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【相棒17第4話「バクハン」感想】右京さんのブレない正義を再確認しよう!

この記事では、2018年11月7日に放送されたドラマ【相棒17第4話「バクハン」】の感想などを記述しています。

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「警察=正義」とは限らない

【相棒】では、警察と暴力団の対立を描く硬派なストーリーの回が幾度となく放送されます。警察=正義、暴力団=悪という簡単な図式ではなく、警察内部にも悪がはびこる展開が多く、視聴者はモヤモヤさせられます。

【相棒17「バクハン」】は「なぜ【相棒】にヤクザ絡みの話が必要なのか?」「警察の不正に関する暗い話よりもゆるくてスッキリする話のほうが視聴者受けが良いのではないか?」といった疑問符への解答例を示してくれる作品となりました。

右京さんと角田課長が対立

今回のタイトルの「バクハン」は、組織犯罪対策四課の賭博担当の通称を指します。バクチを担当する班だからバクハンです。

ゲスト主人公は、バクハンの課長である源馬(中野英雄さん)。

源馬の指揮のもと、過去最大規模の裏カジノの一斉摘発がおこなわれ、警察は広域指定暴力団「武輝会」の資金源に大きなダメージを与えます。

摘発捜査には特命係の右京さん(水谷豊さん)と冠城くん(反町隆史さん)も参加していました。右京さんは、摘発を逃れた店があることに気がついて、源馬が裏で手引きをしているのではないかと疑います。

いつも特命係の部屋に「ヒマか?」と声をかけてコーヒーをの飲みに来る組織犯罪対策五課の角田課長(山西惇さん)は、源馬をかばい、右京さんに手を引くように釘を刺しますが、右京さんは捜査を続けます。

源馬と賭博業者との癒着をマークしているという、生活安全部の百田刑事と久我刑事が、右京さんたちに捜査協力を要請しました。右京さんは協力を約束しますが、冠城くんは「角田課長を裏切るわけにはいきません」と言い、右京さんとは行動を別にします。

角田課長とも対立することになり、いよいよ孤立を深める右京さん。

「正義」とは?

「僕たちは、考え続けなければなりません」。ラストのシーンで、右京さんは静かに語りました。

【相棒】は、考えるための教科書です。今回は「正義とは何か?」についてが大きなテーマとなりました。

【相棒】は刑事ドラマです。毎回、杉下右京という警察官のブレない正義が、悪や犯罪を裁きます。

亡き小野田官房長(岸部一徳さん)は【相棒劇場版2】において、正義に対する考え方の違いで、右京さんと決定的に対立しました。

「正義の定義なんて、立ち位置で変わるもんでしょ?  まさか絶対的な正義がこの世にあるなんて思ってる?」と、官房長は右京さんに言い放ちました。

正義とは。

「バクハン」では、衣笠副総監(杉本哲太さん)が、警察官には「それぞれの正義」があると、青木(浅利陽介さん)に説きました。

右京さんによって不正を明るみにされた刑事は「必要悪もある」と右京さんに抗議します。人には、それぞれの正義があるのだと。

右京さんは「必要な悪があるとは思えません」と答えました。

右京さんには「それぞれの正義」なんて、無いのです。あるのは、人間が生きるうえで持つべき、共通の、たったひとつの正義です。

人を愛する心

角田課長は、右京さんが警視庁の中でどんなに孤立の危機にさらされても、良き理解者として、味方でいてくれました。

そんな課長でさえも、同士の「必要悪」に待ったをかけた右京さんに突っかかります。

右京さんは、課長との関係が壊れることよりも、正義を貫くことを優先しました。

なぜか。

ただ単に、頑固に「正義」を振りかざすだけだったら、右京さんに誰もついてこないでしょう。視聴者だって「この正義かぶれが」と思ってしまいます。

右京さんは、正義の本当の強さを知っています。だから、恐れないのです。

物語の最後に、角田課長は折れました。

「源馬のことは俺も心配してたんだ。あのまま突っ走ってれば命を落とすかもって。結果的に、おまえはあの二人を救ったのかもな」。

源馬は、武輝会を憎んでいました。子を殺された父親として。父親を殺された少年と仲良くなり、武輝会を叩き潰そうとしていました。気持ちが強すぎて、そのまま行けば武輝会の人間に命を奪われていたかもしれません。

右京さんは、源馬という警察官の正義を、人間としての正義でねじ伏せたことで、源馬に命の尊さを気づかせ、無謀な戦いを止めました。

今回の話は、右京さんの正義の根源には人間に対する愛があふれていることを、改めて教えてくれました。

暴走する勇気

一歩間違えば「暴走」と言われる正義を貫くことで、いつ死んでもおかしくないような危険な道を選びつつ、人を守り続ける右京さん。

この世に絶対的な正義があると信じている右京さんは、官房長の死によって、絶対的な正義が絶対に通用するものではないことを受け入れざるを得ませんでした。

右京さんがどんなに絶対的な正義の尊さを語り続けても、右京さんはカイトくん(成宮寛貴さん)のダークナイト堕ちを止めることはできませんでした。

たくさんの悲しみを背負いながら、右京さんの孤独の戦いは続きます。

右京さんがブレないでいてくれたからこそ、カイトくんは自分の愚かさに気がつきました。生きていれば、間違いに気がつき、更生することができます。

最初は右京さんの正義についていけなかった歴代相棒たちが、徐々に右京さんに心を開いていったのは、右京さんの正義が決して間違うことなく、人間愛に満ちていることに気がついたからです。

必要な悪などない

必要な悪などありません。

当たり前のことが、当たり前として認識されていないのが、この世の中です。

もし、杉下右京がブレブレだったら【相棒】は、シーズン17まで長続きしていません。

「キャラクター造形が優れている」「ミステリーとしての完成度が高い」「伏線の回収の仕方に鳥肌が立つ」「哀しい物語に思わず泣かされる」「肩ひじ張らずに楽しめる娯楽大作である」など【相棒】の魅力は際限なく挙げることができますが、根本的なところは、右京さんのブレない正義にあるのは、間違いありません。

右京さんがブレないからこそ、視聴者は安心して【相棒】を楽しめます。

今回は、右京さんのブレない正義を改めて確認することができました。右京さんと視聴者のキズナが深まりました。

右京さんは、裏切らない。

このお約束があるからこそ、私たちは、次回の【相棒】をわくわくして心待ちにすることができます。

「バクハン」は、モヤモヤする内容のストーリーになりそうで、じつはスッキリする話だったのです。

 

【相棒17第4話「バクハン」】

2018年11月7日放送

脚本=真野勝成

監督=橋本一

 

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