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【相棒16第8話「ドグマ」感想】もし日本の悪い人のせいでテロリストとジゴクバチが来日したら。

この記事では2017年12月6日に放送されたドラマ【相棒season16第8話「ドグマ」】の感想を記述しています。

 

中央アジアの国「トルジスタン」の緊迫

ドラマの冒頭で、タヒルという少年が息を引き取りました。
「ぼくは医者になりたい」と遺言をのこして。
中央アジアにある「トルジスタン」という国では、民族紛争が泥沼化していました。トルジスタンは架空の国です。
現地を知る人物は紛争地域について「地獄みたいなところ」と表現しました。

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日本に、悪いことを企んでばかりいる社長がいる企業がありました。
この会社は、南部と北部が紛争を繰り広げるトルジスタンの、南部側に、強力な武器を売りました。
その後、今度は北部側に、南部側に売った武器よりも攻撃力が弱い武器を売りさばきました。
民族紛争をビジネスの場にして、丸儲けしようという魂胆です。
日本の会社の悪巧みを知った北部側の人たちは、激怒しました。

 

武器を扱うビジネスで丸儲け

「ドグマ」が放送された6日。ニュース番組は、アメリカのトランプ大統領が「エルサレムをイスラエルの首都と認める」方針を最終決定したと、報道していました。
ユダヤ教やキリスト教、イスラム教それぞれの聖地であるエルサレムをめぐる、中東のイスラエルとパレスチナの問題が、緊迫しています。
その日に「中東の紛争地帯」として「相棒」に登場した架空の国である「トルジスタン」は、シャレにならないほど「わかりやすい」設定になってしまいました。
暴力と暴力による戦い。武器と武器による戦い。報復合戦。私たちは平和の国・日本で、命を賭けて戦いを続ける中東の人々に、どんな感情であれ、心を動かされます。
もし、この悲しい現実を利用して金儲けを企む人たちがいたら。
しかし「もし」ではありません。
「ドグマ」で、この企業が「裏の国策」として暗躍している話は、実際にもあると言われています。
どこの国の人たちがどこの国の人たちに武器を売っているのかは知りませんが、武器販売は歴史的に見ても大きなビジネスの場となっているようです。
終わらない紛争を生きる人たちには、攻撃のためであれ、自衛のためであれ、武器が必要になります。そうしなければ、生きていられないかもしれないのだから。
じゃあ、武器を売ることは悪いことではないのか。
紛争している両軍に、同時に武器を売ることは悪いことではないのか。

 

外来種ジゴクバチの猛威

自分たちに武器を提供した日本の企業は、敵対する軍にもっと強力な武器を売りさばいていました。
彼らは、怒りに震えました。
一部の警察官が「正義の夜明け団」と名乗るテロリストに変貌しました。
彼らは、自分たちを騙して金儲けに走った人間を許しません。日本と欧州にいる企業関係者の殺害を企てました。
同時に、この企業を恨む人物がいました。
紛争地帯の戦火によって命を奪われたタヒル少年の最後を見届けました。
彼も、金儲けのために身を売った人々を許しませんでした。
日本に、ジゴクバチという外来種の蜂(ハチ)を持ち込みました。ジゴクバチは架空の蜂です。
ジゴクバチは、致死性はありませんが、人に地獄のような苦しみを与えます。
結果、3人がジゴクバチの恐怖を味わったうえに殺害されました。例の「金儲けに走った人々」です。

 

1980年代の杉下右京

殺人犯を、右京さんは断罪します。
「暴力による正義を認めることはできません!」と。
1980年代、警視庁の捜査二課に所属していた右京さんは、小野田官房長が指揮をとった「緊急対策特命係」に作戦参謀として招集されました。
外務省の大物幹部の自宅が武装グループに襲われれ、犯人側に10億円を要求された事件です。
右京さんは、犯人と粘り強く交渉して、11人いた人質を3人に減らそうとしていました。人質は6人に減りました。
しかし、そこで官房長が作戦を打ち切って強行突入を右京さんに指示しました。
右京さんは「できません!」と頑なに拒否しましたが、強行突入は実行され、多数の死者が出る惨事となってしまいました。
約30年前の右京さんが、どんな命もみんな同じ重みであるという思いで事件と接していたこと。以来、右京さんの心がブレていないこと。
だからこそ私は「相棒」を見続けています。

 

右京さんの正義は暴走しない

犯人は、どこから情報を得たのか「杉下右京の正義は暴走することがある」と想定して、右京さんを警戒していました。
小野田官房長と対立し、大河内監察官には「諸刃の剣」と表現される右京さんの正義。
犯人は「正義の定義はひとつじゃない」と右京さんに訴えました。
いい度胸です。
「劇場版2」における官房長の
「正義の定義なんて、立ち位置で変わるものでしょ。まさか絶対的な正義がこの世にあるなんて思ってる?」
という恫喝に、神戸くんがドン引きしていたシーンを思い出します。
この問いに対する右京さんの答えと思われるセリフが、2002年、15年前にあります。
「season1」の「下着泥棒と生きていた死体」で、右京さんは亀山くんに語りかけました。
「時に正義というのは、残酷なものなんです。ですから、覚悟が必要なんです」
と。
あれから15年。

 

拳銃を持たない勇気

「ドグマ」で、犯人は二丁拳銃を構えて、右京さんと冠城くんを狙いました。
しかし2人は、犯人を信じました。
犯人がすでに、自分自身の暴力が、正義と矛盾していることに気がついていたから。
右京さんも冠城くんも、拳銃を所持していませんでした。
ここに、紛争を解決する唯一の方法を見た気がしました。
相手を信じて、武器を持たないこと。
相手に通じる正義を持つこと。
しかし、そんな考えが通用するほど、現代社会は甘くありません。
それでも、粘り強く相手の心と交渉していくこと。
あまりにもわかりやすくて、でも、甘っちょろくないからこそ想像が及ばない絶対的な正義を、特命係の2人が教えてくれました。

 

夢がつぶされないように

「相棒」を見終わった9時54分に、速攻で日テレにチャンネルを変えました。毎週水曜日の9時54分から10時という小さな枠で「心に刻む風景」という番組が放送されています。
世界の歴史に残る有名人と、その人のゆかりの地を、ナレーションつきで紹介する番組です。
この番組の脚本を担当しているのは「相棒14-はつ恋」の脚本を書いた谷口純一郎さんです。
今回はドヴォルザークとプラハが舞台でした。
家が貧しく、音楽家になっても苦労したドヴォルザークは、教会のオルガニストになってから、やっと音楽に打ち込めることができたそうです。
プラハの静かな街並みに、心が落ち着きました。
「相棒」に出てきた架空の国「トルジスタン」に、いつかはプラハのような静かな平和が訪れるように。
「医者になりたい」と夢を語りながら命を落としたタヒルくんが、ドヴォルザークのように、夢の実現に集中できる社会で暮らせるように。
トルジスタンだけではありません。
世界中が。日本中が。自分たちが。平和な社会で暮らせるように。
まずは、心の中の、余計な武器を捨てるところから始めてみます。
丸腰でも戦えるはずさ。

 

【次回までの課題】

今回は「ドグマ」が「正義の掟」と翻訳される場面がありました。

「ドグマ」という言葉には、ざっくりわけて「宗教上の教義」と「独断的な説」の2つの意味があります。

犯人は、どちらにも当てはまる行動をとりました。

掟を守ることと、掟を破ることの、双方の大切さや愚かさについて、考えてみよう。

 

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