【相棒19第3話「目利き」】ネタバレ&感想…詐欺でお金と命を奪った男が実演販売でやり直すが
ドラマ【相棒】は2020年で20周年を迎え、10月からは新シーズン【相棒19】がスタートしました。
【相棒19】は新レギュラーに「こてまり」こと小出茉梨(こいでまり=森口瑤子さん)を迎え、水谷豊さん扮する杉下右京と反町隆史さんが演じる冠城亘(かぶらぎわたる)がたった2人の特命係として事件を解決に導きます。
第1話・第2話で登場した出雲麗音(いずもれおん=篠原ゆき子さん)が、捜査一課に配属されレギュラーとなりました。
この記事では2020年10月28日に放送された【相棒19第3話「目利き」】のネタバレを含めた感想などを記述しています。
(画像引用=テレビ朝日)
第3話「目利き」はどんな話?
【相棒19第3話・目利き」】
2020年10月28日放送
どんな話?
詐欺などの経済事件を扱う捜査二課の係長・尾崎(及川いぞう)が、遺体で発見された。同僚の刑事いわく、尾崎が追っていた詐欺グループの仕業に違いないという。独自の捜査に乗り出した右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、尾崎が死の直前にしていた不自然な買い物に着目。実演販売士の酒井(山本浩司)から話を聞く。しかし、酒井は口達者な食えない男で、これといった手掛かりは得られなかった。いっぽう、捜査本部では、尾崎の追っていた組織は、3年前も同様の手口で犯行を重ねていたグループだとあたりをつけていた。当時、その組織には、尾崎の情報屋を殺害した疑いが浮上したものの、証拠不十分で罪に問えなかったという。殺人事件は自分たちの管轄だと主張する一課と、一連の事件に因縁がある二課が激しく対立する中、右京と亘は酒井と尾崎の意外な繋がりに気付く。(引用=テレビ朝日)
主な出演者・スタッフ
出演者
杉下右京=水谷豊
冠城亘=反町隆史
小出茉梨=森口瑤子
伊丹憲一=川原和久
芹沢慶二=山中崇史
角田六郎=山西惇
青木年男=浅利陽介
出雲麗音=篠原ゆき子
益子桑栄=田中隆三
中園照生=小野了
☆
酒井直樹=山本浩司
尾崎徹=及川いぞう
ほか
スタッフ
エグゼクティブプロデューサー=桑田潔
チーフプロデューサー=佐藤涼一
プロデューサー=髙野渉、西平敦郎、土田真通
脚本=神森万里江
音楽=池頼広
監督=権野元
ほか
(画像引用=テレビ朝日)
その後どうなった?(ネタバレ注意)
テレフォンカードの謎
鑑識の益子によると、尾崎は別の場所で死んでから運ばれたという。スーツのポケットには壊された録音機能付きのペンやテレフォンカードなどがあった。
公園でキョロキョロしている尾崎の姿が防犯カメラに映っており、捜査陣は尾行中に誰かを見失ったものと見る。
右京さんたちが公園に行くと、公衆電話ボックスが撤去された跡があった。
尾崎はテレカを使って電話をかけようとしたが電話が無くなっていたためにキョロキョロしていたことが判明した。
殺人事件はウチのヤマだと主張する捜査一課と、上司の死の真相を自分たちで暴きたい捜査二課が対立する。
捜査二課の塚本や吉井は、反社会的組織のリーダーである兵頭が尾崎とつながっていたのではないかという懸案を隠していた。
サイバー課の青木が公衆電話の通話履歴を調べた結果、兵頭と尾崎が通じていることが確定した。
駆け込み寺ドットコム
右京さんたちは詐欺グループの部屋にあったマッサージ器の中に盗聴器が仕込まれているのを発見する。
仕掛けたのは酒井だった。酒井はかつて尾崎に詐欺で逮捕され、その後、尾崎に捜査協力していた。
右京さんは尾崎の死亡場所が尾崎の自宅の書斎であると断定する。書斎から血痕や指紋が出ないように拭き取れる知識、道具、技術を持つのは酒井だ。
酒井は3年前、自分がお金を騙し取った相手が自殺したことを知り、自分も自殺しようとしていた。それを止めてくれたのが尾崎だった。命の恩人で生き返すきっかけを与えてくれた人を殺すわけがない?
