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2022年はドラマ「相棒」関連の記事が中心です。

【相棒・考えさせられる回「6-6この胸の高鳴りを」感想】もし殺した男の心臓がカノジョに移植されたら。

この記事ではドラマ【相棒6第6話「この胸の高鳴りを」】の感想などを記述しています。

臓器移植を待つ人がいる

2007年11月28日に放送されたこの回は、2時間サスペンスや探偵モノのドラマの要素を多分に含みつつ、臓器移植に関わる悲哀が描かれています。

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臓器移植とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下した人に、他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療です。

日本臓器移植ネットワークによると、日本で臓器移植を待っている人は、およそ1万3000人います。

心臓移植は、亡くなった人から心臓の提供を受けて、その心臓を自分の心臓の代わりに植えこむ治療法です。

「この胸の高鳴りを」を見ていると、自分の胸に手を当てずにはいられなくなります。

自分の心臓は、ちゃんと鼓動を重ねているのかと。

Dee Providenceのリーダー

そのミュージシャンは、苦しみに耐えられませんでした。

若い女性に大人気のバンド「Dee Providence」のリーダーです。

4人組のバンドは彼、丹野翔平ひとりでもっているようなものだと言われています。

丹野は、現在所属している事務所に「この胸の高鳴りを」という曲のデモテープを送って、採用が決まりました。

しかし、この作品は、彼が以前に参加していたアマチュアバンドのメンバーから盗作したものでした。

所属することになった事務所は、彼のルックスを前面に出して売り上げを伸ばそうと算段しました。

丹野から曲を盗まれたアマチュアバンドのメンバーは抗議しましたが、聞き入れてもらえることはありません。

メンバーは防波堤から転落して死にました。事故と自殺の両面で調べられ、事故として処理されました。

虚像。

隠している真実。

知られてはいけない重圧。

Dee Providenceのリーダーとなってからも、作詞作曲の才能が芽を吹くことはなく、ゴーストライターに頼る日々。

ウサを晴らすように遊び歩いていた彼は、純粋に好きになった相手と交際するようになりました。

彼女には、丹野に盗作された青年の心臓が移植されていました。

9時半の逮捕は真犯人じゃない?

 脚本を担当したのは「相棒4」で脚本家デビューした入江信吾さんです。1976年生まれですから、20代で「水曜9時の全国ドラマ」を担当した猛者です。

「相棒」や初期の「警視庁捜査一課9係」、2時間ドラマなどを手がけました。

2012年に「黒子のバスケ」の脚本を担当してからは、主にアニメのジャンルで活躍しています。

「この胸の高鳴りを」では、2サス好きの心をくすぐる仕掛けが見られます。

「9時半ごろに逮捕される人」や「取調室で《私が殺したんです》と自白する人」は真犯人ではないという法則です。

この回は、冒頭でDee Providenceの丹野の遺体が発見されます。

伊丹刑事いわく「ミュージシャンがギターで殺されるとはな」

さあ、殺人事件の犯人は誰か、というストーリーです。

右京さんと亀山くんが事件の真相をひもといていくうちに、ゲスト登場人物それぞれの葛藤が浮かんできます。

2007年のデジタル社会

 丹野の葛藤。残されたバンドメンバーの葛藤。事務所の社長やマネージャーの葛藤。

盗作されたアマバンドの元メンバー・福地の葛藤。福地の恋人・可奈子の葛藤。

福地は今もどこかで生きているのではないか。彼の心臓は、今どこにいるのか…。

亀山くんのセリフ。

「個人が簡単に情報を発信できるインターネットなら、ひょっとしてわかると思った?」

この記事を作成しているのは2017年です。「相棒」では数年前から、SNSの「フェイスブック」をもじったと思われる「フェイスグッド」や、「ニコニコ動画」に似た「みんなの動画」などが、これまで何度か登場しています。

「この胸の高鳴りを」が放送されたのは2007年。10年前。

「ネット」や「インターネット」について「個人が簡単に情報を発信できる」と説明を付しています。

あれから10年。社会が猛スピードで発展を遂げたことを実感します。

デジタル社会がどれだけ進歩しても、変わらないことがあります。

命の大切さです。

その心臓は誰のもの?

 人生の大半を病院のベッドで過ごしてきた女子大学生の笠井夏生は、当たり前のように生きている人たちをうらやましく感じていました。

自分にとって、生きることは、あきらめることだと。

ドナーの人から命をもらい、世界が輝きました。そして、初めて恋をしました。

「翔平さんがいちばん大切な人だった。だけど、この心臓をくれた人にとっては、いちばん憎むべき相手だった」

輝いた人生に、再び影がさしました。

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 今、胸で鼓動を打っている、この心臓は誰のもの?

鼓動…

夏生は、街を歩いている時に流れていた「この胸の高鳴りを」を聴いたことがきっかけで、丹野に恋をするようになりました。

あの時に感じた鼓動は、夏生のアンテナにひっかかった純粋な感動だったのか。それとも、福地のアンテナにひっかかった憎しみだったのか。 

誰が彼を殺したのか

なぜ、丹野は殺されなければならなかったのか。

丹野は、誰に殺されたのか。

夏生は「自分が彼を殺した」と主張しました。

自分の心臓の中に、ドナーの心は生きているのだろうか。

心の問題は、自分以外の他人にはわかりません。

心の問題は、自分でもわからない部分がたくさんあります。

正解はさまざまにあって、そのどれもが正解ではないのかもしれません。

他方で、彼女が丹野を「死に追いつめた」のは確かなのかもしれません。

夏生は丹野を問い詰めました。

丹野にとっては、自分がようやく見つけた大切な人との仲が壊れてしまったことで、キレてしまったのでしょう。

ありのままでいることを決意したことで、丹野が殺されてしまうとは、皮肉な結末です。

人を思いやる心を信じて

 おっと、丹野を絞め殺したのは誰か、真犯人について、この記事では触れませんでした。

探偵モノのドラマが大好きなあなたには、この記事を読んだらバレバレですかね。

「私が殺したんです」と自分から言う人が真犯人なわけがありません。

それから。

ドナー登録をして他人の役に立とうとした福地が、いくら騙されて死に追いやられたからといって、他人に乗り移ってまで憎しみを爆発させようと思ったなんて、考えられません。

福地は「この胸の高鳴りを」の歌詞の最後に、こう記しました。

「あの日、確かに刻まれた この胸の高鳴りを信じたい」

見ていた私も、信じたい。

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