雑記とかドラマ【相棒】の魅力とか!

2022年はドラマ「相棒」関連の記事が中心です。

「相棒がつまらなくなった」と嘆いてから2年。相棒16が最高に面白いです右京さん!

【相棒14】の頃に「相棒、最近つまらない」という趣旨の記事を書いてしまいました。しかし現在放送中の【相棒16】は、めちゃめちゃ面白い!

この記事では、私がなぜ2年前に「相棒ロス」になってしまったのか、なぜ今シーズンの【相棒16】が素晴らしいと思うのかを述べていきます。

相棒ロスにまみれた【相棒14】

 私がアメブロに【相棒が最近、つまらなくなった理由】を考察して更新したのは、2016年の2月です。

当時は【相棒season14】が放送されていて、その第17話「スポットライト」の内容に、あ然としてしまった反動がありました。

「売れない漫才師のコンビ愛が引き起こした騒ぎの行方は…夢の重さ、そしてコンビ愛にあふれたラストが胸に迫る!」

という話でした。

ドラマの中で登場する「でんすけ」というコンビの漫才が、絶望的につまらないのです。つまらないネタを延々と流す。

この回を見て、私は何度目かの「相棒ロス」に襲われました。

【相棒14】を毎週見ながらモヤモヤしていた私は、ついにアメブロに【相棒が、最近…】という記事を吐き出しました。

私のアメブロ記事では、この投稿へのアクセス数がいちばん多くなってしまいました。

Google検索でも「相棒 つまらない」で最上位に位置していることを知り、2年近くが経過した昨年末に、あわてて記事を削除しました。

知らないうちに検索上位

 【相棒】の楽しさ、深さ、面白さを伝えるブログで「相棒 つまらない」「相棒 つまらなくなった」が最も読まれていたというのは、皮肉な話です。

以前からの【相棒】の視聴者さんも同じ気持ちだったのか、冷やかしの検索が多かったのかはわかりませんが、【相棒14】の頃の、私の「相棒ロス」は深刻でした。

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「相棒ロス」とは、私が勝手に作った造語です。

【相棒13最終話「ダークナイト」】で受けたショックが「相棒ロス」の最初。

それまで右京さんの3代目相棒として活躍してきたカイトくんが、事件の真犯人として逮捕された回です。

この回はツイッターなどのSNSでも「それだけはやめてくれ」「おいおい」「あーあ」という感想があふれました。

問題は、この回が【相棒13】の最終回だったことです。

「カイトくん犯人堕ち」を引きずったまま、半年後の【相棒14】開始を待たなければならないモヤモヤ感こそ、悲しすぎる「相棒ロス」です。

 「落語監修:春風亭昇太」のすばらしさ

「スポットライト」では、単純に「だめだこの回」と、一緒に見ていた母親と苦笑いしてしまいました。

【相棒】は細部まで作りこまれている点に見どころがあります。

【相棒season1】の「秘密の元アイドル妻」では、小宮孝泰さんが真打ちに昇進したばかりの落語家を演じたのですが、これが芸術的にうまい。

新宿の末廣亭を使っていて、最後のクレジットで「落語監修・春風亭昇太」と表示された時には鳥肌が立ちました。

落語と漫才という、比較しやすい分野での落差だったからでしょうか。

「スポットライト」視聴後に襲われた「相棒ロス」。

「来週の相棒は大丈夫なのだろうか」。1週間経つと「今週の相棒は大丈夫なのだろうか」と、不安になってしまいました。

ただし【相棒14】にも「最終回の奇跡」や「物理学者と猫」など、「相棒すげえ!」とワクワクする回がいくつもあったことは確かです。

感情移入できるかできないか

 なぜ面白くないと思ってしまったのかを掘り下げると、結論が見えてきました。

「ダークナイト」から【相棒14】【相棒15】までを含めて、視聴者が登場人物に感情移入できる回が減ってしまったからです。

たとえば初期の【相棒】では、右京さんの初代相棒である亀山くんに感情移入しながら事件を追っていける話が多数ありました。

その後の【相棒】でも、神戸くん、カイトくんらの心象風景や、あるいは事件関係者や犯人側から見た物語の芯がしっかりしていました。

4代目相棒の冠城くんが登場した【相棒14】からは、どうもドラマと視聴者の距離感が遠くなってしまいました。

やや不安だったのが、最初は冠城くんがどういう人物かを把握しかねた点。これは、回を重ねるごとに解消されていくだろうと、安心していました。

それよりも。

【相棒14】の「陣川という名の犬」では、陣川警部補目線で楽しく事件を追いかけられるかと思いきや、動機なき連続快楽殺人犯の登場や、陣川くんがあわや殺人犯になってしまうという「おいおい」な展開。

【相棒15】の元日スペシャル「帰還」では、警官がバンバン殺されて、犯人の理由が「楽しいから」。そんな話を元日から見せられたら、1年のスタートがモヤモヤしてしまいます。