翌日、伊丹刑事たちは兵頭を引っ張り取り調べをするが、兵頭は罪を認めない。
右京さんたちは、今回の話の冒頭シーンで詐欺にあって投身自殺しようとしていた女性に、慰謝料の500万円をどのように手に入れたか質問する。
女性は「駆け込み寺ドットコム」というネットのサイトを利用したらしい。
「駆け込み寺ドットコム」の運営者である有島は、大金を手に入れそうな人物の情報を兵頭の詐欺グループに流していた。
兵頭は詐欺を認めるが、尾崎の殺害は否定する。
実演販売をしている酒井を訪ねた右京さんと亘は、酒井が売る洗剤「アメイジングウォッシュ」が、どんなものでも消せるといいつつも、紙についた汚れを落とせないことを指摘。
観念して真相を話す酒井。
尾崎係長の死の真相は
酒井は尾崎が兵頭とつるんでいると疑い、刑事のふりをして「駆け込み寺ドットコム」などを調査していた。
それに気がついた尾崎が実演販売をしていた酒井を訪れ、裏に呼び出す。
酒井は尾崎に自分の疑念をぶつける。「あんたみたいなのを本当の詐欺師っていうんじゃないですか。本当の悪人はあんただよ」
その言葉に感じるものがあった尾崎は、書斎で自殺したのだった。
尾崎の死体を発見した酒井は、部屋を掃除し、尾崎が自らの不正を明るみにしようとした遺書を燃やして、外に運び出して他殺に見せかけた。録音機能付きのペンを壊したのも他殺に見せかけるため。
尾崎を救えず自殺へと追い込んでしまったのは自分のせい…酒井はせめて尾崎の名誉を守りたかった。
殺人を偽装したのは、詐欺グループが尾崎を殺したように仕向ければ、捜査の目が兵頭にたどりつくと思ったから。
右京さんは、酒井が大きな勘違いをしていると指摘する。
尾崎は兵頭とはつながっていなくて、逮捕しようとしていた。だが、2か月前に兵頭のほうから尾崎に近づき酒井の件をちらつかせて金を渡してきたのだ。尾崎は酒井に危害が加わるのを恐れて兵頭からの金を受け取っていた…
感想など
詐欺から足を洗い、洗剤を売る実演販売士として生き直していた男ですが、胸中のモヤモヤをきれいに洗い流すことはできなかったようです。でも、また洗い流せば、きれいになります。
詐欺で騙した女性が自殺した
今回のエピソードには詐欺が深く関わりました。
冒頭では、詐欺に遭った女性が飛び降り自殺しようとして、右京さんたちに止められます。
その女性は、最初に200万円を出仕し、少し配当が出たからとさらに200万円をつぎ込み、消費者センターからと騙る連絡にも騙されて100万円払って、500万円を失ってしまったのでした。
なるほど、詐欺グループはこうやってお金を騙し取るのか、と勉強になります。
酒井直樹は3年前、反社会的勢力の詐欺グループに属していました。詐欺の成績が良かったために、天職なのではないかと勘違いするほどでした。
しかし、自分が騙した高齢女性が自殺したニュースに衝撃を受けます。自分はその人のお金だけでなく、夢や希望、そして命まで奪ってしまった…
酒井は死のうとしました。遮断機をくぐろうとしました。それを発見した尾崎刑事が、助けてくれました。
山本浩司さんで思い出す「ボーダーライン」
酒井を演じた山本浩司さんといえば「伝説の鬱回」と言われる【相棒9第8話「ボーダーライン」】のメインゲストです。
あの時、山本さんが演じた柴田貴史は、派遣切りにあい、家族から勘当され、婚約者に捨てられ、最後には試食を食べ歩くようになり、やがて死を選択しました。右京さんは柴田について「彼は社会に殺された」と結論を述べました。
あの時の柴田に、尾崎刑事のような人が手を差し伸べていれば、違った人生になっていたのではないかな、と「ボーダーライン」を思い出してしんみりしてしまいました。
