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【相棒「蜘蛛女の恋」感想】もし自分がストーカーのクモの巣に絡め取られたら

この記事では、ドラマ【相棒season2第5話「蜘蛛女の恋」】について記述しています。

 

クモ女側から見る「相棒」

歴代の「相棒」シリーズの中で、特命係の杉下右京警部を恨み続けているキャラクターは誰かと考えてみて、浮かんできた人物の1人が「七森日出子」です。
七森日出子は、【相棒season2第5話「蜘蛛女の恋」】の犯人です。いきなりネタバレしてしまいました。
この回は、捜査一課の伊丹刑事がガチでお見合いパーティーに参加したり、右京さんが睡眠障害で心療内科に通っていたりと、レギュラーキャラクターの隠れた一面が見られます。
前半で撒かれた伏線が後半に収束されていく鮮やかさ、密室トリックや意外な犯人など、推理ドラマとしての見どころが満載です。
この話に「相棒」らしさを肉づけしているのは、登場人物の「心の闇」を深く掘り下げていることです。
タイトルが「蜘蛛女(くもおんな)の恋」。女が蜘蛛の巣を張り巡らせて、標的を捕獲して自分の恋を成就させようとする?…そんな話です。
順序立てたストーリーは本編にまかせるとして、この記事では、犯人の七森日出子と、その娘である七森雅美の「心の闇」について、記述します。

 

テーマは「共依存」

この事件は「共依存」が最大のテーマとなっています。
共依存とは、自分と特定の相手が過剰に依存していて、その人間関係に囚われている状態を指します。
ストーリーでは、最初は、七森日出子の娘である七森雅子と、その親友である斉東リカの共依存関係が疑われます。
しかし、雅子と共依存関係にあったのは、母の日出子でした。
雅美を自分だけのものにしておきたい日出子は、リカを疎ましく感じていました。
日出子の胸の内など知らないリカは、雅美をお見合いパーティーに連れて行きます。
雅美は、パーティーで知り合った心療内科医に、対人恐怖症の治療という名目で会いに行くようになりました。
医師は、雅美の共依存を見抜きます。雅美に、はやく母親から自立するようにアドバイスしました。
日出子は、それを妨害するために、医師を殺しました。
これからも娘と一緒に過ごすために、医師の死を自殺に偽装して。共依存がバレないように、カルテを盗みました。
しかし、右京さんの推理によって、日出子の犯行は明らかにされました。

 

「娘を愛して何が悪いのよ!」

蜘蛛の糸がプツリと切れました。日出子は叫びます。
「あのヤブ医者!人の娘を病人に仕立て上げて、わたしから引き離そうとしたのよ!」
あまりにも自分勝手な言い分です。
日出子は錯乱状態に陥ります。
「マーちゃんはわたしの子よ。誰にも渡さない。独りぼっちは嫌よ…嫌よ、マーちゃん…」
亀山くんが止めようとすると
「母親のわたしが娘を愛して何が悪いのよ!」
このドラマを見ていた人の多くに、戦慄が走りました。
叫んで暴れる日出子を、右京さんが静かに諭します。
「それは、愛というより、支配ではありませんか?娘さんをひとりの人間として認めてあげてください」と。
「いずれにしろ、これからは離れ離れに暮らすことになるわけですから」
日出子が最も恐れていた事態が、右京さんによって通告されました。

 

亀山くんのストーカーのストーカー?

この回が放送されたのは、2003年11月12日です。
広く社会一般に「こころの病気」というワードが浸透してきたこの時期に、「相棒」は「共依存」をテーマとして、人の心の闇にアプローチしてきました。

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亀山くんと仲良くなる雅美。
亀山くんに1通の携帯メールを送る雅美。
亀山くんと同じブランドのシャツを着る雅美。
亀山くんと同じブランドのフライトジャケットを着る雅美。
亀山くんにメール攻撃する雅美。
亀山くんに手作り弁当を渡しに来る雅美…。
どんどんエスカレートしていく雅美の行動に、亀山くんの神経はすり減ってしまいます。
亀山くんに美和子さんという同棲相手がいることを知った雅美は、ついに手首を切って自殺未遂までしてしまいました。

もしかしたら。
亀山くんと同じブランドのシャツを着る雅美。の姿を見る日出子。
亀山くんと同じブランドのフライトジャケットを着る雅美。の姿を見る日出子。
亀山くんに手作り弁当を渡しに来る雅美…。を見る日出子…。
などの光景が、背後にあったのかもしれません。
日出子は雅美のことが気になって仕方がないのです。
殺害された医師が勤務していた病院の別の医師は、右京さんに、共依存について、こう説明します。
「自分に自信がないから、極端に他人を頼る傾向があります。ただ、頼られたほうは息がつまる。逃げようとする。するともっとしがみつかれる。悪循環です」と。
雅美が亀山くんを頼り、亀山くんが逃げようとして、もっとしがみつかれた悪循環。
その蜘蛛女を、もっと大きな蜘蛛の巣から抜け出せないようにしていた、蜘蛛女。

 

娘と離れて暮らす日々

母が逮捕された後、娘は親友と一緒に暮らすことになりました。
娘と離れ離れになった母親は、罪をつぐなう場所へ行ったことでしょう。

親が子をコントロールしようとする共依存。離れ離れになれば、最初は、相手がいない世界で、自分が生きている価値はないと思い込んでしまうかもしれません。そこから、自分の思い込みに気がついて、修正していけるかどうか。

2人は、蜘蛛の巣の中心に閉じ込められていた自分を解放することは、できたのでしょうか。

この回を初めて見たとき、あるいは再放送やDVDで見たときに、私はいつも「相棒怖えっ!」とゾクッとします。

気がついたら自分が「依存」の心理状態になっているかもしれません。自分は依存していなくても、誰かの依存の対象となってしまっているかもしれません。

常に、蜘蛛と蜘蛛の糸には注意を払っておかなければなりません。

しかし、蜘蛛はそんなに悪い奴ではないのかもしれません。

生きるために張る糸。使い方を間違えなければ、糸はその人の魅力になるはずです。

 

憎しみは簡単には消えない?

とはいえ、人の憎しみは、簡単には消えないものです。

七森日出子は、自分を娘から離した杉下右京への復讐心に燃えてはいないでしょうか。
右京さん、気をつけてください。

 

いや、ひょっとしたら、亀山くんか?

 

亀山くんは美和子さんと一緒にサルウィンに飛び立ちましたが、

その背後で、七森雅美が見つめていたりしませんよね?

さらにその背後で、七森日出子が見つめていたりしませんよね?


怖っ!(^_^;)

 

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