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【相棒19第15話「薔薇と髭の不運」】ネタバレ&感想…ウーバーイーツのような配達員の完全犯罪?

放送開始20周年を迎えたドラマ【相棒】は、2020年の秋から2021年にかけて新シーズン【相棒19】が放送されています。

 

水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)が、警視庁のたった2人の特命係として事件を解決に導きます。

 

この記事では2021年2月3日に放送された【相棒19第15話「薔薇と髭の不運」】のネタバレを含めた感想などを記述しています。

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(画像引用=テレビ朝日)

第15話「薔薇と髭の不運」はどんな話?

【相棒19第15話「薔薇と髭の不運」】

2021年2月3日放送

どんな話?

ゲイバー『薔薇と髭と…』のヒロコママ(深沢敦)が何者かにバッグを奪われそうになり、そのどさくさで階段から転落しそうになる。

たまたま付近で前日に起きた殺人事件の聞き込みをしていた捜査一課の出雲麗音(篠原ゆき子)は、その現場に遭遇。

間一髪ヒロコママを助けた麗音に呼ばれ、店に駆けつけた「特命係」の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)は、殺された速水貿易の社長・速水丈二(綱島郷太郎)がヒロコママの店の常連だったことを知る。

『薔薇と髭と…』の近所に仕事用の別宅を借りていた速水は、昨晩、店を訪れた後にその部屋で撲殺。

店を出た直後に愛人の長沼郁美(吉井怜)に電話をかけていたことから、捜査一課の伊丹憲一(川原和久)らは“痴情のもつれ”による殺人と踏んで捜査を開始する。

一方、マンションを出た右京と亘は、ヒロコママが可愛がっているデリバリーサービスの青年・池澤麻尋(瀬川亮)に会う。ヒロコママがバッグを奪われかけた現場にも居合わせていたが、残念ながら相手の顔は見ていないという麻尋。

彼に送ろうと撮影した写真に、たまたま速水殺害の容疑者が写ってしまっていたのではないかと考えた右京の助言で、麗音はしばらくヒロコママの警護につくことになる。

そんななか、右京と亘は、第一発見者となった速水の友人・相馬(佐伯新)から事情を聞く。すると、相馬にはアリバイがないうえ、闇金に手を出していた過去も判明。

やがて、速水の周囲を探りはじめると、速水の会社の金の流れに関する新事実が次々と明らかになり…?(引用=テレビ朝日)

主な出演者とスタッフ

出演者

杉下右京=水谷豊
冠城亘=反町隆史

小出茉梨=森口瑤子

伊丹憲一=川原和久
芹沢慶二=山中崇史
角田六郎=山西惇
青木年男=浅利陽介

出雲麗音=篠原ゆき子

ヒロコ=深沢敦

池澤麻尋=瀬川亮

相馬和義=佐伯新

速水丈二=綱島郷太郎

長沼郁美=吉井怜

ほか

 

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
脚本=児玉頼子

音楽=池頼広
監督=東伸児
ほか

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(画像引用=テレビ朝日)

その後どうなった?(ネタバレ)

右京は現場のクローゼットが開いていたことと、速水に現場の金庫を開けさせたのは誰なのか、そして相馬の部屋にあった超音波洗浄機が気になるようで…

愛人が殺して脱税の金を奪った?

速水は殺される前に「薔薇と髭と…。」で飛ばしの携帯電話から着信を受けていた。速水はその件で相馬を電話で呼び出し、長沼郁美にも電話をかけて「大至急、ビーカン全部」の指示を出した。

 

「ビーカン」は「B勘=裏帳簿」のことで、速水の会社では脱税をしており、速水はその金を自宅の金庫に保管していた。

 

伊丹と芹沢は郁美を取調室に連行し、速水を殺してお金を奪ったんだろうと迫る。郁美は脱税の件を認めて、速水殺害の時間は会社で裏帳簿の処理に追われていたと話す。

 

飛ばしの携帯から速水に電話をかけた人物は、税務調査官を名乗って速水を呼び出したようだ。速水はマネーロンダリングなどもやっていてかなりの悪者だった。

 

速水の美術品のリストを右京と亘が調べると、現場からコインセットだけが無くなっていた。

再びヒロコママを襲った人物は?

