雑記とかドラマ【相棒】の魅力とか!

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【1/24&31相棒300回スペシャル】を前に【相棒3「異形の寺」】を振り返ろう!

2000年6月にスタートしたドラマ【相棒】が、2018年1月31日の放送で「300回」を迎えます。すごすぎます。

1月24日と31日の【相棒16・第13話、第14話】が、前後編のスペシャル版で放送されます。前編が299話、後編が300話目です。

300回スペシャルには、津川雅彦さん演じる瀬戸内米蔵、木村佳乃さん演じる片山雛子、高橋惠子さん演じる尼僧の蓮妙が再登場するようです。

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(画像引用・テレビ朝日、東映)

瀬戸内元法務大臣は4年ぶり。片山雛子元衆議院議員は2年ぶり。そして蓮妙は2005年3月放送の【相棒season3最終話】以来、約13年ぶりの登場です。

この記事では、蓮妙が登場した【相棒season3最終話「異形の寺」】の感想を記述して、高橋惠子さんの相棒再登場を大歓迎します。

テーマはトランスジェンダー

【相棒season3最終話「異形の寺」】が放送されたのは、2005年3月23日です。

【相棒】は、シリーズ開始当初から現在まで、通常の刑事ドラマでは取り扱わないテーマを斬新に描き続けています。

その中でも衝撃作が「異形の寺」です。メイン脚本家の輿水泰弘さんがぶっ放した問いかけは「トランスジェンダー」でした。

近年は「LGBT」という言葉が、社会一般に少しずつ浸透してきました。

レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの4つの言葉の頭文字の組み合わせです。

2005年当時、私は「トランスジェンダー」という言葉を理解できていませんでした。「異形の寺」を視聴して、その問題の根深さを考えさせられました。

トランスジェンダーとは、生まれた時の性別と、自分で認識している性別が異なる人のこと、を指します。

「異形の寺」では、「自分は間違いなく女なのに、なぜか体は男」として生きてきた人物の葛藤や苦しみが描かれています。

私は女なのに体は男

姉と弟の双子は、生まれてすぐ母親に捨てられました。

幼い飯島俊太郎は、姉に叱られました。

「あんた、男なんだから男らしくしなさい!」と。

俊太郎は不思議に思いました。

どうしてお姉ちゃんと同じことをしちゃいけないんだろう?

みんなは「それは違う」「そうじゃない」「そうしたらいけない」と自分に言います。

俊太郎の不思議は、苦痛に変わりました。

私は女なのに、体は男。

みんなが私を男として見る。男として扱う。

「男の子の服を着せられるのは、私にとって拷問でした。まるで内側にトゲのついた鎧を着せられているみたい。トゲで心をズタズタにされているみたいだった」

幼い頃は俊太郎を嫌っていた双子の姉は、俊太郎をしだいに理解してくれるようになりました。双子の妹として、2人仲睦まじく暮らすようになりました。

ある日、姉の結婚がダメになりました。

姉の彼氏は、姉と弟を姉妹だと思っていたけれど、説明したら納得してくれました。

しかし、彼氏の親御さんは、理解してくれませんでした。

「世間の常識ではやっぱり異様な生き物なんでしょうかね。わたしたちトランスジェンダーは」

苦しみぬいた男子扱い

「異形の寺」は、私の心に強烈に突き刺さりました。

人生には、すでに決められていることがたくさんあります。

たとえば名前。親が勝手につけた名前を自分が生きなければいけない、この苦痛はなんなのだろう、と、ずっと感じてきました。

たとえば学校。なぜみんなが行くから自分も行かなければならないのだろう。この苦痛はなんなのだろう。

悩み、苦しみながら生きてきました。

しかし、トランスジェンダーという不思議は、そういうレベルのものではないのかもしれない。

自分は男なのに、女として扱われる。または、自分は女なのに、男として扱われる。

女の子である自分の名前は飯島俊太郎で、何をするにも男子扱い。双子の姉は飯島佐和子で、何をするにも女子扱い。

男子は男子を、女子は女子を、それぞれ生きるのが「当たり前」。

ドラマでは、サラッと描かれているけれど、俊太郎という少女が、小学校、中学校、そして大人へと年齢を重ねるにつれ、そこに計り知れない苦しみや悲しみがつきまとっていたことを容易に想像できます。

じゃあ「普通」って何?

姉は人生に疲れてしまい、自らの命を絶つことを決意しました。

「あんたが普通の女の子だったらね。あんた女の子だけど、女の子じゃないもん」

「男だけど、男じゃないよ。私も、もう疲れたよ」

高橋由美子さんが演じる姉と「妹」の極限の葛藤に、胸が詰まります。

姉も妹も、本当に、本当に身も心も疲れ果てていたのでしょう。

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(画像引用・テレビ朝日、東映)

仲の良い姉妹として暮らしていても、どうしても糸がほつれてしまいます。

じゃあ俊太郎が男になればいいのか。体は男性であるところの女性が男性の演技をしなければいけないのか。

あまりにも残酷すぎます。内側にトゲのついた鎧が、体の奥まで突き刺さってしまいます。

なぜだろう。どうしたらいいんだろう。

現代はLGBTという言葉が浸透して、性的マイノリティーと呼ばれる人たちの心が尊重されるようになり始めました。

でもやっぱり「普通」じゃないことは異端視され、矯正される場合が多い社会です。

じゃあ「普通」って何?

20世紀の終わりから2018年の現在まで、とくにエース作家の輿水さんが【相棒】で問い続けてきたテーマこそ「普通」という不思議のような気がします。

だからこそ「普通」の刑事ドラマがやらないことを常にやっている新鮮さがあります。

瀬戸内米蔵と蓮妙

姉の死を見届けた俊太郎は、姉の名を借りて飯島佐和子としてしばらく生きてみますが、悩み、葛藤にまみれた末に、尼寺に入り、雀蓮(じゃくれん)という尼僧になりました。

尼寺の庵主が、高橋惠子さんが演じる蓮妙(れんみょう)です。

蓮妙さんは、実家が寺だった瀬戸内米蔵元法務大臣とは兄弟弟子で、親しい間柄です。

なかなか弟子をとらない蓮妙さんが、雀蓮には仏縁を感じて受け入れた理由とは?

「異形の寺」の主人公は高橋由美子さんで、高橋惠子さんの出番はそれほど多くはありませんでした。

【相棒16】での13年ぶりの登場にはビックリです。

瀬戸内さんの出所のシーンから始まるという1月24日の299話目で、蓮妙さんがどう絡んでくるのか、ワクワクします。

トランスジェンダーとその母親

そして「考える教科書」としての【相棒】の「復習」の時間として、もう一度、トランスジェンダーの不思議について考察してみます。

もう一つ。

「娘」を弟子として受け入れた「母」の心境を。

もし、あの日捨てた双子が、…