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【相棒16第15話「事故物件」感想】もし独居老人が豪邸持ちの資産家だったら。

遺産相続をめぐる腹黒すぎる殺人事件?その真相は…この記事では【相棒16第15話「事故物件」】の感想などを述べています。

遺産相続絡みのお約束

「事故物件」は2018年2月7日に15分拡大スペシャルとして放送されました。いやあ、面白い!

刑事ものや探偵ものドラマをよく見ている人には「あるある」な展開です。

その回のゲスト主人公が、殺人事件の被害者から手紙を託されるわけです。

「この手紙が発見された時、私は殺されている。何たる無念。犯人を見つけ出してほしい。見つけてくれたら1000万円を支払う」と。

こういう展開って、報酬もだいたい1000万円というのもお約束なのでしょうか(^_^;)

「事故物件」では、資産家の矢部泰三というおじいさんが、一人暮らしをしていたボロアパートで亡くなります。部屋の天井裏に泰三が隠していた手記があり、新しく越してきた男が、その手記を発見してしまうところから、ドラマが急展開していきます。

容疑者だらけの一族

ホームレスの雅夫は、400万円が入ったバッグを見つけました。ネコババして逃げました。そのお金の一部を使って、アパートの部屋を借ります。少しでも家賃を安くするために借りた部屋は、事故物件。

雅夫が入居する前に住んでいた老人が部屋で孤独死したというのです。

ネコババしたお金を雅夫は天井裏に隠します。ここで、泰三が天井裏に隠していた手記を発見します。

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泰三は資産家です。豪邸もあります。

しかし、亡くなった妻と新婚時代を過ごしたボロアパートに住んでいました。

豪邸には泰三の長女家族と次女家族が一緒に暮らしています。

長女の初子。その夫の要。息子の大輔。次女の継子。その夫の寛。娘の唯香。信じられるのは、孫の大輔と唯香だけ。

泰三が死ねば、遺産ががっぽり入ってくる人たちです。単なる孤独死じゃない。これは殺人事件。この中に、犯人がいる!

ホームレスと母の遺影

今回の狂言回し役となったホームレスの東大寺雅夫。1000万円獲得のために犯人探しを始めますが、さっそく右京さんに出会ってしまいます。ヘビににらまれたカエルです。

雅夫が右京さんに追い詰められて「自首します」と申し出るのはドラマのラスト。真犯人が暴かれてから。

犯人探しの面白みの裏で、雅夫というキャラクターからにじみ出る社会性を見過ごすわけにはいきません。

奨学金を借りて、なかなか返済できず。借金だけが積み重なって500万。仕事ではノルマがこなせなくてリストラ。

ホームレスになった雅夫の前に現れた400万。お金は、人を変えます。しかし、ネコババしたお金です。

罪悪感を抱えながらも部屋を借りて、母の遺影を飾り「生きよう」とする雅夫。

現代社会の底辺で生きる人の不安やもろさ、あるいはちゃっかり生き延びるしたたかさが、ひとつひとつの行動にあふれています。

警察に出頭するまでの一連の流れの中で、雅夫は心を洗う選択をしました。

高校生はドロドロにうんざり

唯香は高校生。お金の話ばかりの家庭にうんざりしていました。狭いアパートで一人暮らしをしているおじいちゃんのことを心配しています。

自分は義兄の大輔が参加しているバイクサークルの友達から人気があるようだけれど、私は彼らのことが好きじゃない。語学留学とか何とか言ってるあの人たちは、どうせ親のあぶく銭で遊びに行くだけのくせに。就職する大ちゃんのほうがカッコいい。

おじいちゃんを守れるのは、私と大ちゃんしかいない…

ところが、おじいちゃんが死んじゃった。しかも、杉下右京という刑事いわく、殺されたかもしれないと。

そういえば、ちょっと前に、親たちが集まっておじいちゃんを死なせる算段を練っていたな。最低だ…

どうやら、自分の父の寛にはアリバイがないらしい。まさかお父さんが?そんなことない。私は信じる。お父さんを助けなきゃ!

人間にモブキャラなんていない

資産家の家に生まれて、お金の話ばかりを聞かされて、お金の持ち主である泰三がしいたげられている現実を、唯香がどんな気持ちで過ごしていたのか。

【相棒】では10代の男女を主人公にして、その心の繊細な移ろいをじっくり見せる回がいくつもあります。

唯香の場合は、主人公ではありませんが、唯香を中心に据えてストーリーを追いかけてみると、やはり繊細な葛藤を感じ取ることができます。

家族が見ていないところで右京さんに怒りをぶつけたのは、葛藤が爆発した瞬間でした。

ゲスト登場人物が多くても少なくても、その誰が欠けても物語が成立しない構造で組み立てられる人間ドラマ。人の数だけ人生があります。人間にモブキャラなんていません。

事件の真相が明るみになった後、唯香は他人を信じて生きていけるのか。 

301話目の遊び心

前回の「いわんや悪人をや」で放送300回を迎え、一つの区切りを迎えた【相棒】。301回目となる新しい船出は「誰が犯人なのか?」を純粋に楽しませてくれる「トリック回」となりました。

刑事ドラマで300回も続いたら、普通は飽きられてしまいそうな気がします。しかし【相棒】は、現在放送されている16シーズン目で初めて見て好きになる人がたくさんいます。

社会の闇に焦点を当てる回。どうしようもなく悪い奴に立ち向かう回。視聴者の期待を裏切りすぎて右京さんの相棒をダークナイトにしちゃう「事故物件」回…おっと(^_^;)

毎回、脚本家が違う【相棒】には、それぞれの話に個性があります。

男性作家が多い【相棒】ワールドで、ほぼ「ハズレ」がないのが、女性作家さんのシナリオ担当回。

「事故物件」は太田愛さんの作品。太田さんは、2代目相棒の神戸尊が本格的に登場したseason8から参加しています。「劇場版4」の脚本も太田さんです。

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最近の【相棒】シリーズを見ていると、右京さんの最強の相棒は太田さんなのではないかと思えてきます。

右京さんがめちゃくちゃ楽しそうなんです。太田さんの「こんな場面を作ったら右京さんはどう動くかな?」という遊び心に、水谷豊さんが絶妙な演技で応えているような。見ていてワクワクする感じ。

301話目の被害者役は、【相棒】シリーズの元祖である「プレシーズン第1話」の犯人役の勝部演之さんでした。

1話目は右京さんの先輩で亀山薫の上司だった金子警部。301話目は認知症を疑われる独居老人。2000年と2018年。時の流れを感じます。

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1000万と1500万と3万

矢部老人は「犯人を見つけてくれたら1000万円払う」と約束しました。

結局、お金にこだわっていました。

犯人は「1500万円もらえなかったから殺した」。

その差500万。

刑事ドラマあるある、としてニコニコしながら見ていたけれども。額が大きすぎて実感が湧きません。実感が湧かないからフィクションとして楽しめるんだけれも。

だとしたら、事故物件の家賃3万円がリアルすぎます。

お金の話にまみれてドロドロした豪邸と、空気は澄んでいるけどそれが逆に怖い事故物件。

あなたならどちらに住みたいでしょうか?(^_^;)