デリバリー・宅配配達の「デリッタロウ」に登録して自転車で配達員をしている麻尋。ヒロコは麻尋のことを「マロロー」と呼んで恋していた。かつて凍えた子犬のように見えた麻尋を拾い「変えられることと変えられないことがある。自分の人生ならいくらでも変えられる」と話して麻尋を励ましたという。

 

麗音に警護されていたヒロコだが、再び階段から突き落とされそうになる。「ヒロコさん、後ろ!」と麗音が叫びヒロコが振り返ると、そこには麻尋がいた。麻尋がヒロコを突き落とそうとしたと麗音は主張するが、ヒロコはそんなことは絶対にないと言って麗音をクビにする。

 

その後、ヒロコは再び襲われるが、麗音が助ける。ヒロコを襲ったのは相馬だった。

友人が殺してコインを盗んだ?

右京は、相馬の部屋に超音波洗浄機とコインクリーナーがあることに気がついていた。

 

相馬は事件があった時間、速水に呼び出されて速水の別邸に行った。玄関チャイムを何度押しても速水が出てこないので相馬は鍵がかかっていない部屋に入った。そこで速水の死体を発見して警察に通報しようとしたが、目の前にコインケースがあるのを発見した。

 

そのコインケースはかつて相馬が所有していた物で、借金の返済のために泣く泣く売ったが、巡り巡って速水の部屋にたどり着いたらしい。

 

相馬はコインケースをカバンに入れようとするが入らず、中身のコインだけを取り出してカバンに入れ、コインケースは手に持って近所のゴミ捨て場に捨てようとした。その様子をヒロコに撮影されたと思い込んでいて、ヒロコを襲ったのだった。

 

しかし相馬も速水を殺していないと言う。右京は相馬に「速水の部屋に入った時にクローゼットは開いていたか?」と訊く。相馬は「開いていなかった」と答える。

 

真犯人はクローゼットに隠れていた…

宅配配達員が殺して大金を得た?

右京は大胆な行動ができる税務関係に詳しい人物が1人思い当たるという。

 

右京たちは東新宿中央公園の広場に「青木」の名前を使って、配達員の麻尋をおびき出す。青木が麻尋のアリバイ工作を暴いたのだ。

 

麻尋は飛ばしケータイを契約し、宅配に偽名で登録していた。近くに他のドライバーがいない店に注文すれば、自動的に自分に配達の仕事が回ってくる。

 

麻尋は自分で注文し自分が仕事を受けることで、世田谷に料理を届ける時間をアリバイ工作に利用し、その時間に新宿で速水を殺した。

 

右京が「税務関係に詳しい人」で心当たりがあると言ったのは「薔薇と髭と…。」で右京たちが「ビーカン」の話をしていた時に麻尋が小さく反応していたのを、右京が見逃していなかったから。

 

速水はお金を隠すために自分で金庫を開けてお金を金庫の外に出していた。麻尋が速水を殺してお金を宅配のバッグに詰めている時に、相馬が部屋に入ってきてしまった。麻尋はクローゼットに隠れた。相馬が出ていってからクローゼットを出て逃げたが、クローゼットの扉を開けたままにしてしまった。

黄色い薔薇の花言葉は?

