境界線が人類みな同じとはなりません。

 

失われた記憶を求めて、右京さんと一緒に捜査をしたいという理由で、大量の死に関わった南井の「病」について理解を深めることが、手がかりになるかもしれません。

情動失禁とは何か?

「情動失禁」とは、感情のコントロールができないため、わずかな刺激で急に泣いたり笑ったり、怒ったりする状態を指します。脳出血や脳梗塞などの他、脳の外傷や老いによる脳の変化でも症状が現れることがあります。

 

マリアの父で南井の元相棒だったアキノリ・カワエは、脳の外傷が原因で病み、自分を見失ってる首吊り自殺をしたようです。

 

そして南井は、右京さんによると、老いによって情動失禁の症状が出て、記憶が無くなったり戻ったりしていました。

 

南井が来日して特命係の部屋に来た時、急に怒ってチェス盤をひっくり返したのは、情動失禁によるものだったとして、右京さんはその時に気づかなかったことを後悔しています。

 

情動失禁の症状は人によりさまざまですが、刑事の南井を連続殺人犯に変えてしまうこともあるというのは、ショッキングな話です。

 

これは【相棒】というドラマ内のフィクションであり、こういう一例も有り得るよ、という話です。

 

ただ、老いという、長く生きていれば誰にも訪れる現象にも関わる症状ということで、他人事ではない気がします。

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ピエタとは何か?

「ピエタ」とは、聖母子像のうち、キリストの遺体を抱いて嘆き悲しむ母・マリアの彫刻や絵のことを指します。

 

南井と一緒にイギリスから日本に来た女性の名前はマリア・モースタンでした。

 

マリアは前編にしか登場せず、前編のタイトルが「ピエタ」であることから、前編はマリアの物語といえます。

 

マリアは南井の変化に気がついていて、日本に旅立つ南井に同行しました。そして日本で起こる連続殺人事件。

 

もし、南井が真犯人だったら。

 

聖書には複数の「マリア」が登場します。今回はマリア・モースタンが「私は聖母ではありません。罪深いマグダラのマリアです」という遺書のようなものを冠城くんに送信しました。

 

諸説ある中で「罪深い女」というイメージを持つ「マグダラのマリア」。

 

マリア・モースタンは南井に毒を持って、心中しようとしました。

 

ここで、ひとつの問いが生まれます。

 

「マリア・モースタンがしようとしたことは、悪なのか。それとも善なのか」

 

人を殺して自分も死のうとすることが、善いことであるとは思えません。

 

しかし、誰もブレーキをかけられない連続殺人犯が自分の愛する人で、これ以上、新たな命に手をかけてほしくなかったら。そこに「善」は生まれないのでしょうか。

 

マリアが冠城くんに自分の疑念を話すことが正しい道だったとは思いますが、マリアがその選択をできなかった気持ちが、伝わってきてしまうのです。

これまでの連続殺人犯との違い

【相棒】では、これまで何人もの連続殺人鬼が登場しました。

 

亀山薫の友人で「平成の切り裂きジャック」と呼ばれた浅倉禄郎(生瀬勝久さん)の犯行動機は「娼婦だから」でした。母親が勝負で幼い頃にいじめを受けた浅倉は娼婦に憎しみを抱いていて、母を完全犯罪で殺してから、何人もの女性を殺害し続けて生きてきました。

 

殺した女性のピアスを集め続けた村木重雄(小日向文世さん)や女性の顔面を切り裂いて殺す北一幸(野間口徹さん)など、稀代の猟奇連続殺人犯がいますが、彼らにはすべて「殺した」という認識がありました。

 

南井には、自分が人を殺し続けたという認識がありませんでした。

 

ただし右京さんに問いただされた南井は、5年前にイギリスで起きた「逆五芒星事件」の真犯人であるセバスチャンを殺害したことは認めました。

 

「犯罪者の中には贖罪の心を持てない者がいる。そんな犯罪者は、自らの死でその罪をあがなわせることがふさわしい」…

 

しかし、記憶は混濁してしまっているわけで、セバスチャンの死が本当に南井によるものだったのかどうかは、証明する手立てがありません。

 

裁くことができない、連続殺人犯。

 

南井は、失われた記憶を取り戻し、もう一度右京さんと一緒に捜査がしたかった「だけ」です。人を殺し、その捜査を自分でしていた「だけ」です。

 

「だけ」では許されません。しかし彼は善悪の境界線どころか、善悪とは何かを判断する精神じたいを喪失していました。

 