酒井は助けられました。洗剤を実演販売する仕事に出会いました。
同時に、酒井は尾崎の情報屋になりました。
詐欺グループに加担させられてしまった気の弱い人間に近づき、盗聴器を仕込んだグッズをプレゼントして、犯罪者の摘発に協力します。
危険な役割ですが、恩人への感謝の気持ちと詐欺に対する怒りが、酒井を動かしていたのでしょう。
情報屋として詐欺の世界に戻る
詐欺グループの摘発に協力する行為には、落とし穴があります。
詐欺の世界から離れられない、という点です。
洗剤の実演販売士として仕事をする分には、かつて自分が人をしに至らしめてしまった詐欺の世界とは無関係です。
しかし、情報屋をやっていると、詐欺グループの人間と接触することになり、自分が強い憎悪を持つ詐欺の世界とつながってしまいます。
いつまでたっても詐欺グループが一網打尽にされず、リーダーの兵頭も捕まりません。酒井は尾崎が兵頭とつながっているのではないかと疑ってしまいます。
酒井は刑事のふりをして、詐欺事件を独自に調べ始めました。裏切られているのではないかという疑念を洗い流すために。
命の恩人の目利きになれず
酒井は尾崎と揉めました。その夜、尾崎は自殺してしまいました。
尾崎を救えなかった酒井は、自殺を殺人に偽装して、その犯行を詐欺グループと兵頭に押し付けようとしました。
正義感によって尾崎を問い詰め、尾崎を死に追いやってしまったところまでは、仕方がないのかもしれません。
しかし、偽装工作は良くありません。警察を騙しています。詐欺に値する行為です。
「目利き」とは「物の価値、真偽などを見分ける能力」です。酒井は実演販売士として、どの人物に声をかけて場を盛り上げ洗剤の販売につなげるかという点で、目利きでした。
右京さんは酒井について、尾崎の気持ちを見分ける目利きになれなかったことを指摘しています。
とはいえ、酒井に尾崎の心情を察しろというのは酷な気がします。
尾崎を命の恩人だと思うからこそ、冷静に目利きできなかったのではないでしょうか。
また「アメイジングウォッシュ」を売ろう
尾崎は詐欺から足を洗った酒井を情報屋として再び詐欺グループに潜入させ、危険に晒しました。さらに兵頭にも取り込まれています。
酒井を情報屋にさせたところが尾崎の間違いの始まりであり、尾崎の情報屋になってしまったところが酒井の間違いの始まりでした。
酒井が再び犯罪に手を染めてしまったことが、残念です。
ただし。
「ボーダーライン」の柴田貴史は自殺してしまいました。死んだら未来はありません。
酒井には命があります。罪を償ってやり直すことができます。
自分の詐欺行為で人が死んだことを悔い、洗剤の実演販売に活路を見出した男です。
もう一度、自分の汚れた部分を洗い流して、また「アメイジングウォッシュ」を笑顔で販売してほしいと思います。
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声に出して読みたい右京さんのセリフ
(酒井に追い打ち)
「あなたも目利きなら尾崎さんのことをそこまで理解すべきでした。行きましょうか」
おまけ
(実演販売やっちゃう右京さん)
「はい! アメイジングウォッシュを使えば二度ぶき、三度ぶきの手間がいりません。ガンコな油汚れも、シュッ、シュッ、シュッ。ほーら、するっと。手荒れの心配もいりませんねー。肌に優しい成分なのに、除菌、脱臭、漂白効果まで、このアメイジングウォッシュに落とせない汚れはないんです!」
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