3か月前。麻尋は速水の会社の社長室に宅配をした際に、速水の脱税の話を耳にした。脱税してるくせに人を見下す速水に腹を立てた。麻尋は速水が懇意にするヒロコの店で情報を得ていた。

 

麻尋はかつて工業会社の経理を担当していたが、社長が売上金や経費をごまかしていたのがバレて追徴課税された時に、責任を負わされてクビになった。

 

世の中、金、金、金。そんなお金をどう使ってもいいだろうと言う麻尋を右京が一喝し、亘が「自分の生き方は変えられるというヒロコママのアドバイスを受け取るべきだった」と話す。

 

お店で泣き濡れるヒロコ。そのそばでそっと寄り添う麗音。

 

右京と亘が「こてまり」で食事をしているとヒロコが訪れ、黄色いバラの花束を麗音に渡してくれと右京に押しつける。

 

小手鞠は黄色いバラの花言葉が「友情」であることを言い当てると、ヒロコは小手鞠をいけ好かない女と言い、小手鞠にバラをあげて帰ってしまう。

 

右京は黄色いバラのもうひとつの花言葉が「嫉妬」であると静かに話した。

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(画像引用=テレビ朝日)

 

《関連記事》過去のヒロコママについてまとめました。

【相棒19】ヒロコママとは?深沢敦さんが演じるゲイバー店主の《相棒歴》は芹沢刑事より長い??

感想など

犯人はAと思わせてBという流れや、前半で張りまくった伏線がバリバリ回収されていくストーリーはまさに「刑事ドラマのお手本」で、「なるほど」と感心しながら楽しめるエピソードでした。

視聴者の心に響くヒロコママの純粋さ

右京さんの相棒が亀山薫の時代にたびたび顔を見せ【相棒18】で12年ぶりに登場したヒロコママ。

 

これまでは「事件を呼び込む人物」として脇役、チョイ役ながら異彩を放つキャラクターとして人気を得ていましたが、今回はいよいよメインストーリーに絡んできました。

 

惚れた相手が真犯人で、自分が利用されていたことを知り泣き濡れる筋書きが、きっちりと描かれていました。

 

ヒロコママは「凍えた子犬」に見えた池澤麻尋を拾い、お店で「変えられることと変えられないことがある。自分の人生ならいくらでも変えられる」と元気づけました。麻尋に恋心を抱き、心をこめて「マロロー」と呼びます。

 

キレイな月を見たら撮影してSNSで麻尋に送り、配達員の麻尋にお弁当を配達させて、そのお弁当を麻尋に食べさせてあげたり。その様子は純粋そのものです。

 

殺された速水のことを「速水ちゃん」と、その愛人である長沼郁美のことを「長沼っち」と呼ぶなど、店の客にとことん気さくでウラオモテのないところが、ヒロコママと「薔薇と髭と…。」の繁盛の秘訣なのでしょう。

 

そんなヒロコママの淡い思いを利用していたのがマロローでした。マロローは速水の情報を得るために「薔薇と髭と…。」に通っていました。

 

マロローに利用されていたことを知り、店でなきじゃくるヒロコママ。その心情が痛いほど伝わってきます。

 

ヒロコママにそっと寄り添っていた出雲麗音の姿は、視聴者の気持ちの代表のように見えました。

お金の恨みをお金の犯罪で復讐するクズ男

麻尋の動機はお金の恨み。経理として勤務していた会社で不正の責任を押しつけられてクビになり、デリッタロウで配達員の仕事をしていました。

 

速水の会社の社長室にお弁当を届けた際に、テーブルにお弁当を置いたら、そのテーブルに速水が足をぶつけてお弁当が床に落ち「こんなところに置きやがって」と責任を押しつけられてしまいました。

 

「何ぼーっとしてんだよ。さっさと拭けよ」と命令されてお弁当の中身を拾っていると、速水と女性社員が脱税の話をし始めました。


女性社員は配達員がいることに注意を払いますが、速水は「こんな奴にわかりゃしねーよ」と見下しました。

 

マロローの中で、何かが弾けました。

 

世の中は全部、金、金、金。

 

汚いお金なら誰がどんな風に使ったって構わないだろうと考えたマロローは、速水をスタンガンで襲い昏倒させている間に、速水が金庫から出したお金を奪おうとしました。

 