【相棒】史上のどの連続殺人犯とも違う、年老いたかつての相棒を、右京さんは最後に抱きしめました。

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勧善懲悪ドラマで「善悪とは?」

【相棒】における右京さんの役割は、起きてしまった過去の事件を捜査して真相を解明することです。

 

現実世界に生きる私たちには、ドラマの中で起きた事件が未来に起きないようにするにはどうしたらいいか、考えるチャンスが与えられています。

 

【相棒】はスッキリ解決してもモヤモヤが残っても、視聴者が「善いことをしよう」「悪いことはしないようにしよう」と誓える構成になっています。

 

しかし「善悪の彼岸」は【相棒】の基本である「勧善懲悪」に爆弾を仕掛けてきました。

 

「そもそも善悪とは何なのか」。

 

かつて【相棒13第15話、第16話「鮎川教授の最後の授業」】で問われた「なぜ人を殺してはいけないのか」を思い出します。

 

「なぜ人を殺してはいけないのか?」と「善悪とは何か?」は密接に結びつきます。私たちは再び哲学の問題を投げかけられました。

 

スッキリ終わらせてもらえない!

南井が脱走した意味とは?

南井十は、逮捕後に入院先の病院から脱走しました。崖から飛び降りたと判断されましたが、遺体は見つかっていません。

 

「平成の切り裂きジャック」浅倉禄郎も断崖から身を投じたと見られましたが遺体は発見されず、生きていました。

 

南井の場合はどうなのでしょうか。このシリーズはこれで終わりではないのか。【相棒19】以降にも南井十は登場するのか。微妙ですね。

 

南井がまだ生きていて、どこかに隠れているかもしれないという事態を現実世界にあてはめると、軽い恐怖を感じます。

 

善悪の判断がつかない連続殺人鬼が野放しになっているのです。

 

もし、南井が私たちの目の前に現れたら?

 

自分の身が脅かされた時、私たちは冷静に善悪の判断をつけられるのでしょうか。

善を信じて生きていくしかない?

【相棒16第8話「倫敦からの客人」】から始まり【相棒17第17話「倫敦からの刺客」】を経て【相棒18第14話「善悪の彼岸~ピエタ」】【相棒18第15話「深淵」へと続いた「光」の右京さんと「影」の南井の対決は、南井の老いによる病が真相に関わっていました。

 

振り返れば、南井のカップに毒を盛り一緒に死のうとしたマリアは、明らかに動揺していました。そこには、極限状態に置かれた人間の「善悪の彼岸(境界線)」が見えた気がします。

 

ただしそれは善と悪の境界線をある程度は意識していて、その規範と照らし合わせたからたどり着く心境です。

 

南井は、自身には善と悪の区別はありますが、記憶が消え自分をコントロールできなくなっている状態では、善悪そのものがありません。

 

自分や周囲の人が南井のような状況になってしまう可能性がゼロではありません。

 

それでも、自分の善を信じて生きていく。悪だと思うことをしない。

 

それが答えでしょうか。

 

南井十と善悪についての思考は「逆五芒星(ぎゃくごぼうせい)事件」が起きた東京の山手線のようにぐるぐると環状して、終わりが見えません!

声に出して読みたい右京さんと冠城くんの掛け合いセリフ

特命係の部屋で、冠城くんに「特命係をやめてもらえますか」と言う右京さんと、言われた冠城くん。お互いが相棒を思いやる主張をしますが、しだいに言い争いになっていきます。

 

右京「君が特命係をやめれば、南井のシナリオから外れることになります。そうすれば標的を変更するかもしれません」

冠城「むしろ好都合じゃないですか。南井の居場所が分からない以上、向こうから近づいてくるなら」

右京「冠城くん、わかっていますよね。相手は拳銃を持っています。何かあってからでは遅いんですよ!」

冠城「右京さんこそわかってるんですか! 特命係をやめることは負けを認めてるようなもんです」

右京「勝ち負けの問題ではありません」

冠城「法と犯罪の問題だと言ってるんです! あれだけの数を殺してる人間に俺たち警察官が屈したら、正義なんかどこにもないことになるじゃないですか! 」

右京「…でしたら、ひとつだけ、条件があります」

冠城「条件?」

右京「ここを出ないでください」

冠城「だけどそれじゃあ…」

右京「(絶叫に近い形で)いいですね!」

 

ここから別行動…このシーンはぜひ見てほしい!

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