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【相棒17第9話「刑事一人」感想】牛丼屋で働くサルウィン人店員さんは何を思ったか。

この記事では、2018年12月12日に放送されたテレビドラマ【相棒17第9話「刑事一人」】の感想などを記述しています。

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【相棒】といえば伊丹刑事

今回は、【相棒】シリーズにはなくてはならない不動のレギュラー、伊丹刑事(川原和久さん)の熱い心がクローズアップされました。

【相棒】は、バディものの刑事ドラマです。主人公は右京さん(水谷豊さん)と、その相棒。しかし、右京さんの相棒は初代の亀山薫(寺脇康文さん)の衝撃的な「卒業」を経て、現在の冠城亘(反町隆史さん)で4代目。

主役級のキャストすら変わってしまう【相棒】の世界で、2000年6月3日の第1作【相棒プレシーズン第1話「刑事が警官を殺した?  赤いドレスの女に誘惑され…死体に残る"4-3"の謎とは?」】から2818年12月の現在まで登場し続けているレギュラーキャラクターは、右京さんと伊丹刑事、そして内村刑事部長(片桐竜次さん)と中園参事官(小野了さん)だけ。

2000年からずっと、特命係の敵としてほぼ毎回出てくる伊丹刑事。ちょっと怖めの顔つきから硬派のイメージがありますが、【相棒1-9「人間消失」】では右京さんに催眠術をかけられてモンキーダンスを踊り始めるなど、随所でコミカルな面が描かれています。

亀山くんとのいがみ合いは懐かしい限りです。

今回の【相棒17第9話「刑事一人」】で孤軍奮闘した伊丹刑事の脳裏には、サルウィン共和国のNGOで活動する「特命係の亀山薫」の存在がチラついていたようです。

伊丹さんが襲われた

サルウィン共和国から日本に来て、牛丼屋チェーン店で働くマニーという青年が変死体で発見されました。同じ店で働いていたマニーの姉マリアによると、最近、外国人を狙った襲撃事件が相次いでいるとか。

しかし、警視庁は手を引き、捜査は所轄の篠崎署だけで行われることになりました。マリアに「犯人は必ず逮捕します」と約束した伊丹刑事は、上のやり方に不満を持ち、単独で捜査を始めます。

右京さんと冠城くんは、警察に圧力をかけたらしい衆議院議員の敷島純大(井上肇さん)に注目し、その息子の純次(藤原季節さん)に疑いの目を向けます。

単独捜査を続けていた伊丹刑事は、マニーが死んだ場所で、純次たち4人組に襲撃されてしまいます…

なぜブチギレたのか

伊丹刑事はこれまでにも何度も勇み足で刑事生命の危機に陥ったことがあります。【相棒14-13「伊丹刑事の失職」】では、事件の関係者に暴行してしまい、右京さんが真相を突き止めてくれなかったら、あわやクビ、なんてこともありました。

今回は、上司の命令を無視して捜査をした挙句に襲撃され、取り調べでは自分を襲った犯人の純次に暴行を働いてしまいました。

大河内監察官(神保悟志さん)による監察官聴取の際には、今度ばかりは覚悟しておいてくださいと釘を刺されます。

伊丹刑事はなぜ熱くなってしまったのか。

伊丹刑事を怒らせた純次は、外国人を非国民呼ばわりし、襲撃を重ねていました。伊丹刑事が「人の命をなんだと思ってる!」と詰め寄ると「クソだと思ってる」と吐き捨てました。

その後に発したセリフ。「人を人とも思わない奴は人間じゃねえよ」。人情家の伊丹刑事の思いが爆発しました。

ただし、犯人の性根が腐ってるだけでは、伊丹さんもブチギレることはなかったかもしれません。

被害者が外国人だったこと。日本に来て、牛丼屋で真面目に働く青年だったこと。マニーや姉のマリアが、サルウィン人だったこと。「サルウィン」という言葉は、自然に亀山薫を思い出させます。

亀山くんだったらどんな気持ちになるだろうか。伊丹刑事の心が燃えた最大のキーワードは「サルウィン」だったと見て間違いないでしょう。

「外国人」への意識

【相棒】では、真面目な外国人労働者が哀しい運命をたどる話がいくつか放送されています。

【相棒10-13「藍よりも青し」】では、堂島組のフロント企業が、人身売買で買い取ったカンボジア人を不法就労させていました。その工場から逃げたカンボジア人のソパートが、殺人事件の犯人なのかどうか、という話。

【相棒14-16「右京の同級生」】では、外国人労働者を受け入れて中小企業に就職を斡旋する「国際ディスパッチ協会」という怪しい団体が出てきました。協会の理事長は、エルドビアから日本に来る外国人労働者に対して、エルドビアで出国の手数料を取り、日本では就労斡旋料を取って2度儲けるという、人買いビジネスをする悪徳ブローカーでした。

今回は、牛丼店で働くサルウィン人の青年が殺害されました。

日本では、外国人労働者の受け入れが盛んになってきましたが、まだまだ一部の日本人による外国人への偏見は消えません。外国人だから、という理由で不当に蔑まれたり暴行を受けたりする例があります。

都心の牛丼屋さんではアルバイト従業員が外国人ばかりのお店が増えてきました。正直、大丈夫なのかな、と思ってしまうこともあります。理由はとくにないのだけれど、なんとなく違和感を感じてしまうのです。大丈夫なのに。

店員の外国人どうしが外国語で、日本人の自分を見て笑いながら話している…ストレスにまみれた日本人が、勘違いしてキレることが、あってもおかしくはなさそうです。

意識的に、あるいは無意識に外国人への差別を持つ日本人による犯罪。右京さんが貫く「人間は法のもとに平等である」精神や、伊丹刑事の人間愛が理想として例示されたのが、今回のストーリー。

事件が無事に解決してスッキリしたのと同時に、日本という国で生きる人間として、外国人との間にある壁を感じずにはいられない、モヤモヤした気持ちになり、戸惑わされます。

島国だからでしょうか。日本以外の人に、まだ免疫ができていないのかな。

こんなことで、東京オリンピックで全世界から人が集まった時に、テロとは別の次元で、日本は大丈夫なのかしら、なんて深刻に考え始めてしまいました。

伊丹刑事のような、やさしい人になるぞ!

【相棒17第9話「刑事一人」】

2018年12月12日放送

脚本=真野勝成

監督=権野元