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【相棒19第17話「右京の眼鏡」】ネタバレ&感想…たった1つの嘘が招いた職人の思い違いとは?

放送開始20周年を迎えたドラマ【相棒】は、2020年の秋から2021年にかけて新シーズン【相棒19】が放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

この記事では2021年2月24日に放送された【相棒19第17話「右京の眼鏡」】のネタバレを含めた感想などを記述しています。

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(画像引用はテレビ朝日)

第17話「右京の眼鏡」はどんな話?

【相棒19第17話「右京の眼鏡」】

2021年2月24日放送

どんな話?
オーダーメイド眼鏡で有名な田崎眼鏡で大きな事件が…。

3カ月前に心臓発作で倒れた社長の田崎恭子(かとうかず子)に代わり、専務の三澤渚(岩橋道子)が社長代行として経営を仕切っていたが、それが気に入らない恭子の長男・明良(赤木悠真)が渚を殺害し、逃走。

事件から5日が経った今も、その行方がつかめていないのだった。

その頃、サイバーセキュリティ対策本部の青木年男(浅利陽介)は、マンションの向かいの部屋を“観察”していたところ、怪しい男女が何者かを連れて入室。

それっきりその人物が部屋から出てこないことから、監禁の疑いがあるのではと「特命係」に報告にやってくる。

 

田崎眼鏡の事件となんらかの関わりがあるのでは、と考えた杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)が調べると、次男と末娘が恭子をかくまっていることが判明。

恭子に、明良の事件について知ってほしくなかった拓人と由衣は、テレビも新聞もない部屋へ恭子を移送していたのだ。

事情を知った右京は、警察官という身分を隠し、恭子に接近。眼鏡好きだったことも功を奏して、恭子の信頼を得ることに成功した右京は、会社の内情を入手する。

 

さらに、田崎眼鏡の職人・松田(青山勝)にオーダーメイドの眼鏡を依頼し、詳しく話を聞いた右京は、このお家騒動には意外な事実があったことが分かる。

そして殺害現場にいくつも不自然な点があることに気付き…!?(引用=テレビ朝日)

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京=水谷豊
冠城亘=反町隆史

伊丹憲一=川原和久
芹沢慶二=山中崇史
角田六郎=山西惇
青木年男=浅利陽介

出雲麗音=篠原ゆき子

益子桑栄=田中隆三

中園照生=小野了

田崎恭子=かとうかず子

田崎明良=赤木悠真

三澤渚=岩橋道子

松田正一郎=青山勝

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
脚本=神森万里江

音楽=池頼広
監督=田村孝蔵
ほか

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その後どうなった?(ネタバレ)

恭子は次期社長に子供たち3人ではなく渚を指名していたらしい…はたして犯人は誰?

死体のメガネがズレていなかった

渚の死亡時、メガネはズレずにきれいに装着されていた。

 

金庫が開いていたが、現金はそのままだった。

 

明良のデスク脇にあった丸めた図面には新しい工房の見取り図があった。

 

右京たちが工房を訪れた時、松田が作っているメガネの左右のネジが違っていることに右京が気づき尋ねると、松田は仮どめの状態だからという。工房は近々取り壊されるらしい。

 

松田が弁当の空き箱を捨てたゴミ箱に注目する右京。

恭子は部屋で明良や渚と何を話した?

拓人が帝都ニュースのインタビューに応じ、高級メガネから新価格のファッションメガネへのシフトチェンジをアピールする。

 

部屋を抜け出した恭子は、拾った新聞に「新社長は拓人か」と書かれているのを見てしまい、その場に来た拓人と妹の由衣に、兄が人を殺して逃げ回っていると打ち明けられる。恭子は気を失ってその場に倒れてしまった。

 

右京が気になっているのは、3か月前に恭子が部屋で倒れた際に、一緒にいた渚や明良と何を話していたのか。

 

渚の部屋には、明良の部屋にあったものと同じ柄のあるワイングラスが置かれていた。

 

意識を取り戻した恭子は、3か月前、明良と渚は結婚したいと恭子の部屋に話しにきたのだと右京に言う。

弟が兄を犯人に仕立てて新社長になろうとした?

