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【相棒】伝説の「シャブ山シャブ子」回が再放送されない理由?【ドラマ】【バクハン】

放送開始20周年を迎えたドラマ【相棒】は、2020年の秋から2021年3月にかけて【相棒19】が放送され、早くも【相棒20】のスタートに期待が高まります。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘が事件を解決する【相棒】はテレビ朝日系各局で昼過ぎや夕方に盛んに再放送されていますが、再放送がほぼ封印されている回があります。

 

それが【相棒17第4話「バクハン」】です。「シャブ山シャブ子」なる強烈なキャラクターが登場してTwitterなどSNSでも話題になったこの回が封印されている理由を、紹介します。

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「バクハン」はどんな話?

2018年11月8日に放送された【相棒17第4話「バクハン」】は、どんな話なのでしょうか。

どんな話?

組織犯罪対策四課の賭博担当、通称バクハンの課長・源馬(中野英雄)の指揮の下、過去最大規模の裏カジノ一斉摘発が行われ、広域指定暴力団・武輝会の資金源に大ダメージを与えた。右京(水谷豊)と亘(反町隆史)も摘発に駆り出されたのだが、右京はその際、摘発を逃れた店があったことに気づき、源馬が裏で手引きしているのではないかと疑う。組対五課の角田(山西惇)は、戦友のような源馬をかばい、手を引くよう釘を刺すが、右京は捜査を続ける。そんな中、賭博業者との癒着で源馬をマークしているという生活安全部の刑事・百田(長谷川公彦)と久我(崎本大海)が、特命係に協力を要請してくる。右京は、二人への協力を約束するが、亘は「角田課長を裏切れない」と言って、源馬の内定捜査から降りる。さらに、裏では特命係の廃止を目論む副総監の衣笠(杉本哲太)も暗躍していて…!?

(引用=テレビ朝日)

この話のみどころ

警察官の源馬、百田、久我がそれぞれの悪巧みを抱えるストーリーは「必要悪」の存在について考えさせられる構成となっています。なんといっても注目は右京さんと角田課長の対立です。

 

エキサイトした角田課長が喧嘩腰で右京さんに詰め寄ります。

課長「ネタ元との関係は必要悪なんだよ!」

右京「必要悪ですか…。本当にその悪が必要だというならば、僕が潰したところで必ず残るでしょう」

 

その後の会話で2人の溝はさらに広がり課長が「じゃあな、警部殿」と吐き捨てて去るシーンがありました。

 

右京さんは後のシーンで必要悪について「僕には必要な悪があるとは思えません」と信条を語っています。

シャブ山シャブ子の登場シーン

問題の「シャブ山シャブ子」の登場シーンは終盤。

 

百田が昼下がりの公園で、裏カジノの主犯格らしき反社組織の男とスマホで話していると、ハンマーを手にした女がフラフラと近づいてきました。

 

髪はボサボサ、Tシャツに短パン姿。女は百田の頭に何度もハンマーを振り下ろして殺し、奇声と笑い声をあげます。

 

取り調べを受ける女の腕には無数の注射痕があり、虫の幻覚をうるさがって追い払う仕草をします。そして、名前を尋ねられると…

 

「シャブ山シャブ子です。17歳です!」

 

女は西田信子、47歳でただの主婦、一般人と報告されますが、反社組織の売人から覚醒剤を買う重度の中毒患者で、薬欲しさに命令を受けて百田を殺害したと見られます。

 

この女を演じた江藤あやさんの演技が視聴者の印象に強烈に残り、Twitterでは「シャブ山シャブ子」というワードがトレンド入りしました。

シャブ山シャブ子騒動とは

【相棒17第4話「バクハン」】の放送を受けて、著名な精神科医らが「実際にはあのような薬物依存症者はいない」「間違ったイメージと偏見を増長する」と反論しました。

 

この件が国会の衆議院厚生労働委員会でも取り上げられます。

 