しかし、速水は目を覚ましてしまいます。もみ合っているうちに灰皿で速水を殴り殺しました。この時、マロローは人を殺したことに何の後ろめたさも感じませんでした。

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(画像引用=テレビ朝日)

お金に汚い人々のせいで人生をめちゃくちゃにされたからと言って、それを奪って良いわけがありません。マロローは自分を正当化しているだけでした。

 

ヒロコママに「自分の人生ならいくらでも変えられる」と言われても、心を開かなかったマロロー。

 

重篤な犯罪に手を染めてまで、復讐を遂行して、真実を闇に葬ろうとした男に、同情の余地もありません。

 

クズすぎます。

流行を取り入れ「今」をあぶり出す【相棒】

このエピソードは、ヒロコママの不運を主題にしつつ、現代の新しい文化であるオンラインフードデリバリーサービスを大きく取り扱っています。

 

リアル社会では「UberEATS(ウーバーイーツ)」という言葉が大流行しています。

 

スマホアプリで注文した食事を、登録配達員がバイクや自転車を使って届けてくれるサービスです。

 

注文した人は自分の居場所に食事を届けてもらえるし、お店は注文された料理を作って配達してもらえます。

 

そして、配達員は1回ごとに報酬額支払われるため、空いている時間を有効に使って働くことができます。

 

ユーザー、店舗、配達員の三者がウィン・ウィンの関係のになるため、オンラインフードデリバリーサービスは爆発的に普及しました。

 

その配達員が、自分が注文した品物の配達員を自分にすることでアリバイを工作しました。

 

今回の放送を視聴した配達員が、簡単に利用してしまうのではないかと危惧するほど、後から振り返れば「ありそう」な手口です。

 

どんな素敵な事業にも、それを悪用しようという輩が出てくるものです。20年の歴史を持つ【相棒】が、またひとつその時代の流行を取り入れて、常に続く「今」を描きました。

世代を超えて楽しめる安心感の復活

ヒロコママの心情や流行しているサービスを取り入れた今回は、犯人はAと思わせておいて、Bなのかと思わせて、じつはCだったというストーリーを追ううちに、前半で張り巡らされた伏線がバリバリ回収されていく、刑事ドラマのお手本のような作品でした。


「なるほど」と思わせられる反面で、複雑な構成が1時間弱の間に盛り込まれていて、刑事ドラマに慣れていない人が最後までついていって話を理解できたのかどうか、心配になるほどでした。

 

前回が小手鞠さんが高校時代の同級生の逃亡に巻き込まれるわかりやすい展開で、登場人物の心境が丁寧に描かれていました。

 

このあたりの幅の広さが【相棒】の魅力でもあります。今回の話は、以前のエピソードを振り返ると【相棒10】の「名探偵再登場」に似ているでしょうか。

 

「名探偵再登場」は、以前に登場した高橋克実さん演じるマーロウ矢木の再登場が注目されつつ、内容は複雑な遺産相続争いが盛り込まれていていて、お腹いっぱいになりました。

 

あの時も、犯人はAと思わせておいてB、かと思ったらCだったという展開に驚かされました。あの時の脚本は戸田山雅司さんで、今回の担当となった児玉頼子さんは少なからず影響されているはずです。

 

一時期は暴力的なシーンが多かったりわけのわからないサイコパスが登場したりして視聴者が置き去りにされるエピソードが増えて戸惑いましたが、まここに来て【相棒】は良い意味で原点回帰しています。

 

毎回、異なる脚本家がそれぞれの得意分野で競演し、それを見事に杉下右京という1人の人物に収斂させる水谷豊さん。

 

家族全員が世代を超えて安心して楽しめる【相棒】が帰ってきました。

 

【相棒19】は今回の話で早くも15話目となりました。回を追うごとに毎週水曜日の午後9時が待ち遠しくなるこの感覚。

 

次回が楽しみです。