愛情のもつれで明良が渚を殺したのなら、金庫を開ける必要が無い…明良は現金ではない何かを金庫から持ち出した?

 

伊丹たちは疑いを次期社長に名乗りをあげる拓人に向けるが、拓人は犯行を否定。

 

右京たちは鑑識課に出向き、遺留品を熱心に調べると、観葉植物の根っこにネジが絡んでいるのを発見する。

 

そのネジは松田が仮どめしていると言っていたメガネにピタリと合うものだった。

真相を知らずに匿われていた兄

犯行時、松田は新しいメガネを渚に見せるために渚の部屋に行った。渚がそのメガネを試しに装着している時に、松田は渚が会社を身売りしようとしていることにカッとなり、渚を殺してしまったのだ。

 

松田は渚のメガネを元の物に戻す時、つい乱れのないようにきれいに装着させてしまった。

 

松田が渚を殺した直後に明良が渚の部屋を訪れ、松田はカーテンの陰に隠れていた。明良が金庫を開けている時に拓人が入ってきて、明良の犯行だと思い込んで警察に連絡しようとして、明良は逃げたのだった。松田は自分の犯行だとは言わずに逃げる明良を工房にかくまっていた。

 

工房の松田のゴミ箱には弁当箱とお茶のペットボトルが2つずつあり、松田が工房に明良をかくまっていたことが判明。

犯人の思い違いとは

右京は松田の思い違いを指摘。明良と渚は工房を取り壊して新たに大きな工場を建てようとしていた。そのために企業と契約書を交わした。その契約書は守秘義務があり、社員の松田には見せることができないため、渚は松田に話せず、松田に殺されてしまった。

 

契約書は明日(事件から1週間後)に明良が交わすことになっていたので、明良はそれまでは逃げきりたかった。契約が成立すれば、空港に出店し、ブランドショップと連携し、増店もできて、松田たちの他に職人も増やせたのに…

 

恭子が渚を次期社長に指名したのは、3人がひとつになってほしい恭子が、子供たち3人の反応を見たかったからだった。

 

右京のメガネの作成は由衣が引き継いだ。

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感想など

ひとつ嘘をつくと、それを隠すためにもっと嘘をつき、やがて近い関係にあった人と溝ができ、泥沼の関係になってしまう…。「たったひとつの嘘」の重さを思い知らされるストーリーでした。

たった1つの嘘が殺人事件を招いてしまう?

最初に嘘をついたのは、田崎眼鏡の社長である田崎恭子でした。

 

長男。次男。長女。考え方はバラバラですが、互いに無いものを持っている3人の子供たち。ひとつになればきっといい会社になる。専務の女性を次期社長に指名したのは、3人の反応を見たかったからです。

 

専務は長男と結婚して一線から身を引きたいと恭子に申し出ました。突然の話に恭子は心臓発作で倒れてしまいました。

 

療養すること3か月。恭子は、次男から長男が専務を殺したと打ち明けられ、再び倒れてしまいます。

 

結局、犯人は別人だったものの、田崎眼鏡にとっては「お家騒動」が黒歴史になってしまいました。

 

それでも、母と3人の子供は絆を取り戻して未来を切り拓く決意を固めたようです。専務の死と、その犯人が自社の職人であった事実を受け止めて。

 

ひとつの嘘がもたらす代償の大きさを心に刻んで。

やさしい嘘ならついてもいいのか?