立憲民主党の初鹿明博議員が「このような報道は薬物依存症に苦しむ人達を傷つけ、偏見を増長するのではないか?」「こういう描写は慎むように、総務省とも協力して、要請してもらいたい」と質問し、根本匠厚生労働大臣が「薬物依存症者の偏見是正につとめる」と回答しました。

 

この件について、テレビ朝日の定例会見で編成担当の専務は「相棒の第4話の作品でのことですが、この回は違法カジノなどを扱う組織犯罪の捜査の難しさを描くものでした。薬物依存症の方を差別する意図はなかったが、そうした方への誤解を招きかねないという指摘をいただいたことを真摯に受け止め、今後の番組制作に生かしていきたいと思います」と答えました。

 

また、アルコール、薬物、ギャンブル依存症の研究者や支援者で作る「依存症の正しい報道を求めるネットワーク」から謝罪等を求める要望書が番組宛てに送付され、朝日新聞が報じると、番組プロデューサーがネットワークに直接、電話で対応しました。

 

プロデューサー「薬物依存症の偏見解消は大切な事なのでできることをやっていきたい。まずは何ができるのか、社内で協議します。また貴ネットワークと話し合いの場も持ちましょう!」

 

その後、ネットワーク側とプロデューサー側が直接面談し、建設的な意見交換をしています。

シャブ山シャブ子回は再放送されない?

テレビ朝日系列の各テレビ局では昼過ぎから夕方の時間帯に過去の【相棒】が再放送されるのが慣例になっています。

 

シーズンの各エピソードが毎日連続で放送される局の場合、【相棒17】の再放送時には、第3話の「辞書の神様」の次は第4話「バクハン」を飛ばして第5話「計算違いな男」が放送されています。

 

『TELASA』などの動画配信プラットフォームでは「バクハン」は配信されています。しかし、江藤あやさんが演じる「シャブ山シャブ子」は、百田をハンマーで殴るシーンのみが残されて、「シャブ山シャブ子です。17歳です」と発言するシーンなどはカットされています。

過去には「欠番回」もある【相棒】

【相棒】には過去に「欠番回」扱いされている「幻のエピソード」があります。

 

2005年12月8日に放送された【相棒3第7話「夢を喰う女」】です。この回のゲストは図書館司書を演じる高岡早紀さんでした。

 

問題のシーンは、日本図書館協会によると「図書館職員が犯罪捜査のために訪れた警察官を事務室に案内し、指定された人物の氏名とその借出図書名を表示するパソコン画面を検索して見せるというシーン」です。

 

「図書館は利用者の秘密を守ることを基本原理の一つ」としており、「犯罪捜査目的といえども厳密な法手続を欠くならば例外にはなりません」として、図書館側から抗議がおこなわれました。

 

テレビ朝日は「令状を見せる場面を省略したことは不適切だった」と釈明し、謝罪しています。

 

その後【相棒3第7話「夢を喰う女」】は再放送されず、DVDやブルーレイなどにも収録されていません。

 

『TELASA』などの動画配信プラットフォームでも配信はされておらず、完全な「幻のエピソード」となっています。

【相棒18】以降の変化

【相棒】では【相棒14】あたりから、暴力的なシーンが目立つ重く暗いエピソードが増えていました。こうした流れが「シャブ山シャブ子」を生み出した要因になったのかもしれません。

 

暴力に頼る衝撃的なシーンは、問題の「バクハン」以降は最小限にとどめられ、【相棒18】や【相棒19】では、普通の人々が事件に巻き込まれる悲哀を描いた回や、コミカルな展開の話が増えています。

 

人々の内面にアプローチする良作が並び、【相棒】は「家族が安心して一緒に見られるドラマ」へと回帰しています。

 

こうした変化の中で、今後の【相棒】では、プロデューサーが述べた「薬物依存症の偏見解消は大切な事」という反省から、依存性問題をテーマとして深掘りされる回が放送される可能性もあるのではないでしょうか。