 【相棒13】最終回から【相棒15】にかけて、視聴者が感情移入しづらい印象が残ってしまいました。

これも相棒ロスです。

しかし【相棒15最終話「悪魔の証明」】で、右京さんから名言が飛び出しました。

「想像が及ばないのなら、黙っていろ!」

震えました。相棒ロスにおびえて思考停止して、感情移入を拒んでいたのはこちらのほうでした。

2018元日SP「サクラ」に感動

【相棒16】は、本当に面白い回が続いています。

この記事を書いているのは、【相棒16元日スペシャル「サクラ」】を視聴してから5日後なのですが、まだあの感動のストーリーが記憶に新鮮にねばりついています。

《関連記事》

【相棒16第10話「サクラ」感想】もし悪い警察官に脅された高校生が拳銃を手に入れたら。2018元日SP - せとさんスポーツ

2時間を超えるロングバージョン。序盤はやや控えめにストーリーが展開し、後半から終盤にかけてのテンポアップ。あっという間に終わった感じの内容の濃さ。

最後に右京さんが、健太郎さん扮する高校生に語った正義の話は、【相棒】史上に残る名言として、語り継がれていくことでしょう。

「サクラ」の脚本を担当したのは、太田愛さんでした。

太田さんは【相棒8】から《相棒ワールド》に参加して、2代目相棒の神戸くんのキャラクターを肉づけするなど、【相棒】には欠かせない脚本家さんです。

元日スペシャルは、「相棒史上最高傑作」とも言われている【相棒10「ピエロ」】から【相棒12「ボマー」】まで、3年連続で担当しました。

女性作家さんらしい「チャーミングな右京さん」を引き出し、暴力的なシーンを極力回避しながら、2時間以上のドラマをスリリングに仕上げます。

「劇場版4」の担当も太田さんです。

【相棒16】が描く「葛藤」

【相棒16】は、太田さんの作品だけでなく、どの作品でも、その回の主人公に感情移入できる「ドラマ」が盛り込まれています。

【相棒】でしか見られない「深さ」。

「サクラ」における主人公は、高校生でした。善と悪がはっきりと区別されたストーリーで、その両面に揺れ動きながら行動する彼の姿は、年齢も性別も問わず、多くの人の心に響いたことでしょう。

 第4話で登場した「ケンちゃん」は、コンビニでバイトする、純真無垢な青年でした。

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【ドラマ感想文「相棒16-4ケンちゃん」】もし自分の前に純真無垢な青年が現れたら。 - せとさんスポーツ

ケンちゃんが純真すぎることが、周囲の人間に葛藤を生じさせて、悲しい事件に発展してしまいました。

最後のシーンで、ケンちゃんが亡くなった場所に置かれた献花の数に、彼の心の美しさが表されていて、感涙の作品となりました。この回は《相棒ワールド》の「葛藤の魔術師」金井寛さんの作品です。

《相棒ワールド》初参加の浜田秀哉さんからは「2サスと相棒が大好き」なワクワク感が伝わってきました。視聴者の心をくすぐる「感動ポイント」を抑えていました。

とくに第5話「手巾(ハンケチ)」では、警察学校に勤務する父と娘が素直になれない姿を丁寧に描き、「これ、殺人事件が起きなかったらNHKのドラマにありそう」と思わせるほどのヒューマンドラマが仕上がりました。

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【ドラマ感想文「相棒16-5手巾(ハンケチ)」】人はハンカチを握りしめて生きている - せとさんスポーツ

第9話「目撃しない女」では、派手なトリックや意外な展開よりも、人物描写で魅了する山本むつみ脚本が、キッチンカーでタコライスを販売する女の子の心の移ろいを、じっくりと見せてくれました。

《参考記事》

【相棒16第9話「目撃しない女」感想】もし自分が他人の顔を覚えられない劣等感にまみれていたら。 - せとさんスポーツ

ついに 冠城くんが覚醒?

「心の動き」が丁寧に描かれる作品が続くと、いよいよ4代目相棒の冠城くんのかっこよさにも焦点が当たります。

「ケンちゃん」では、ふとしたことから知り合いになったケンちゃんが殺された事件で、特命係が暴いた真犯人の身勝手さに怒りが爆発し、右京さんに「かぶらぎくん!」と止められなければ、思いっきり殴るところでした。

「目撃しない女」では、狙われた女の子を身を挺して守る代償に、足を刺されてしまいました。

「推理の右京さん」の対比として「感情の冠城くん」が表に出てくることで、2人が相棒として固い絆で結ばれていく過程を、視聴者が追うことができます。

わかりやすい感情移入装置こそ【相棒】が世代年齢を問わず受け入れられる土台です。

【相棒】の制作側は、よく「なんでもありだから面白い」と表現します。

しかし、視聴者からみたら「安心して見られる、面白いなんでもあり」が見たいのです。

水戸黄門vs悪代官であり、アンパンマンvsバイキンマンです。特命係vs最後に懲らしめられる悪い奴です。

この範囲を超えて、右京さんでも止められないほどの悪い奴が出てきてしまうと、視聴者は置いていかれてしまいます。

救いがあったのは徳永富彦脚本の「倫敦からの客人」です。この回は高校生が殺人鬼という「うわあ」な回になりつつありました。しかし最後の最後で、右京さんの説得が、少年の心に響いたような描写がありました。

ひとつでもいいから「救い」があると、視聴者は「うるっ」とくるものです。

【相棒16】は、女性中心の視聴者層に訴求するヒューマンドラマを混ぜて、毎回のストーリーに感動を与えています。

 さあ後半戦に突入です!

 水谷豊さんやその他レギュラー陣の年齢を考えると、シリーズがいつまでも続くというわけではありません。

水谷さんは「続けることに意義がある、ではなくて、いつ終わっても不思議じゃない、という緊張感がいい作品を作っている」と話しています。

水曜夜9時に【相棒】を見てよかったと思えるストーリー。直後の【報ステ】よりもリアルを感じてビビるストーリー。翌朝の学校や職場で「昨日の相棒、面白かったね」と語り合えるストーリー。

【相棒season16】は、本当に面白い。

さあ、あと3か月。時間が経つのは早いですね。

後半戦を楽しみにしましょう!