恭子に嘘をついていたのは、次男の拓人と長女の由衣でした。

 

拓人は、犯行現場で金庫の中を探る長男の明良を見て、明良が犯人だと思い込みました。

 

明良はどこかに逃亡してしまいました。

 

身体を壊している母親に、兄が専務を殺しただなんて言えません。

 

拓人と由衣は、兄がイギリスにいるという嘘の手紙まで作って、状況を隠そうとしました。

 

しかし嘘がバレて、母親は再び倒れてしまいました。

 

冠城亘はこれを「やさしい嘘」と呼びましたが、はたしてそうだったのでしょうか。

 

いずれバレる嘘ならば、最初からつかなければいいのに。そうは思うけれども、判断を誤って「つい」嘘をついてしまうのが、人間というもの。

「つい」してしまった行動からバレる嘘

その「つい」によって嘘がバレたのが、専務を殺した真犯人である眼鏡職人です。

 

職人は工房がまもなく取り壊されることを知り、社長代行である専務を問い詰めました。何も話さない専務にカッとなった職人は、専務を殺してしまいました。

 

長男が部屋に入ってきて、職人はカーテンの裏に隠れました。

 

嘘の始まりです。

 

職人は、自分が犯人であることを告げないまま、逃げる長男を工房の倉庫にかくまいました。

 

犯行は、職人が「つい」調整してしまった死者の眼鏡のかけ方によってバレてしまいました。

 

なぜ職人は素直に自首できなかったのか。

 

田崎恭子も、田崎拓人や由衣も、そして職人である松田正一郎も、自らの意志で嘘をつきましたが、松田の嘘だけは「やさしい嘘」と言えるものではないということは、はっきりわかります。

メガネへの愛とリスペクトがあふれる回に

【相棒】シリーズには「右京の同級生」や「右京の目」など、時折「右京の○○」というタイトルが付されたエピソードが登場します。

 

その中でも印象深いのは「右京のスーツ」と「右京の腕時計」です。どちらもその道の職人が右京さんと関わり、最終的には職人が犯人であることが右京さんに暴かれる、哀しい話です。

 

今回の「右京の眼鏡」には、眼鏡の職人が登場します。

 

スーツ回はテーラー役の小松政夫さん、腕時計回は時計職人の篠田三郎さんをメインゲストに据えましたが、今回のメインゲストは社長役のかとうかず子さん。眼鏡職人役の青山勝さんではありませんでした。

 

右京さんと職人との間の話というよりは、家族のお家騒動とその収束に主眼が置かれています。

 

それでも眼鏡作りの工程や眼鏡を愛する人の心理描写など、眼鏡に関わる人々のリスペクトを感じる回となりました。

 

スーツを愛し、腕時計を愛し、そして眼鏡を愛する右京さんだからこそ、職人のわずかなミスや「つい」を見失わないのかもしれません。

 

その道では誰にも負けないくらいの技術があったとしても、職人にとって殺人はシロウト同然であり、事件解決の職人である右京さんの目はごまかせなかったということです。

嘘をついた自分に敏感になれるかどうか

ついてもいい嘘というものはあるのでしょうか。

 

嘘をつかれた人にとっては、事実を知らないまま終わればハッピーエンドとなることであっても、その嘘を知ってしまったら、重大な人間不信になりそうです。

 

嘘をつく人も、その人に善良な心があるならば、自分が嘘をつくことに少なからずの罪悪感を覚えるはずです。

 

しかし、事の大小に関わらず、嘘をついたことのない人がいたら希少といわざるを得ません。

 

嘘は日常にあふれています。

 

他人を傷つける嘘はついてはいけない、傷つけない嘘ならついてもいいという意見もありますが、嘘をつかれたほうからすれば、嘘をつかれたという時点で傷になるのではないかなと思います。

 

そうはいっても、人は自分がかわいくて、他人に「つい」嘘をついてしまう生き物です。

 

嘘が「ついてしまうもの」であるならば、嘘をついた人が、その行為について、まず自分に傷を感じることで、その後の豊かな人生を導く転機になる気がします。

 

大切なのは、人が人をできるだけ傷つけ合わないようにして共生すること。

 

「今」の時点で自分が他人についている嘘を見つめ直す、いい機会になりました。